記事詳細
紹介している商品
山口独特の「焼き抜き製法」が、かまぼこを美味しく作る
日本じゅう、どこへ行ってもスーパーにあるほどのメジャーな加工食品「かまぼこ」。近所で購入しても十分に美味しいので、様々な商品を買い求めて、味を追求しているという人に会う事は、滅多にないです。たまに、かまぼこに熱い人がいますが、伺えば大抵、仙台だったり、小田原だったりと名産地出身で、地元の商品を薦めてきます。僕もそんなにこだわらなかったんですが、ある時、テレビのロケでちくわの自作をしたんですね。その時は愛媛県の宇和島だったんですが、自分で作ると興味が湧いて、全国のちくわやかまぼこを追求し出したというわけ。
するとかまぼこの製造方法には2通りあることが分かりました。一般的には蒸して作るのですが、山口県は“焼き抜き”といって、焼いて作るのです。県の代表的なかまぼこやさんとして知られる『宇部蒲鉾株式会社(通称:宇部かま)』も、しかり。新鮮な“エソ”などの白身魚を用い、ミネラルが豊富でまろやかな霜降山山系の天然地下清水と一緒に練り上げて、もみの木などのまさ目の板の上に成型し、わらを用いて間接的に下から炙って焼き上げています。代表的な『嶺雪(みねゆき)』というかまぼこが僕のオススメ。これは農林水産大臣賞も受賞している「宇部かま」の代表的な逸品で、魚のもつ本来の旨みが詰まっています。蒸すのではなくて焼き上げるので、身がぎゅっとしまった感じに仕上がるわけですね。なので歯応えと旨みが凝縮するというわけ。
そして重要なのが、かまぼこの表面がザラザラっと皺になっている点。これが焼き上げた時の独特の仕上がりで、「ちりめんじわ」と呼ばれています。この「ちりめんじわ」がきめ細かく入っているものほど、練りがキチンとしていて美味しいと言われています。『嶺雪』がまさにそれ。山口に行かれる際は、ぜひ。
※掲載情報は 2015/05/16 時点のものとなります。
- 6
キュレーター情報
フードジャーナリスト
はんつ遠藤
東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は8000軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、現在、東京・大手町のご当地やきとりテイスティングパーク「全や連総本店 東京」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』(幹書房)、『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』など25冊。