深淵にきらめく太陽。トスカーナの至宝ワイン、2019年ヴィンテージ登場

深淵にきらめく太陽。トスカーナの至宝ワイン、2019年ヴィンテージ登場

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オルネッライア2019。明日へのポジティブなエネルギーをもらえるワイン

「オルネッライア」。ワインの名産地であるイタリア・トスカーナを代表するプレステージブランド。1981年創業以来、毎年至極のワインを生み出し、その名声はワインの世界において揺るぎないものとなっています。

 

その最新ヴィンテージとなる「オルネッライア2019」が登場しました。オルネッライアのフラッグシップで、名醸造地トスカーナの中でも、特に優れたぶどうが育まれるというボルゲリ地区のみのぶどうを使用。まさにこの地を代表するワインのひとつであり、この地のワインの価値を世界に放ち続ける存在です。毎年この時期になると、今年はどのようなワインなのか、どのような世界を表現してくれるのかが大いなる楽しみ。オルネッライアはリリースされるごとにその年のヴィンテージの特徴をイタリア語の一語に集約したテーマが冠され、ともにそのテーマをもとにしたアート作品が創られます。今季は「IL VIGORE」(イル・ヴィゴーレ)。和訳すれば「力」。加えれば変革の力、活力、勢い。

深淵にきらめく太陽。トスカーナの至宝ワイン、2019年ヴィンテージ登場

味わってみましょう。アロマからはまず緊張感。そして深淵を感じさせる奥行き。ダークでゴシック。漆黒の中に引きずり込まれそうな感覚に。少し経つと小さい黒と赤い果実の慎ましやかで、でも溌溂さを秘めた、いつでも弾けそうなフレッシュさが感じられてきます。上質でシックなドレスやスーツにぐっとその野生や若い感性を閉じ込めて、いつか花開く。いえ、いつか、というよりも、もうすぐ…。

 

口に含むと、次第に漆黒から紫の世界へ。閉じ込められていたのではなく、野生や感性を思いっきり発散するための準備期間だったのでしょう。どんどん紫の花の香、色気、艶、熟したベリーが花開き、複雑さは増しながらも、次第に明るく若々しい世界へと躍動していきます。漆黒からキャンドルライトに、そしてカーテンを開くと燦燦と降り注ぐ太陽が部屋いっぱいに差し込み、庭の花壇の香りが風と共に舞い込み、川の音と鳥のさえずりが聞こえてくる。そんな変化にも感じられます。

 

再び、今度は多めに口に含み、体に落としていきましょう。弾けんばかりのぶどうの力、元気、エネルギーが湧きあがるような感覚。漆黒から陽光に出て、そのしなやかさと強さを発散。ただ、それは能天気なものではなく、芯の強さをしっかり持っています。


表現を飛躍させていきましょう。頼りになる無口な親友が、明日に向けて饒舌に、笑顔で語りかけてくれる。もちろん苦い経験、そこで培った経験で戦いへのパワーを彼はしっかり蓄えてきた。「オルネッライア2019」は余韻にいい風が吹く。同じようにその彼の笑顔は爽やかで、その爽やかさには深みがある。才能にもあふれていそうだし、経験値も高いはずなのに、決してマウントはしてこない。いい親友になりそうだし、彼がこれから世間でしでかしていくことにわくわくする。ワインを擬人化してストーリーにすると、こんな感じでしょうか。妄想をしながらワインを味わうのも楽しいものですが、ワイン自体が物語を感じさせるものでなくてはできません。トスカーナ、ボルゲリ。この地の素晴らしき地中海気候と、卓越の技術、品質、哲学から生まれたワインだからこそ、妄想も生まれるというものです。

 

深淵にきらめく太陽。トスカーナの至宝ワイン、2019年ヴィンテージ登場
深淵にきらめく太陽。トスカーナの至宝ワイン、2019年ヴィンテージ登場

▲2月に行われたお披露目のオンラインイベント。最高醸造責任者アクセル・ハインツ氏らが現地から、天候、ぶどうの状態、コンセプトなど今回のヴィンテージの背景や味わいを伝えてくれました。

 

 

ちなみに昨年の「オルネッライア2018」のタイトルは「ラ・グラツィア」。日本語では「優美」。風格や威厳ではなく、優しく、美しく。でも、ただ緩やかなのではない。奥底からのパワー、複雑さはしっかりあって、でもそれをひけらかすのではなく上品な笑顔を感じさせてくれる。そんなワインでした。

 

その差はどこから来るのか? 例えばテクニカルなことで言えば、ぶどうのブレンド割合。2018年は、メルロー51%、カベルネ・ソーヴィニヨン40%、カベルネ・フラン7%、プティ・ヴェルド2%。対して2019年はカベルネ・ソーヴィニヨン62%、メルロー31% プティ・ヴェルド4%、カベルネ・フラン3%。なぜ、割合を変えるのか。それはどんなにその年の気候や状況が変わってもオルネッライアはオルネッライアであるという味わい、風格、哲学は変えないという意志。もう一つはその逆説で、オルネッライアであることを明示しつつ、毎年変わる気候や状況も感じていただくこと。今年のトスカーナの自然、今年のボルゲリの恵みを、存分に感じてもらうための匠なのです。だからワインの新しいヴィンテージを味わうのは楽しい。変わらぬものと変わるものを感じられるから。

 

味わうシーン。まずはソファで香りを堪能し、一口味わったら、立ち上がってダイニングテーブルへ。ここで目の前にあるカナッペやオードブルを楽しみましょう。ナッツやオーガニックなオリーブオイル、ポークパテ…次第に空腹感と幸福感が増して来たら、少しボリュームのある力強くしなやかな料理を。脂身の少ない身の締まった赤身肉を、やや薄切りで。複雑なソースからはじめて、最後は塩、オイルでシンプルに…と普段と逆に食べ進めていくと面白そうです。

 

少し時間をかけて。金曜日、早めに仕事を切り上げ、まずは軽めにおつかれのビールや白ワインを1杯。そのあと「オルネッライア2019」とともに遅い時間まで。深酒で酩酊? いえ、きっと明日からの休日、何をしよう、どこに行こうと気持ちを前へ、気分を上へあげてくれることでしょう。たとえ遅い時間までゆっくり飲んだとしても。変革と書くとちょっと遠いかなと思いますが、明日の自分をちょっと変えてくれる。素敵にしようという気持ちにさせてくれる。それもまた、「IL VIGORE」(イル・ヴィゴーレ)。

※掲載情報は 2022/03/28 時点のものとなります。

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キュレーター情報

岩瀬大二

ワインナビゲーター

岩瀬大二

MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
(https://magazine.vinetree.jp/)ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde(ヴェルデ)』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。

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