新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜

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「未来からの前借り、やめましょう!」がメッセージ

先月、あるイベントで『坂ノ途中』という会社が手がけた野菜を試食する機会がありました。野菜ってこんなに美味しかったっけと思うほど、とても美味しかったのです。
『坂ノ途中』は京都に拠点を置き、新規就農者が農薬や化学肥料不使用で栽培した農産物を主に通信販売しています。取り扱っている野菜はただ美味しいだけでなく、食べる側に伝えたいメッセージも持っています。それは、「未来からの前借り、やめましょう!」です。

新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜

『坂ノ途中』の面白いところは、単純に農薬と化学肥料を使用することを悪とすることもなければ、それらを使用しないことを善とすることもないところ。また、いわゆる従来の有機野菜を販売する業者が主張するような「安心・安全」をうたっている訳ではなく、「環境への負荷を下げて行きましょう」という全く異なった視点を持っています。

 

『坂ノ途中』の取り扱う野菜が美味しい秘訣は、農薬や化学肥料を使用しないことです。農薬や化学肥料を使用しないことの利点は、環境負荷を少なくし農業を持続可能なものに近づけるということもあります。化学肥料に依存した栽培では、農作物が他の生物に負けやすくなります。その結果、殺菌剤、殺虫剤、除草剤などの農薬を使うようになります。農薬を多用すると、有機物を分解してくれる微生物を減少させてしまいます。そして、農作物に素早く栄養補給が出来る化学肥料をまた使用してしまうのです。農薬と化学肥料がお互いに必要性を高めてしまうというスパイラルが生まれてしまいます。それは農業の低コスト化になるかもしれませんが、その一方で将来へ負担を先送りし、持続可能性から遠ざかってしまう側面もあります。この構図を「未来からの前借り」とらえ、「未来からの前借り、やめましょう!」と掲げているのです。

 

そこで『坂ノ途中』が目を付けたのが、新規就農者。新規就農者には、自分の価値観や人生観を固めて志す若者が多く、そのうち約9割の新規就農者が有機農業に興味があるそうです。ただし、新規就農者が農薬や化学肥料を使用しないで栽培した農産物を作るには、様々な問題があります。『坂ノ途中』は、様々な問題が解決に向かっていくような仕組みづくりをしているのです。

新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜

これから有機農業をやろうとしている人たちへのハードルは高い為、離職者もかなり多くみられます。実際、新規就農者には条件の良い農地がなかなか回ってこないのです。せっかく農地を調達出来ても、狭くて機械が使えない土地や、広くても土が肥えていない土地だったりします。狭いと手作業で栽培するため、当然生産量も低くなります。また、広い土地には「貸しはがし」の問題がよくあります。休業している高齢の農家から土地を借り、ようやく「土が肥えてきたな」というタイミングで、「そろそろ身体の調子が良くきたので、やっぱり土地を返してくれ」と言われることがよくあるそうです。
農家の子に生まれるかどうかで、作業環境には雲泥の差が発生します。また新しく農家を始める人たちにとっては、販路の開拓も難題です。ほとんどの新規就農者は、野菜を作ることに注力しますが、野菜を販売することに対してはあまり関心のないことが多いのです。生産量も少ない上に不安定な新規就農者とあえて契約する販売業者も多くありません。産地直送販売という手段もありますが、農家がレストランや一般消費者に直接販売しても、送れる野菜の種類は少なく、いつも同じようなものばかりが届いてしまうことも多いそうです。

 

『坂ノ途中』では、京都を中心とした関西圏、九州、中・四国の新規就農者と取引しています。少量で不安定な供給のデメリットを、多くの新規就農者と契約することで、ネットワーク化して解決しています。それぞれの新規就農者の栽培計画や、細かな生育状況を把握して生産量予測をしながら供給を安定化させています。カラフルな西洋野菜から京都や奈良の伝統野菜まで幅広く、年間約300種類の野菜を取り扱っています。

 

『坂ノ途中』の野菜がお客さまに選ばれる一番の理由は「美味しさ」だといいます。その次に、「飽きさせない」ことだそうです。一般的に農産物の定期宅配が解約される主な理由は、「同じようなものばかり届く」ことらしいですが、『坂ノ途中』は飽きられないようにバランス良く工夫しているのです。

新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜

通信販売の他に、直営店が京都の東寺、東京の代々木八幡と経堂にあります。イベントの試食で食べた野菜の美味しさが忘れられなくて、代々木八幡にある直営店に行ってきました。
感じよく対応してくださったお店のスタッフの方は、野菜の美味しさに惹かれて『坂ノ途中』のファンになり、そして通い続けているうちにいつの間にか働くことになったそうです。
店内には、新規就農者が作った様々な旬な種類の野菜が並んでいました。

新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜

スタッフの方に今のおすすめをいくつか聞きました。大分のタナカレンコンは、厚切りにしてオリーブオイルで焼くと美味しいとのこと。田中兄弟が作るタナカレンコンは、レンコン農家だった祖父が残してくれた思いを受け継ぎ、栽培されたものだそうです。

新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜

土を洗い流しても黒いところが残るのがタナカレンコンの特徴です。通常、レンコンの色を白くする為に収穫の1ヶ月前から2ヶ月前に茎を倒して呼吸を止める「渋抜き」という作業がありますが、田中兄弟はそれをしません。収穫する間際までレンコンの呼吸を止めないほうが、色は白くならないけど美味しいそうです。

新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜
新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜

京都府亀岡市の『柴田ファーム』がつくる紅心だいこん。趣味の家庭菜園から専業農家に転身した『柴田ファーム』は、いかに美味しい野菜をつくるかに研究熱心です。

新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜

だいこんを切ってみると、鮮やかで美しいピンクの断面で食卓を飾ります。塩を軽くふって、生のまま食べても美味しいです。

新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜

和歌山県那智勝浦町の『色川山田農園』のつくるつくねいもは、オーブンで焼いて食べました。サクサク感がたまらないです。

新しく農家を始めた人たちで作る、地球に優しく美味しい野菜

滋賀県高島市の『マコトヤ菜園』のラディッシュミックスは、そのまま切らずに食べられるので、お酒のつまみにもぴったりでヘルシーです。

 

収穫の時期によって、入荷する野菜の種類は異なります。
食べると美味しさと一緒に、新規就農者たちの情熱が伝わってきます。
それらの美味しい野菜を食べ続けることで環境への負荷が低減されます。
良いことばかりで、なんと素晴らしい取り組みでしょう!

 

通信販売ではお試しセットを、実店舗では好きな野菜を買うことが出来ます。ご興味のある方は、ぜひ一度お試しください。

※掲載情報は 2018/01/17 時点のものとなります。

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キュレーター情報

荒岡俊行

荒岡眼鏡の三代目 眼鏡店ブリンク店主

荒岡俊行

1971年生まれ。東京・御徒町出身。1940年から続く「荒岡眼鏡」の三代目。
父方も母方も代々眼鏡屋という奇遇な環境に生まれ育ち、自身も眼鏡の道へ。

ニューヨークでの修業を経て、2001年に外苑前にアイウエアショップ「blinc(ブリンク)」、2008年には表参道に「blinc vase(ブリンク・ベース」をオープンさせる。
「眼鏡の未来を熱くする。」をミッションに掲げ、眼鏡をカルチャーの1つとして多くの方々に親しんでいただけるよう、眼鏡の面白さや楽しさを日々探求しています。

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