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バーリーマックス、大麦グラノーラをカレーふりかけにアレンジ
数日前、仕事で熊本の八代まで出かけた。いくつかあるわたしの生業のうちの一つ、動画の撮影と編集の講師としてレシピ動画のスタジオ作りと撮影編集の講師を務めるためだった。訪問先は八代港にある西田精麦。大麦の輸入、加工と販売を行う精麦会社大手である。
大規模な精麦工場にはひっきりなしにトラックが出入りし、積み込まれた大麦をサイロに下ろしては去って行く。サイロをのぞくといい匂いが漂い、美しい金色の大麦が見えた。
これまでも大麦を使ったカレーの開発のお手伝いや展示会の応援などでお付き合いがあった。わたしが登壇していた定期イベントで、カレーが取り持つご縁で出会った山口在住のデザイナー、頼田さん。彼とのお付き合いの中で彼が繋いでくださった西田精麦の浦松さん。そして料理研究家の近藤さん。東京や熊本でご一緒し、四人で仕事をしている。
今回は西田精麦の社長夫人、西田文江さんのアイディアで短いレシピ動画を自社内で制作できる体制を作りたいというご要望。それを叶えるために奔走し、撮影システムを構築、機材一式を抱えて熊本八代に飛んだ。
西田精麦のテストキッチンのとなりに設置を行なった動画スタジオは手間をかけないで美しい動画を、というご希望をどうやら叶えられた様子。設置を完了した機材を使ってさっそくレシピ動画の素材を撮影。「むすび食堂」という屋号で料理教室とレシピ開発を行う近藤貴美先生がレシピ監修を行う。西田精麦が加工と卸を行なうスーパー大麦「バーリーマックス」を使った美しくおいしい料理の調理手順を撮影した。
これから動画を撮影、担当する西田文江さんと女性担当お二人にも大いに喜んでいただけた。
そんな撮影仕事の中でどうしても気に入ってしまったレシピ、料理があった。大変簡単ですごく美味しいふりかけのレシピだ。その名も「バーリーマックスふりかけ」。大麦の無糖グラノーラともいえるバーリーマックスに海苔や鰹節、醤油などを合わせてフライパンで炒ってゆく、大麦でふりかけを作ってしまうという楽しいアイディアの一品だった。大変おいしくてふりかけをパクパクと食べるわたしを見て、近藤貴美先生が帰り際にわたしにレシピを託してくれた。おや、と思ってメモを見ると、なんとそこには「バーリーマックスカレーふりかけレシピ」という記述が。わたしがあんまり嬉しそうに食べるのを見てレシピをアレンジ、作り上げてくれたのだ。なんといううれしい事だろう。
スーパー大麦とも呼ばれるバーリーマックスはオーストラリア生まれ。オーストラリア連邦科学産業研究機構が開発を手掛けた遺伝子組み換えを一切しない大麦だ。通常の大麦に比べて約2倍の食物繊維を持ち、約4倍の難消化性でんぷん、レジスタントスターチを内包するスーパーフード。食物繊維が複合的に含まれるという性質から大腸の奥の方に届きやすいそうだ。薄焼き等の大麦加工の高い技術を持つ西田精麦が輸入加工を行い、帝人が販売を受け持つ。
そのままのものを少しつまんだのだが、とてもいい。からり、パリッと仕上がっていて香ばしく、大麦のいい匂いが自然に香る。どこかにほんのり酸味のニュアンスがあって風味が豊かなものだ。
さて、せっかくいただいたレシピ、ありがたいことに西田精麦のご好意でスタジオ撮影後、そのまま調理という流れに相成った。いただいたレシピは下記のような内容だ。
・バーリーマックスカレーふりかけ
【材料】
☆バーリーマックス 大さじ3
☆鰹節 大さじ2
☆白ごま 小さじ1
☆カレー粉 小さじ1/2~
☆ココナッツファイン 小さじ1/2~
・醤油 小さじ2
・生姜しぼり汁 小さじ1/3
【作り方】
1.フライパンに☆の材料を入れて香ばしい香りがするまで弱火で炒る
2.醤油を回しいれて水分がなくなるまでさらに炒る
3.生姜のしぼり汁を入れて水分がなくなったらココナッツファインを混ぜて出来上がり
調理の最中も楽しいものだった。西田精麦の動画チームに調理をしていただいたのだが、途中醤油のいい香りがぐっと香り、食欲をそそる。おや、カレー粉も入るのに香りが来ないな?と思っていると、後から追いかけるようにふんわりとカレー粉の香りが漂い、おいしいものが出来上がる良い予感しかない。果たして完成したバーリーマックスカレーふりかけ、大変な美味であった。
大げさにはならず適度に香るカレー粉とココナッツファインが香ばしく、食欲をそそる。カレーを作らずともカレー的なもの、カレー味が食べられる、とでも言おうか。常備菜としてさっと作って何日か食べるなどという使い方、いいのではないだろうか。サラダにふりかける、サンドイッチのフィリングに追加してもいいと思う。
今回は熊本で作ったわけだが、熊本の甘い醤油、これがキーになったと感じた。バーリーマックスと合わせると実にいい具合に旨味と深みが増してゆく。土地のものを使う楽しさが溢れる秀作である。これは色々なアレンジもしやすいだろう。逆に関東の醤油でも試してみたくなる。なによりココナッツファインを使うというアイディア。さすがの近藤先生、スリランカ風アレンジである。スリランカには鰹節文化があり、スリランカの食の柱となるスパイス料理にも当然のように鰹節が使われているのだ。スリランカのカレー、鰹節はモルディブフィッシュと呼ばれる日本の鰹節より少し小ぶりの、しかし鰹節そのままのものを使う。そしてインドとは違ってスリランカンスタイルのミックススパイス「ツナパハ」を多用する。ここにココナッツミルクなども定番で使用されるのだ。このふりかけ、まさにスリランカスタイル。まったく楽しいアレンジメントだ。
大麦グラノーラをふりかけにするというアイディアの面白さ、手軽さには驚かされた。大麦グラノーラの可能性を見た気がする。バーリーマックスはかみごたえがあり、少しの量でも満足感が高い。一方そのままだと咀嚼しにくいと思う人もいるそうだ。そこで簡単な調理をして食べやすく、更に美味しくするという提案、とても価値がある。
ノンフライポテトバーリーコロッケ、バーリーティラミス、ポテトバーリーラザニア、生ハムのバーリー巻、バーリーエナジーボールなどこの時の撮影では他にもアイディア溢れるレシピの撮影をした。
ただのシリアルというわけではないことがよくわかった。
スーパー大麦「バーリーマックス」の底力、まだまだ奥が深いと感じる。
※掲載情報は 2018/02/04 時点のものとなります。
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キュレーター情報
カレーライター・ビデオブロガー
飯塚敦
食、カレー全般とアジア料理等の取材執筆、デジタルガジェットの取材執筆等を行う。カレーをテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」が10年目で総記事数約4000、実食カレー記事と実食動画を中心とした食と人にフォーカスする構成で読者の信頼を得る。インドの調理器具タンドールの取材で09年秋渡印。その折iPhone3GSを購入、インドにてビデオ撮影と編集に開眼、「iPhone x Movieスタイル」(技術評論社 11年1月刊)を著す。翌年、台湾翻訳版も刊行。「エキサイティングマックス!」(ぶんか社 月刊誌)にてカレー店探訪コラム「それでもカレーは食べ物である」連載中。14年9月末に連載30回を迎える。他「フィガロジャポン」「東京ウォーカー」「Hanako FOR MEN」やカレーのムック等で食、カレー関係記事の執筆。外食食べ歩きのプロフェッショナルチーム「たべあるキング」所属。「ツーリズムEXPOジャパン」にてインドカレー味グルメポップコーン監修。定期トークライブ「印度百景」(阿佐ヶ谷ロフトA)共同主催。スリランカコロンボでの和食レストラン事業部立ち上げの指導など多方面で活躍。