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柳津名物「あわ饅頭」
「パァッ~ン」。
山間の町、福島県柳津に響く銃声。只見川沿いの国道252号線に車が連なる。銃声と思いきや、それは河沼郡柳津町『霊まつり 流灯花火大会』の花火の音で渋滞していたのだ。
「アワワワワっ、オー、びっくりしたなもー」(山形弁です)。
「アレッ、空にあわ饅が!?」
目の錯覚か……。時折上がるかすみ草は柳津名物、あわ饅頭そのものだ。黄色のあわ饅頭によく似たかすみ草は中国の花火である。
ここ20年ほど前から日本の花火業者が部品を輸入して花火玉に詰めている。金色の真綿のような「ふわっふわっ」感はあわ饅頭か花火なのか区別がつかない。
円蔵寺のたもとから眺めるとダム湖に反射して音が回転するように鳴り響く。こしあんを包んで蒸すらしいが、花火で言えば最後の乾燥である。ここのデキが花火もあわ饅頭も重要なポイントで音にも味にも影響する。程よい甘さが冷えたペットボトルのジャスミンティーにぴったり。喉に流しこんだらレリーズ(シャッターを押すケーブル)に力を込めて「カシャ」。
我ながらグッドなタイミングである。傍にいるカップルがチラチラと動画用のカメラに視線を傾ける。どのように写っているのか気になるのだろう。エッ、ひょっとして動画でなく黄色のあわ饅頭???
粟でできた饅頭の皮は今までに口にした事のない舌触りだ。憩いの館ほっとinやないづに出店している老舗『小池菓子舗』でアツアツのあわ饅頭を購入したが、待ち時間ですっかりと冷めてしまった。しかし黄金のように光り輝く黄色のあわ饅頭は私の三脚の隣で開封された包装紙から顔を覗かせて早く口に入れてと待っていた。
「待ってろ、待ってろ。もうすぐ花火は終わる」。
終盤の銀滝(ナイアガラ)にスターマイン(速射連発)が始まった。当分の間、花火号は動かせそうにもない。待ちに待ったあわ饅頭がやっと食べられる。
※掲載情報は 2019/02/20 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ハナビスト
冴木一馬
山形県鶴岡市出身
報道カメラマンを経て1987年から花火の撮影を始める。1997年花火師(煙火打揚従事者)の資格を取得。 同時に肩書をハナビストとし、世界各地の花火を記録をしながら歴史や文化の研究をはじめる。 2002年から花火を題材にした版画の製作と同時に花火大会運営のプロデュースも手がける。 同年11月、1000大会の撮影を記録。 写真の原版は2万点以上ストック。 スチールに関してはワンシャッターにこだわり多重露出をおこなわず、花火本来の姿を追い求めている。 世界各地の花火をはじめ、あらゆる種類の花火写真があり、その解説も行う。
【受賞暦】
富士ゼロックス株式会社 「美の計算」 日刊工業新聞社賞受賞 2002年
【Post】
大阪観光大学 学外研究員
日本花火写真協会顧問
フォトサロン写楽顧問
花火の会顧問
【趣 味】
オペラ鑑賞
焼物鑑賞
スポーツカー
【好 物】
お雑煮
チョコレートスフレ