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60種類以上もの唐辛子が存在する国
前回の記事でもご紹介しましたが、メキシコで古代から受け継がれる基本食材は「唐辛子」、「豆」、「とうもろこし」です。今回は、その中のひとつ「唐辛子」についてお話したいと思います。メキシコでは唐辛子の事を「チレ」と呼びます。メキシコ料理は辛いというイメージを持たれるかもしれませんが、それはチレを使用する「サルサ」のイメージから来ているのかもしれません。
日本では、「唐辛子」といえば辛いものというイメージがあるかもしれませんが、メキシコのチレには辛さもさまざまあり、甘い辛さ、苦い辛さ、コクのある辛さなどそれぞれ特徴があります。メキシコには、60種類以上ものチレが存在します。街の野菜売り場や食品売り場には山積みにされ販売されています。
唐辛子はトウガラシ属に属しています。その中の5品種が栽培種で、約25品種が半栽培種や野生種です。その内、トウガラシが世界中で最も食べられており、栽培の中心地であるため、その多くの種類がメキシコにあります。地図でもご覧頂けますように、メキシコには少なくとも64の異なる品種があり、人気なのはセラーノとハラペーニョ、グアヒージョ、アンチョです。主にメキシコの中央部と北部で栽培されています。ハバネロは主にメキシコの南に栽培されています。その他の品種は経済的には余り重要ではありませんが、多種多様で、メキシコのその他の地域で見られます。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/capsaicin/syousai/
最も愛される3つのサルサ
サルサソースは、メキシコ料理には欠かせないものです。チレの種類が豊富な分だけサルサソースのバラエティーも豊かです。今回は、メキシコで最も人気がある3つのサルサソースをご紹介します。1つ目は、メキシコの国旗の色「赤」、「白」、「緑」と同色な事から
「サルサメヒカナ」と呼ばれているサルサです。トマト(赤)、たまねぎ(白)、チレ・ハラペーニョ(緑)コリアンダー(緑)、にんにく(白)を混ぜ合わせて、塩で味を調えたサルサです。
2つ目は、緑色のソースが特徴的な「サルサ・ベルデ」。ホオズキの仲間である「トマティージョ」を使うため、酸味がありさわやかな味のサルサです。トルティーヤに具を入れて2つ折にし、ソースで煮た「エンチラーダス」にしてもこれからの暑くなる季節にぴったりです。
3つ目は、真っ赤な色が特徴的な「サルサ・ロハ」。真っ赤なのは赤い生のチレとトマトを使っているためです。この3種類のサルサはレストランでも常にテーブルに置かれているほど愛されているサルサです。
変り種サルサ「モレ」
チョコレートを使った不思議なサルサも存在します。チョコレートに数種類のチレ、くだものやナッツを加えた「モレ」は、主に肉料理に使われます。チョコレートといっても、砂糖やミルクなどは一切入っていないので、そこまで甘くはありません。「モレ・ポブラーノ」と呼ばれる、「モレ」を煮込み鶏肉にかけた料理に使われます。甘さと辛さが絡み合った濃厚な味わいが特徴です。
このように奥深い歴史や味わいを持つ「サルサ」。各家庭には、それぞれオリジナルのサルサの味があります。その組み合わせは無限大といえます。是非、お好みのメキシコ料理に合うサルサを見つけてみてくださいね。
※掲載情報は 2017/06/09 時点のものとなります。
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キュレーター情報
メキシコ合衆国大使館
北・中央アメリカに位置するメキシコは、西は太平洋、東はメキシコ湾とカリブ海に面していて、国土の3分の1は平均高度約1700mのメキシコ高原が占めています。古代にはマヤやアステカ文明で栄え、16世紀にはスペインによって支配されます。1810年まで続いた300年ものスペインによる長い統治にもかかわらず、7000年という歴史を持つメキシコ料理はその影響を最小限にとどめ、トウモロコシ、マメ、唐辛子をベース にした伝統料理をベースにした独自の食文化を守り続けてきました。その結果、2010年にメキシコ料理はユネスコ世 界無形文化遺産として登録されました。日本人に馴染みの深い「タコス」以外にも、さまざまな絶品料理がありますので本場メキシコ料理の魅力を発信していきます。