個性的な風味と食感の「中里」の「揚最中」

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パリッと揚げた皮の塩けとあんの甘みが互いの引き立て役に

個性的な風味と食感の「中里」の「揚最中」

「中里」は明治6年(1873年)日本橋で創業。関東大震災で被災したため、大正12年(1923年)に現在の駒込に移り、今は四代目のご夫婦が創業以来の味と技術を受け継いでいます。こぢんまりとしたお店ですが、ここでは、ほかのどこにもないお菓子がいただけます。それが、この店の三代目、鈴木嘉吉さんが昭和初期に考案した「揚最中」。揚げ最中というと、最中に衣をつけ、丸ごと揚げたものを連想する方が多いでしょうが、中里の揚最中は、そうではないまったく独創的な製法で作られています。

和風クッキーのあんサンドとでも言ったらいいでしょうか。白焼きの最中の皮に水溶きの小麦粉を薄く塗り、高温のごま油でサッと揚げ、粒あんをはさんで作ります。揚げたての皮にパラリとふられた塩が効果的で、あんの甘みをさらに引き立てます。初めていただいたときには、ごま油と甘いあんとの取り合わせはくどいのでは、と思いましたが、塩けと甘みのバランスが絶妙。からりと揚がった皮の香ばしさと歯ごたえも秀逸で、やや小ぶりな大きさもちょうどよい加減。あっという間にいただいてしまいました。もうひとつ、とつい手が伸びそうな、すべてがほどよく調和したほかにはない個性的な和菓子です。当然、材料も吟味され、上質なごま油に、塩は伊豆大島産の焼き塩、小豆は北海道十勝産。一つひとつ手作りされた味を充分に味わうためにはやはりできたてがおすすめですが、もし、時間がたって皮が湿気てしまったら、オーブントースターやフライパンで軽く温めて、とのこと。ぱりっとした食感と香ばしさが戻って来ておいしくいただけます。

個性的な風味と食感の「中里」の「揚最中」

※掲載情報は 2015/04/26 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岸朝子

食生活ジャーナリスト

岸朝子

大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。

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