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世にも珍しい、温泉×パネトーネ×黒豆の競演!
仕事柄、日本各地の温泉は一通り巡ってきましたが、温泉地のお土産の定番といえば、いわゆる「温泉饅頭」ですよね。昔ながらのものから、黒糖や抹茶を使った新製品も登場して、各温泉地では創意工夫を凝らしたものが百花繚乱。宿泊する旅館のお茶受けにも必ず試食用が用意されていますね。でも、人間とは贅沢なもので、経験を重ねるごとに定番のお土産のだけでは飽き足らず、「自分だけの旅のスタイル」を象徴するような一風変わったお土産を探し始めるものなのです。
実は、私もその人ひとりでして、今でも旅館で入浴するごとに売店をウロウロし、さらに道の駅やドライブインでも目新しいものはないかと常にチェックしております。
最近もこれは美味しそう!と思うものが見つかり、思わず購入してよくよく見たところ、とんでもなく珍しいものだな、と感心した名作がありました。
それがこの「あわら温泉ぱん 丹波黒豆」です!
このビジュアルの通り、大きな黒豆がごろごろしている姿もなかなかのポイントですよね。
それも丹波の黒豆を使用ということで、とってもほくほくして食べごたえがあります。でも、このパンの珍しさはその生地の由来にあります。なんと、パネットーネ種を使用し、温泉水を使って120時間発酵熟成させているとのこと!
パネットーネとは、今ではみなさんご存知の、ミラノ発祥といわれるイタリアのクリスマス用菓子パンですね。私がイタリアに通っていた20数年前にはまだあまり日本では知られていないお菓子でしたし、発酵に使われているパネットーネ酵母という種が日本では手に入らないものだったので、当時のイタリアンのシェフたちはその入手には非常に苦労している、と聞いていました。加えてパネットーネ生地の完成には発酵にとても長時間かかるので、お店で出すのにも大変だったようでした。
なんと、そんな大変な発酵種をこの「あわら温泉ぱん」には使用されているのです。食感も、パネットーネに似たブリオッシュ生地特有のパサッっとした軽いもので、ずっしりとした丹波豆との対比が楽しめます。
この「新温泉名物」、なかなかの技ありで、これからも新しいお土産探しが楽しくなるきっかけとなる一品です。
※掲載情報は 2017/04/30 時点のものとなります。
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キュレーター情報
料理写真家
今清水隆宏
1965年、東京都生まれ。東京造形大学卒業。1988年よりフリーランスフォトグラファーとして独立。
以後、国内・海外、料理研究家・シェフを問わず主に雑誌、料理レシピ、レストランなどの料理およびその周辺の撮影、書籍企画等を担当。他、百貨店等各種カルチャースクール、地方自治体等にて「料理写真講座」の講師、講演等でも活動。社団法人日本広告写真家協会会員。