ビールだけじゃない!近年ワイン通が注目する、英国ワインの実力

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英国では今、ワインがブーム

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英国といえばパブ。小さな町、村にもパブ(もともと誰でも立ち寄れるパブリックハウス)があり、人々はその土地ならではのクラフトビールやサイダーをお喋りとともに気軽に楽しむ習慣がありました。また、フランスやイタリアなど華やかな食文化が早くから発達した国々に比べ、英国においては1980年代後半に食のビックバンが訪れ、一般人が家庭や外食でのグルメに目覚めるようになると、ワインへの注目と需要が急激に高まりました。

 

現在英国ではグルメブームが続いているのと同時に、ワインもブームになっています。人々は食に貪欲になり、テレビでは数々の料理番組が放送され、たくさんのグルメ本が登場しています。それと平行するように英国のワイン市場は拡大しています。残念ながら、国産ワインの取扱いはまだ一部の高級百貨店、専門店に置かれる高級品が中心です。その大きな理由は、英国の食料品消費の7割強をまかなうチェーンストアに総合供給できるほどの大量生産可能なワイナリーがほとんどないからです。店頭以外に目を向けると、全国のワインを持ち込めるBYO(Bring Your Own (Bottle)の略)のレストランを紹介したウェブサイト「ワインページ」もありますし、英国ワイン醸造協会では、気軽に立ち寄ってワインのテイスティングと購入ができるワイナリーを紹介したマップも用意しています。英国ではリタイア後に趣味でワインを作り始める人が多いのですが、彼らが自慢のワインを通り過ぎる人たちにふるまうわけです。この考え方は、ガーデニング大国英国で有名な「イエローブック」(自宅の庭を公開して家庭、その日時などを紹介する本)に通じます。

英国におけるワインの歴史

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生産量は少ないものの、英国におけるワイン造りの歴史は古く、古代ローマ帝国によって持ち込まれたのが最初と言われています。グレートブリテン島の南部は古代ローマ帝国によってブリタンニアという属州が置かれていましたが、ローマから持ち込まれるワインは気候の違いなどが理由で品質が落ちてしまうため、ワインの原料となるブドウの栽培が始まったという一説があります。

 

11世紀には、ワインはローマ・カトリック教会の修道士たちによって生産されるようになり、38の修道院にワイナリーがあったと記録されています。しかし、1533年ヘンリー8世がアン・ブーリンと再婚するための離婚問題によりカトリック教会から離脱して、英国国教会を設立。英国ではワインが宗教的な意味を持たなくなり、修道院の解放にともない、ブドウ畑も荒廃していきました。ここで、英国内でのワイン造りが中断することとなりました。

 

生産国としての存在感はありませんが、英国はワイン消費に関しては世界の中心にあります。例えば、18世紀半ばにクリスティーズやサザビーズといった競売会社が登場しますが、美術品などと同様に世界の高級ワインの価値を評価されるのは、このようなオークションハウスがリードし続けています。また、300年以上続く英国王室御用達のワイン・スピリッツ商「ベリー・ブラザース&ラッド」には、世界各国から最高のワインが集まり、彼らによりワインは投機対象ともされています。ちなみに自国内で作れない分、植民地であった国、例えばニュージーランド、オーストラリア、南アフリカなどにワインを生産させるようになったのも英国です。

ビールだけじゃない!近年ワイン通が注目する、英国ワインの実力

駐日英国大使館 貿易・対英投資部 上席商務官 柳澤 彰子

 

再び国内でのワイン生産が本格的にスタートしたのは第二次世界大戦後のことです。ワイン好きの英国人が趣味で始めたものがほとんどで、商業ベースにのったメーカーはまだ多くありません。近年、気候の温暖化によってワイン生産のための条件が以前よりも整ったこともあり、作付面積および生産量は年々伸びています。当初はドイツワインの品種であるバッカスなどが栽培されていましたが、現在ではフランスワインの主な品種であるシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノムニエが生産量の50パーセントを占めています。生産されているワインの3分の2がスパークリング・ワインですが、この割合はまだ伸びると予想されています。ちなみに英国のワイン出荷本数は315万本で、日本のワイン生産量のわずか4パーセント。最近ではフランスのワイナリーが英国内でブドウ栽培を委託生産するというケースも見受けられます。もともとはフランスと英国は地続きだったので土壌が似ており、温暖化によってフランスで作るものと品質が変わらなくなっている証拠ですね。

 

2000年以降、世界の権威ある品評会(ブラインドコンテスト)で英国産のスパークリング・ワインは数多くのメダルを受賞しており、その品質は世界でも認められるようになりました。2012年に開催されたロンドンオリッピックの誘致活動の時に、バッキンガム宮殿の晩餐会で英国産のワインが振る舞われたり、ウイリアム王子の結婚式では「チャペルダウン」という国産ワインが振る舞われたりするなど、世界のVIPをもてなす場にも堂々と国産ワインを出せるようになっています。英国のセレブリティ・シェフのロンドンやNYなどにあるレストランでも欠かせないものとなっています。

ナイティンバー

このワインは、駐日英国大使館にとって公式の場では欠かせないスパークリング・ワインであり、流通量もかなり限られています。ロンドンで開催された2006年ワイン&スピリッツ国際大会では、ナイティンバー・クラシック・キュベ 1998が熟成スパークリング・ワインの部門で金賞を受賞。また、その中でもハイスコアを獲得したもののみに与えられるベストトロフィーにも輝きました。

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リッジヴュー・エステート

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リッジヴュー・エステートは、イングランドにおいてシャンパーニュ製法で造る、ヴィンテージ・スパークリング・ワイン。良作年であった2011年に完熟したシャルドネ62%に、ピノ・ノワール 19%、ピノ・ムニエ19%をブレンド。熟した柑橘系から洋梨やリンゴの蜜、白い花と次々に現れるすてきなアロマが満載。素晴らしいミネラルと高い酸が非常にエレガントで精緻な印象を醸し出します。(発泡・白・辛口)

※掲載情報は 2015/05/29 時点のものとなります。

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駐日英国大使館

駐日英国大使館

駐日英国大使館、並びに、大阪の英国総領事館は、日本で英国政府を代表する機関であり、日本における様々な英国の利益をサポートしています。当館では、2006年から「A Taste of Britain」キャンペーンを展開しています。2012年には、エリザベス二世女王陛下の誕生祝賀会や、ロンドンオリンピック・パラリンピックを通して英国への注目が高まり、「美味しいイギリス」の今がより広く世界に知られるようになりました。

Food is GREATは、英国政府が2011年から世界に向けて展開するGREATキャンペーンのテーマの一つ。日本では、「Food is GREAT: A Taste of Britain ためしてみて、美味しいイギリス」として、パートナー企業のご協力のもと、英国フード&ドリンクのイベントを開催してきました。また、多くの方々に「美味しいイギリス」を体験していただける機会や、英国の食にまつわる様々な情報をFacebookで発信しています。ご家庭で気軽に「美味しいイギリス」を楽しんでいただけるよう、家庭用レシピもクックパッド「英国大使館のキッチン」で随時ご紹介しております。

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