ピリッとした実山椒の刺激がアクセントに。ドライフルーツの寄せ菓子「果椒」

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「山椒は小粒でもぴりりと辛い」という諺、ある意味では日本のイメージではないだろうか。山椒の英名は「Japanese Pepper」。まさに日本の胡椒なのである。日本に山椒が多く自生していたおかげで、肉や魚の食あたりを防ぐ「効能のある調味料」として古代から使われていたのである。これは、縄文時代の遺跡からも山椒の化石が出土しているのであるが、この山椒は古代より日本から中国、東アジアで親しまれてきた特有の香辛料なのである。

 

しかし、日本の山椒と中国の山椒は微妙に使われ方が違うのである。山椒は中国では「花椒(カショウ)」といい四川料理の麻婆豆腐や担々麺が有名である。中国料理では、花椒粉と塩を混ぜて作る「花椒塩」や万能スパイスの「五香粉」にも配合されている。
一方で日本での山椒の一番判りやすい食べ方はうなぎにふりかけることだ。余談だが、ご飯にうなぎのたれと山椒をかけてうなぎ無しで食するのも実は旨い。話がそれたが、山椒と一口に言っても、山椒は成りの形違いで使い方や味も変わるのだ。
まず、葉の部分は「木の芽」という名称で吸い口や木の芽味噌、筍の若竹煮、筍ご飯などに使われる。花は「花山椒」で期間は短いが、特に牛肉の花山椒鍋は一度食べたら、また翌年も食べたくなる病み付きの味なのである。そして、実の部分は「実山椒・青山椒」として料理の彩り、佃煮、当座煮などやちりめん山椒など使われ、果皮は「粉山椒」としてうなぎの蒲焼や焼き鳥、七味唐辛子の材料として使われる。

 

中国料理の「花椒」と日本料理の「山椒」はどう違うか。植物学的には同じミカン科サンショウ属だが、中国産は華北山椒(カホクザンショウ)で日本産は日本にしかない山椒(サンショウ)なのである。ちなみに、サンショウ属の植物は250種もあるのだ。これも余談だが、山椒の「木の芽」は、「きのめ」と「このめ」の2通りの読み方がある。一般に山椒の場合は「木(き)の芽」と読み、「木(こ)の芽」と読むものは春になって出てくる若芽を指すことが多い(地方によっては違う所もある)。さて、中国語表記だと 「花椒(カショウ)」だが、この字に「果椒(かしょう)」の字を宛てた和菓子がある。

ピリッとした実山椒の刺激がアクセントに。ドライフルーツの寄せ菓子「果椒」

京都の北の丹後に明治3年に1軒の旅館が誕生した。この地は江戸時代から丹後縮緬(ちりめん)で栄え、その旅館も京都などから訪れる商人たちの宿で、老舗旅館として百年以上も続いていた。やがて、縮緬産業の衰退で町中の旅館から敷地3千坪の山の麓に客室七部屋という贅沢な旅館へと転換した。時代が変わり昭和57年に京都市内、秀吉の北の政所「於寧(おね)」ゆかりの高台寺近くに旅館として使われていた。数寄屋建築の名建築がありここを懐石料理の店『として和久傳』として産声を上げた。その後、『和久傳』は京都で確固たる評価を得て名店となり、元々の誕生の地である丹後に、おもたせなど物販商品の工房をつくり、また地域の旬の食材へのこだわりから、丹後の米、野菜や果物などの栽培もはじめたのだ。

ピリッとした実山椒の刺激がアクセントに。ドライフルーツの寄せ菓子「果椒」

この地域は山椒の産地でもあり、ここで栽培した果物などを和菓子に仕立ている。「果椒」は地元産のくるみ、小豆やイチジクをはじめ、アーモンド、マカダミアンナッツ、カシューナッツ、ドライチェリートマト、ドライクランベリー、柚子、蜂蜜、ピスタチオに黒砂糖、和三盆などに実山椒を入れた“木の実の寄せ菓子”。和風版の「ヌガー」に似ていると思えば良いだろうか。本来のヌガーは卵白やゼラチンを入れて固めたお菓子だが、「果椒」はつなぎに黒砂糖と蜂蜜と水のみを使い、ヌガーのように固くはない。ドライフルーツの香りに実山椒のピリッとした刺激が心地よく、ウィスキーをストレートで飲みながら手で割りながら食べているうちにボトルがずいぶん減ってしまった。

※掲載情報は 2018/02/23 時点のものとなります。

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キュレーター情報

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

アートディレクター・食文化研究家

後藤晴彦(お手伝いハルコ)

後藤晴彦は、ある時に料理に目覚め、料理の修業をはじめたのである。妻のことを“オクサマ”とお呼びし、自身はお手伝いハルコと自称して、毎日料理作りに励んでいる。
本業は出版関連の雑誌・ムック・書籍の企画編集デザイン制作のアート・ディレクションから、企業のコンサルタントとして、商品開発からマーケティング、販促までプロデュースを手がける。お手伝いハルコのキャラクタ-で『料理王国』『日経おとなのOFF』で連載をし、『包丁の使い方とカッティング』、『街場の料理の鉄人』、『一流料理人に学ぶ懐かしごはん』などを著す。電子書籍『お手伝いハルコの料理修行』がBookLiveから配信。
調理器具から食品開発のアドバイザーや岩手県の産業創造アドバイザーに就任し、岩手県の食を中心とした復興支援のお手伝いもしている。

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