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江戸時代から続く、甘くてしっとりした逸品
みなさんはもちろん豆腐はご存知ですよね。大豆を絞って豆乳にして、にがりなどの凝固剤を用いて固めた加工食品。アジア各国に見られ、中国が発祥で日本にも伝来したと言われています。一方、カステラも有名ですよね。ポルトガルの南蛮菓子が長崎に入り、独自の文化として誕生。鶏卵や小麦粉、砂糖などを合わせて型に入れ、オープンで焼いた菓子。では「豆腐カステラ」はご存知でしょうか? 全国的にはまだまだマイナーと思われる料理ですが、実は秋田県の名物というか郷土料理です。秋田の人に出会ったら「豆腐カステラって好き?」とか聞くと、喜ばれます。
作り方を簡単に説明しますと、豆腐に卵や小麦粉、砂糖などを混ぜて焼き上げて作ります。歴史も古くて、誕生したのは江戸時代と言われています。当時は、砂糖も卵も貴重品ゆえにカステラ自体を庶民は口にできず、また稲作が盛んな秋田県では大豆すら高級品で、豆腐自体もいわゆる“ハレの日”にしか食べられなかったそう。そんな二大高級品が融合され、さらに高級品として登場したのが「豆腐カステラ」です。そのため戦前までは冠婚葬祭料理だったそうで、日常化したのは戦後になってからだとか。今ではスーパーなどでも販売されるようになりましたが、中でも僕のイチオシは『道の駅 雁の里せんなん』の「豆腐カステラ」。これは「雁の里農産物直売組合加工部会」製造で、豆腐、砂糖、鶏卵、片栗粉、食塩、食油のみで作られたマジメな「豆腐カステラ」。甘くてしっとりとした味わいは、まさに絶品です!
※掲載情報は 2014/12/01 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードジャーナリスト
はんつ遠藤
東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は8000軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、現在、東京・大手町のご当地やきとりテイスティングパーク「全や連総本店 東京」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』(幹書房)、『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』など25冊。