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三幸貿易
シュールストレミング 300g[Roda Ulven ]
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夏です。シュールストレミングの季節です。
シュールストレミングといえば「世界で一番臭い食べ物」、「クサヤの6倍のニオイ」と悪名高いスウェーデンの缶詰。塩漬けして発酵させたニシンを缶詰にしたもので、缶の中でも発酵が進んでいます。発酵が進みすぎて缶が膨張していることもあり、そのまま常温で置いておくと爆発してしまうので冷蔵保存が鉄則です。
シュールストレミングは8月の第3木曜日が解禁日とされています。8月といえば北欧ではもう秋の気配が漂いはじめ、過ぎゆく夏を惜しみながらシュールストレミングやザリガニのパーティをするのがスウェーデンの習わしなのです。
もしかしたら北欧発の食べ物の中で一番有名かもしれないシュールストレミング。テレビ番組の罰ゲームなどで食されることもあってか凶悪なイメージが強いのですが、ちゃんとスウェーデン式に食べればじつは案外イケるんですよ。
まずは缶の開け方です。ここがかなり重要です。水を張ったバケツの中で開けましょう。とくに膨張ぎみの缶は普通に開けると汁が飛び散って大惨事に。この汁が悪臭の元であり、洋服についたら取れません。水の中で開けると最初ぼこぼこっと泡が出るので、泡が出なくなったら水から取り出してOKです。
次に食べ方ですが、付け合わせにはじゃがいも、サワークリーム、刻みタマネギがお約束。とくにサワークリームとタマネギは臭みを消してくれる大切な脇役です。黒パンやクラッカーと一緒に食べるのもおすすめ。ニオイは強烈ですが、味は塩気のつよいアンチョビのような感じで、魚についた汁気をしっかりと拭き取ればぐっと食べやすくなります。
そしてシュールストレミングパーティに絶対に忘れてはならないのがアクアビット。北欧でよく飲まれているアルコール度数の強い蒸留酒です。シュールストレミングをはじめ、ザリガニパーティも夏至のお祝いもそうですが北欧人にとってパーティとは「飲むためにやっている」ともいえるのです。
シュールストレミングとの初めての出会いは、スウェーデンで参加したダンスキャンプでした。最後の夜のダンスパーティ前に、スウェーデンの伝統的な音楽や食材を楽しむ文化祭のような催しがあり、シュールストレミングも登場したのです。開けた途端のニオイには驚愕しましたが、これは食べておかないと!と挑戦したところ、スウェーデン人がどんどん周りに集まってきて「恐れ知らずの日本人だ!」と大ウケ。その後のダンスパーティでも「さっきシュール食べていたよね?どうだった?」と話しかけられ、それまで以上に地元のダンサー達と交流することでき、臭いけれどいい思い出になりました。
日本でも興味津々の友人達とシュールストレミングの会を決行したところ、やはり大盛り上がり。当日までのドキドキ感といい、缶を開けるところから口の中に入れるまでの緊張感、そして後日談(ゲップが臭かったとか)まで盛り上がったこと!アクアビットを切らしていたのでフィンランドの蒸留酒コスケンコルヴァと一緒にいただきましたが、「これならイケる、食べられる」とおかわりする人もいたほど。
ちなみにわが家で決行したのですが、案外ニオイ被害はなかったです。さすがに家の中で食べるのは憚られますが、庭があればきっと大丈夫。スウェーデンの友人はベランダでやったりするそうです。ちなみに最後に缶に残った汁はトイレに流して捨てるのが手軽でいいですよ。
珍味って人を結びつける力があります。旅先でその国の珍味を食べれば地元の人と交流するきっかけになりますし、仲間みんなで挑戦すれば何より楽しい。シュールストレミングは、仲間と一緒に挑戦して、武勇伝にするにはもってこいの食材。スウェーデンでもみんなでわいわいと食べています。北欧人のように過ぎゆく夏を惜しみながら、くさ〜い食体験、思い切っていかがでしょう?
※掲載情報は 2015/08/14 時点のものとなります。
コピーライター・北欧BOOK代表
森百合子
コピーライター。北欧BOOK代表。著書に『北欧のおいしい話』『コーヒーとパン好きのための北欧ガイド』『3日でまわる北欧』シリーズ(スペースシャワーネットワーク)、『北欧レトロをめぐる21のストーリー』(主婦の友社)など。フィンランドやスウェーデン大使館との仕事を通じて北欧の暮らしや文化への知識を広げ、執筆の他、監修、トークショーなど幅広く活動。定期的に北欧諸国を訪れて取材を重ね、食やコーヒー文化、ビンテージの生活道具などユニークな切り口で北欧の魅力を紹介している。東京・田園調布で北欧ビンテージ雑貨の店『Sticka スティッカ』も運営。http://hokuobook.com