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10月には、黄金の稲穂が田を埋め尽くす
米の美味しさは何を持っていうか。
単純明快だ。炊き立てが美味しいのは、言うまでもないが、「冷めても美味しい」ことだ。これが、なかなか難しい。冷めた瞬間にべたべたして、食味が落ちるものが多い。
今回紹介する福島・天栄村の天栄米は、炊き立ても美味しい、冷めても美味しい。つまり、粒が経ち、色は白さに光沢があり輝き、香りが立ち上り、甘味がある。
この天栄米は、2007年に米作りに情熱を燃やす農家が結成した「栽培研究会」が、独自に作り始めた米である。
天栄村は、福島の里山だ。完全に山がごく間近まで迫り、その下にぽんと里がある立地。人々は、里山の恩恵を受けつつも、様々な手を加えて自然と調和してきて今に至るのである。農地は大半が大きく美しい田んぼが整然と広がっている。米は昔から作っていたが、人口が減ってきたなかで、村人たちが「自分たちが誇れるものは何にするか?」と議論する中で、「やはり米ではないか。」と決意した。その時に、「米の名産地の魚沼のコシヒカリに勝とう!」と高い目標を掲げたのである。それまで、コンクール等に一度も出品したことがなかったのだが、コンクールで戦える米を作ろうということで、すざましい努力と学習をした。信じられないことに、翌年から、主だった日本の米のコンクールでグランプリを取り続けているのである。
どういった米かといえば、「漢方環境農法」で作った漢方米だ。何と漢方肥料を稲にかけるのだ。米作りにものすごいお金がかかる。しかし、この漢方エキスを加えることで、米の旨みが各段に増すのである。
当然のことながら、「無農薬」「化学肥料不使用」を貫いている。無農薬米は、雑草と虫が大量に発生してしまう。村人の「総力戦」で徹底して草を抜き、除草し続けている。また、「紙マルチ農法」という手法を取り込み、田んぼ全体に特殊な紙を敷き、雑草に米の養分が取られないようにするなど心血を注いでいる。極限まで米づくりに命と魂をかけたプロ農家なのである。
涙ぐましい努力を続け、7年連続で、米の食味世界一を決める「米・食味分析鑑定コンクール国際大会(米・食味鑑定士協会主催)」で最高賞の金賞を取りつづけている。
さらに、驚きなのが、稲が黄金色になるのだ。10月に「黄金の稲穂」が田を埋め尽くす。「黄金の稲穂」になるのは、良質な有機肥料を使い、美味しいお米作りを追い求め、稲の熟成を最優先させているからなのです。
「天栄米」は、いわゆる高級米の部類に入るが、これだけ手間と時間をかけないと、「美味しいお米はなくなってしまう。」という強い信念のもと、作り続けているのである。また、村は、標高が200~600mと標高差があり、高い地点と低い地点が混在し、ループ状になっており、場所によっても味が違ってくるとのこと。
5月に仕事の関係で出会って、一目惚れした素晴らしい米を全国の方にお伝えしたくて、今回は「天栄米」を紹介させてもらったのだが、購入に関しては、天栄村の役場やホームページに問い合わせいただくと、購入可能なので、ぜひ少しでも多くの方に味わっていただきたいものである。
※掲載情報は 2015/07/30 時点のものとなります。
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キュレーター情報
小説家・テレビプロデューサー
今井彰
小説家です。
新刊小説「光の人」(文藝春秋)を出版しました。1000人の孤児を救った青年の話で、何度も涙すると、反響をいただいております。是非読んでいただき、感想をお聞かせください。
https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163908977
「光の人」(文藝春秋)
他には「赤い追跡者」(新潮社)「ガラスの巨塔」(幻冬舎)を出しています。
昔はNHKのエグゼグティブプロデューサーで、プロジェクトX~挑戦者たち~を196本作りました。今でも伝説の番組として大事にしてもらい、ありがたい思いです。
食に関する番組は数多く作ってきましたので、ユニークかつ美味なものをお伝えできると思います。また石川県輪島市の観光大使をつとめ、奥能登の新鮮な食材に出会った経験も役に立つかもしれません、
それ以外には、大学の教授、ラジオのパーソナリティ、鎌倉シャツTexTeqの専属モデルなどもしてきました。色んな仕事をしてきましたが、いつもベストのものを創作し、発信してきました。ippinでも皆さまと一緒に楽しみたいと思います。