御池煎餅
京菓匠 亀屋良永 京都市中京区寺町通御池下ル本能寺前町504 電話:075-231-7850
京都生まれ、京都育ちのコピーライターが、
会社にお土産をもってきてくれました。
紙包みを開くと、斬新だけどどこか懐かしい赤地のラベル。
「これ、棟方志功が作ったんですよ」と言われて、
「ああ、そうか!」と納得。
独特の力強さがあります。
「お店の看板は、武者小路実篤の字なんですって。
それだけですごいですよね」
しかし、彼女は私の文学趣味を満足させるために
これを買ってきてくれたわけではありません。
実は、人間ドックで血糖値が高めだった私のために、
体に負担のない「甘いもの」を買ってきてくれたの
でした。
食べてみる。
サクっとした心地よい歯ごたえのあと、
ふっと口の中で溶けてしまうような食感。
噛むとどこかメープルシロップのような味がする。
そしてふっとほのかに醤油の風味がある。
古いようで新しく、和菓子のようでありながら、
どこかに外国の香りもある。
様々な食感、風味、味わいを細かくていねいに
かき集め、最高の完成度で焼き上げた感じ。
確かに体にも良さそうです。
「問題は、おいしくて食べ過ぎちゃうところ
なんですよね」
と言いながら、お茶を飲みつつ一枚、二枚と
進むうち、あっという間に空になってしまいました。
後をひくうまさを抗えず、
「また、京都に帰ったら買ってきて」
とお願いし、小さな宴はおひらきになりました。
ぜひあなたも京都の至芸をご賞味ください。
京菓匠 亀屋良永 京都市中京区寺町通御池下ル本能寺前町504 電話:075-231-7850
※掲載情報は 2017/11/19 時点のものとなります。
スピーチライター/コラムニスト
ひきたよしあき
(株)博報堂で、広告クリエーターとして働くかたわらで、「朝日小学生新聞」などにコラムを書いています。出張、撮影、講演で全国を回りながら、おいしいものを送ったり、頂いたり。誰かに何かを送ろうとする時、そこに素敵なエピソードが生まれます。高い安い、有名無名に関わらず、できればその一品にまつわる物語までお伝えしようと思っています。皆さんからの情報もお待ちしています。主な著書「あなたは言葉でできている」(実業之日本社)「ゆっくり前へ ことばの玩具箱」(京都書房)「大勢の中のあなたへ」(朝日学生新聞社)