カレー粉の個性を知る。歴史につながる高品質カレー粉

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香り豊かなカレー粉とカリフラワーライスでカレーチャーハンを

カレー粉の個性を知る。歴史につながる高品質カレー粉
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先日、取材で香港と深センに出かけてきた。2018年の香港は古き良き時代の香港の印象をそこここに残しつつモダンで先進的な都市になっていた。深センは素晴らしく未来的で、アジア地域の未来のビジョンがここに見える感があった。

カレー粉の個性を知る。歴史につながる高品質カレー粉

どちらの場所にも共通するのは人の濃厚なコミュニケーション。日本、特に都市部では失われてしまった「他人への関心」と「親切心」がきちんと残っており、それを街の息吹として強く感じることができた。時代の老年期を迎えた感のある日本と対照的な、青年期の若々しさや力強さがあった。

カレー粉の個性を知る。歴史につながる高品質カレー粉
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そんなエネルギッシュな街角の食堂で何度も食事を取った。パワフルで、しかし繊細なそれらは大変な感激をわたしに与えてくれた。香港料理や中華料理全般。中華圏にはカレーライスの文化が薄い。カレーライスという食べ物は現代、普及こそすれどメインストリームの一端を担うところまでは行っていないと感じる。しかし、中華料理には意外や、昔からカレー粉が多用されるのだ。隠し味程度からカレー〇〇というカレー派生料理まで、幅広い。カレーライスはないがカレー味がある国。大変興味深い。

カレー粉の個性を知る。歴史につながる高品質カレー粉

そんな旅を終えて東京に戻り、旅の写真を整理しつつ、この旅にちなんでカレーチャーハンでも作ってみるか、と思い立った。手元にはちょうど封を切っていない「インデラ・カレー」の黄色い缶があった。

 

元祖のイギリス製、アジア各地のもの、おなじみの日本製品。多くの種類があるカレー粉は、香り中心のものと辛さを個性として据えたものに分けることができるのではないかと考えている。
王道はやはりヱスビーのカレー粉。通称「赤缶」。この赤缶は日本で一番知られているカレー粉であると同時に、赤缶独特の味と個性を持っている。カレーマニアの諸氏にうかがうと、どうやら赤缶を使ったカレーはその個性から見分ける、いや、嗅ぎ分けることができるのだとか。そして外食カレー店はいかにこの赤缶の良さを残しながら「赤缶味のカレーライス」ではないものに持って行くかを考え秘術を尽くすという。大変に面白い。

カレー粉の個性を知る。歴史につながる高品質カレー粉

そんな個性的な赤缶と双璧をなすとわたしが考えているカレー粉が「インデラ・カレー」だ。
「インデラ・カレー」のバランスが好みだ。ファーストインプレッションはいつでもクローブとカルダモンがすいっと前に出てくる印象。赤缶がどっしりした印象だとすれば、インデラカレーは軽やかでスピード感を感じる。まろやかかつ爽やかな方向性を持つカレー粉だと思っている。
調理前にうっかりごはんを切らしていることに気がついた。仕方ない、スーパーマーケットで一食分の炊き上がりごはんでも買うか、と近所のスーパーに出掛けた。そんなとき、面白いものを見つけてしまった。

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「カリフラ」という商品名のこれ。どうやら最近アメリカではやりのようで、カリフラワーライスと呼ばれる。ダイエットフードとして人気があり白米と比較すると、糖質・カロリーともに低くヘルシー志向の人の間で話題なのだとか。日本でも冷凍コーナーでわりと簡単に手に入るようになった。カリフラワーを米粒大に細かくカットした食品。ごはん代わりにカレーやチャーハンなどに応用したり、茹でたのちサラダやスープなどに具材として入れることもできるらしい。そうか。それではひとつ、このカリフラワーライスを使って旅のことを思い出しながらカレーチャーハンでも作ってみよう。

 

カリフラワーライス、使ってみるとこれがすこぶる具合が良い。まず冷凍のまま熱したフライパンに落としてやると、しんなりせずにパラパラと良いいため具合に仕上がる。なかなか優秀だ。

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みじんにしたタマネギとソーセージを炒め、同じく冷凍のミックスベジタブルを一緒に混ぜて少しスパイスなども加え塩胡椒で味をつけてカリフラワーライスを投入、一旦チャーハンとして仕上げる。この時点で既にカリフラワーライスはパラパラの状態。見た目もごはんのそれと遜色ない。こののちインデラカレー粉を合わせて少し炒めてカレーチャーハンに仕立ててやる。これが実にうまくいった。冷凍のものだが解凍をせずに熱したフライパンで炒めたが、パラリと仕上がってしんなりしてしまわず優秀であった。

 

カレー粉の個性を知る。歴史につながる高品質カレー粉

食べてみると、これはなかなかうまい。我ながら上出来だ。
調味といっても塩胡椒とスパイス少々。そこに「インデラ・カレー粉」だけとした。シンプルであるが、しかし旨い。カリフラワーだからなのか、調理の途中でカレー粉やその他の調味料が均一に行き渡りやすいと感じた。また、冷めてもしんなり、ぺったりしないし固くもならない。これはある部分ではお米のごはんを越えるところでさえある。たいしたものだ。「インデラ・カレー粉」がいい香りを作り出し、香り以上に味の奥行きを引き出している。紛れもなく誰もが想像するカレーチャーハンだ。

カレー粉の個性を知る。歴史につながる高品質カレー粉

「インデラ・カレー粉」を作っているナイル商会は、東京文京区に1935年創業。戦災での焼失を経て東京練馬、豊玉に旭食品の名前で事業を再開。そして1952年、当時の在日インド人会会長、A.M.ナイル氏から技術提携を受けた。そう、あのインド独立運動の闘士であり、銀座ナイルレストランの創業者。A.・M・ナイル氏と創業者の故小泉忠三郎氏の出会いから日印合作のカレー粉が誕生。そんな縁から社名をナイル商会と改め、商品名をインデラカレーに決めて現在に至る。1990年には銀座ナイルレストラン社長に就任したG.M.ナイル氏に業務提携及び技術顧問の継続を依頼、快諾を受けた。

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そんな歴史のひとページをも内包するこのカレー粉、「インデラ・カレー粉」を使って中東からアジア全域、果ては南欧にまで広がる炒飯文化の果てである日本のカレーチャーハンを作る。ポロ(イランなどの中東の炒め飯)、プラオ(インドスタイルのピラフ)、ピラウ(トルコ料理)でもあり炒飯(ご存知の中華料理定番)でもある自分で手を動かして作ったカレーチャーハン。それを香港や深センの旅を反芻しながら食べる。自分で作った食事に意味が見えてくる。
そこに寄り添うようにその土地の植生や産物と、民族、宗教、文化。機能や薬効が必ず付いて回る。

 

食というのはきちんと歴史や文化につながっている、楽しいものなのだ。
次の旅がまた見えてくる。

紹介しているお店
株式会社ナイル商会 株式会社インデラ

※掲載情報は 2018/11/26 時点のものとなります。

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キュレーター情報

飯塚敦

カレーライター・ビデオブロガー

飯塚敦

食、カレー全般とアジア料理等の取材執筆、デジタルガジェットの取材執筆等を行う。カレーをテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」が10年目で総記事数約4000、実食カレー記事と実食動画を中心とした食と人にフォーカスする構成で読者の信頼を得る。インドの調理器具タンドールの取材で09年秋渡印。その折iPhone3GSを購入、インドにてビデオ撮影と編集に開眼、「iPhone x Movieスタイル」(技術評論社 11年1月刊)を著す。翌年、台湾翻訳版も刊行。「エキサイティングマックス!」(ぶんか社 月刊誌)にてカレー店探訪コラム「それでもカレーは食べ物である」連載中。14年9月末に連載30回を迎える。他「フィガロジャポン」「東京ウォーカー」「Hanako FOR MEN」やカレーのムック等で食、カレー関係記事の執筆。外食食べ歩きのプロフェッショナルチーム「たべあるキング」所属。「ツーリズムEXPOジャパン」にてインドカレー味グルメポップコーン監修。定期トークライブ「印度百景」(阿佐ヶ谷ロフトA)共同主催。スリランカコロンボでの和食レストラン事業部立ち上げの指導など多方面で活躍。

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