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お洒落な薔薇のミュズレ!
ツグハル-レオナール・フジタ(藤田嗣治)が描いた薔薇を、フジタと関わりの深かったG.H.マム社が、彼へのオマージュとして、華やかなロゼシャンパンに使用しています。
2013年夏、ラベルとミュズレのデザイン変更がありました。ニュー・バージョンは右側です。以前のものと並べて撮影してみましたが、2つとも魅力的ですね。シャンパン・ラバーの皆さまは、どちらがお好みですか?
ベリー系果実たっぷりの可愛いシャンパン
サーモンピンクに明るいオレンジをまぶした色調のマム ロゼ。
主要品種のピノ・ノワール60%、シャルドネ22%、ムニエ18%を使用、赤ワインを12~14% ブレンドしています。ドザージュは6g/L、ソフトな酸味が心地良く、ベリー系果実満載の花束を連想させるチャーミングな味わいは誰からも好感を持って受け入れられるタイプです。
後方に見えるボトルは、『マム キュヴェ R.ラルー1999(ピノ・ノワール&シャルドネ各50%、ドザージュ6g/L)』です。これは1939年から34年間にわたってマム社の経営を向上させた敏腕社長ルネ・ラルーに対するオマージュのシャンパン、同社のトップキュヴェです。
フジタは1955年にフランス国籍を取得しますが、そのときの尽力者が、芸術愛好家・収集家のラルーで、彼はフジタの才能を認め、パトロンとして応援していました。つまり、前述のミュズレこそ、ふたりの“友情の証”と言えます!
ちなみにフジタのゴッドファーザーもラルー。“レオナール”という洗礼名は、レオナルド・ダ・ヴィンチに由来したものです。
11月14日公開の日仏合作映画『FOUJITA』
11月14 日(土)より角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館にてロードショー
配給:KADAKAWA
小栗康平監督・脚本の日仏合作映画『FOUJITA』が今秋公開されます。主役のフジタを演じるのは、ロイドメガネとオカッパ頭のフジタの自画像そっくりのオダギリジョーさんです。
映画は上映時間の半分がフランス、半分が日本という形で描かれています。パリで頭角を現し、独自の色合いを表現した`乳白色の肌`の裸婦像は絶賛され、時代の寵児になっていく30代のフジタ。一方、戦時下の日本では、戦争協力画を描き、日本美術界の重鎮に上りつめていく50代のフジタ。小栗監督は彼が生きた2つの時代、2つの文化の差異に迫っています。
マレー地区にある国立歴史図書館で撮影されたという“フジタ・ナイト”のワン・シーンに、マムのアイコン『コルドン ルージュ』が登場していました。劇中、フジタがマムのシャンパンを飲むシーンはないのですが、彼が手掛けたランスの『ノートル=ダム・ド・ラペ礼拝堂(フジタ礼拝堂)』内部のフレスコ画を、カメラがなめるようなタッチで撮影している映像は圧巻、とても印象的でした。入り口上部の『キリスト磔刑』の群集のなかにいるフジタやラルーもしっかり確認できました。
1966年6月から8月の間でフレスコ画を完成させ、その年の12月、パリの病院に入院したフジタは、1968年スイスの病院で81歳の生涯を閉じます。
G.H.マムのメゾンとフジタ礼拝堂は至近距離にあります。彼が命を賭けたフレスコ画は一見の価値ありです。5月2日から10月31日の間は見学できます。ランス訪問のチャンスがあれば、マム ロゼを味わいながら、フジタとラルーの想いを感じてください。
※掲載情報は 2015/08/20 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ワインジャーナリスト
青木冨美子
NHK、洋酒メーカーを経て、現在フリーランス・ワインジャーナリスト。(一社)日本ソムリエ協会前理事、機関誌『Sommelier』前編集長。17世紀、3つのコトー(丘陵斜面)で造るシャンパンの愛好家によって組織された「オルドル・デ・コトー」が起源の由緒ある団体『シャンパーニュ騎士団』から2009年5月シュヴァリエ(騎士)受章、2012年5月には、オフィシエ(将校)受章。2013年4月オーストラリアワイン名誉スペシャリスト受賞、ワイン本の執筆や監修、企業向けのワイン講師。『NHK文化センター青山校』、『ホテルオークラ ワインアカデミー』専任講師。Facebook『ワインのこころ Non Solo Vino版』でワイン情報発信中。著書に『おいしい映画でワイン・レッスン(講談社)』、『映画でワイン・レッスン(エイ出版)』監修『今日にぴったりのワイン(ナツメ社)』ほか。