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フランスのロレーヌ地方から、多くのお菓子が生まれました。たとえばマドレーヌ。18世紀、この地を治めていたスタニスラス・レクチンスキー公が宮廷につかえていた女中に作らせ、その女中の名前を付けたと言われるお菓子です。また、ババ・オ・ラムもその宮廷から生まれました。その宮廷があった町がナンシー。
その町の名前を冠するお菓子が「アミティエ」のオーナーシェフ、三谷智恵さんが作る「ナンシー」です。これもこの地方のお菓子ですが、この「ナンシー」は、オリジナルレシピにキャラメルクリームを忍ばせ、しっとりとした味わいと同時に、チョコレートとキャラメルの合わさった奥深い味わいに仕上げられています。三谷シェフは、OLを経てパリでお菓子を勉強、ピエール・エルメなどで研修し、ご主人といっしょにパティスリーを開きました。
今年で11年目だそう。「ナンシー」もそうですが、彼女の焼き菓子の隠れファンは、私だけではないはず。小柄で控えめなシェフですが、お菓子作りに対するパッションと実直な性格が、その味に表現されています。
※掲載情報は 2017/05/16 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フランス菓子・料理研究家
大森由紀子
学習院大学文学部仏文科卒。パリ国立銀行東京支店勤務後、パリのル・コルドン・ブルーで、料理とお菓子を学ぶ。パリ滞在中、ツール・ダルジャン、アンブロワジー、アルページ、フォション、ホテル・ニッコーなどで修業し、ピエール・エルメやジャン・ポール・エヴァンとともに仕事をする。フランスの伝統菓子、地方菓子など、ストーリーのあるお菓子やフランス人が日常で楽しむお惣菜を、メディアを通して紹介している。目黒区祐天寺にてフランス菓子と惣菜教室を主宰。フランスの伝統&地方菓子を伝える「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」の理事。「貝印スイーツ甲子園」のコーディネーター、「世界50ベストレストン」の審査員、ル・コルドン・ブルー卒業生代表を務める。毎年、フランスの地方の食を訪ねるツアー、サロン・ド・ショコラツアーを開催。主な著書:「フランス地方のおそうざい」「私のフランス地方菓子」「パリ・スイーツ」「フランス菓子図鑑」など30冊以上。