飛騨小坂のどぶろく「滝乃郷」
奥田屋・奥田省二
「どぶろく」と「にごり酒」の違いは? と言われたら一瞬迷ってしまう人が多いのではないだろうか。
日本酒造りにおいて「上槽(じょうそう)」という醪(もろみ)を酒粕と液体にわけるために絞る工程がある。この醪は出来上がった状態ではまだ溶け切れていない米の部分が多く、濁っている。「清酒」と名乗るには酒税法上、必ずこすことが義務付けられているため、この状態のお酒を「清酒」と名乗ることができず、「どぶろく」と呼ばれる。よく、どぶろく同様に白濁した状態で「にごり酒」と表示されているのを見たことがないだろうか? その瓶のラベルには「清酒」と書いてあり、これは目の荒い布などでこされているため「清酒」と呼ぶことができる。
どぶろく独特の「米の食感」はこしていないが故に生まれるのだ。また、飛鳥、奈良時代では神に捧げるお酒を「濁酒(どぶろく)」と呼んでおり、各家庭でも頻繁に作られていたが、現在では自家製醸造酒を作ることは禁止されているなかなか飲むことができなくなった貴重なお酒でもある。
岐阜県下呂市小坂町にある旅館「奥田屋」。こちらではその貴重な「どぶろく」が作られている。下呂市小坂町がどぶろく特区の認定を受け、奥田屋自家醸造のどぶろく「滝乃郷」が完成。第一号として認定された、「滝乃郷」は米のふくよかさと水のおいしさがしっかりと感じられる。小坂町と言えば炭酸泉の聖地であり、6種類の炭酸泉を飲泉できることできる。炭酸泉の味は6種類すべて異なるが、旅館「奥田屋」の炭酸泉は炭酸泉独特の鉄分、硫黄の香りはあまりなく、塩味と旨味がやさしく口の中に広がりつつもきれが良いタイプ。この炭酸泉も訪れた際には是非、飲泉していただきたい。今回の「滝乃郷」は旅館に宿泊していただいたお客様には食前酒として提供している。また、この名物の炭酸泉を使用した「湯豆腐」も絶品だ。
販売経路は旅館「奥田屋」館内、または小坂町にある道の駅「はなもも」でのみ販売。炭酸泉だけでなく、水質に恵まれている小坂町だからこそ醸し出せる味わい「滝乃郷」を是非、一度味わっていただきたい。それも、炭酸泉使用の温泉に浸った後に。至福の時間が訪れるに違いない。
奥田屋・奥田省二
※掲載情報は 2015/03/08 時点のものとなります。
料理研究家
高橋善郎
1988年7月14日 神奈川県川崎市出身。
和食料理人の父の影響で、幼少期から実家の店舗で料理の基礎を学ぶ。
大学卒業後、大手食品メーカー、IT会社に勤務しながら、本格的に料理の勉強を始め、調理師免許、きき酒師、ソムリエなど食に関する資格を取得。
日本酒ソムリエの上位資格である、日本酒学講師においては史上最年少で合格。
祐成陽子クッキングアートセミナーを卒業後、独立。
素材の持ち味を活かした和食をベースに、エスニックからイタリアン、オーガニックと幅広いジャンルを得意としている。
著者、関連本は宝島社「魔法のココナッツオイル」、エイ出版社「イケ麺レシピ」、企業のレシピ開発、イベント出演等活動中。
和食専門料理教室 / 日本一魚がさばける料理教室「Family」主宰
和食の基本である、だしの取り方、だしを使い素材の味を活かした料理作成、魚のさばき方等を中心にレクチャー。
【保有資格】
日本酒学講師 / 唎酒師(ききさけし) / ソムリエ(ANSA) / ジュニア野菜ソムリエ / ビアアドバイザー / ジュニアアスリートフードマイスター / 調理師免許 / 食品衛生責任者