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皮に松葉模様をあしらった上品な最中
2013年(平成25年)12月4日、「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。日本伝統の食文化が世界的に注目されるのは大変嬉しいことです。日本の食文化の中でも、私が特に大切にしたいのが「和菓子」です。トマトやキュウリ、ナスなどが一年中手に入るようになったいま、野菜や果物の旬はすっかり薄れてしまいました。その点、和菓子は、1月の花びら餅に始まり、2月はうぐいす餅、3月は桜餅、4月は草餅と、確実に四季の移ろいを感じさせてくれます。
そうした季節感あふれる和菓子を求めて、たびたび足を運ぶのが、駿河台下にある「さゝま」です。創業は1929年(昭和4年)、神田小川町でパン屋として開店しました。その2年後に店を現在の場所に移し、和菓子を作り始めた、といいます。1934年(昭和9年)からは和菓子専門店となり、四季折々に見ているだけでも楽しくなるような美しい和菓子を提供しています。
和の生菓子は繊細ですから、消費期限はその日のうちか翌日まで。そこで、私が手土産として重宝しているのは、皮に松葉の模様をあしらった「松葉最中」です。パリッと香ばしい皮と、北海道十勝地方産の小豆を使用したあんを組み合わせた上品な味わい。消費期限は5日間ありますので、安心して手土産にできます。
私は、最近、取材する側よりされる側になるほうが多く、事務所に来る若いライターや編集者の方が手土産を持ってきてくださるのですが、紙袋に入ったままの状態で差し出されることが多いのが気になります。紙袋から出し、相手から見て正面になるように向きを変えてお渡しするのがマナーです。みなさまもどうぞお気をつけください。
※掲載情報は 2014/12/22 時点のものとなります。
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キュレーター情報
食生活ジャーナリスト
岸朝子
大正12年、関東大震災の年に東京で生まれ、女子栄養学園(現:女子栄養大学)を卒業後、結婚を経て主婦の友社に入社して料理記者歴をスタート。その後、女子栄養大学出版部に移って『栄養と料理』の編集長を10年間務める。昭和54年、編集プロダクション(株)エディターズを設立し、料理・栄養に関する雑誌や書籍を多数企画、編集する。一方では、東京国税局より東京地方酒類審議会委員、国土庁より食アメニティコンテスト審議員などを委託される。
平成5年、フジTV系『料理の鉄人』に審査員として出演し、的確な批評と「おいしゅうございます」の言葉が評判になる。
また、(財)日本食文化財団より、わが国の食文化進展に寄与したとして食生活文化金賞、沖縄県大宜味村より、日本の食文化の進展に貢献したとして文化功労賞、オーストリア政府より、オーストリアワインに関係した行動を認められてバッカス賞、フランス政府より、フランスの食文化普及に努めた功績を認められて農事功労賞シュバリエをそれぞれ受賞。
著書は『東京五つ星の手みやげ』(東京書籍)、『おいしいお取り寄せ』(文化出版局)他多数。