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金沢の縁起物「起き上がり人形」を最中にして創業
もうすぐ3月3日はお雛様。女の子の誕生と成長をお祝いする日。今回は、この春先にそんな幸せを願う和菓子の詰め合わせをご紹介したい。
石川県には昔から伝わる女の子の行事として、加賀八幡様の「起き上がり人形」というものがある。応神天皇の御幼体を赤い綿布でくるんだ姿から発想されたもので、七転び八起きの縁起のよい置物とされている。石川県に行くと、実際に自分で作る体験もあり、私も昨年作ってきた。この人形を箪笥に入れることによって「衣装持ちになる」と言われる言い伝えも。
そんな縁起物「起き上がり人形」を和菓子にして創業したメーカーが石川県にある。「起上もなか」という商品名の最中を看板商品としている、金沢うら田さんだ。「起上もなか」は北海道産の粒餡が詰まっている最中で通年商品として購入できる。しかし、こし餡と求肥で作られている最中「桜花(おうか)」は、春季限定(2月中旬~4月中旬まで)。今回ご紹介したいのは、こちらの最中だ。
桜の塩味をつけた餡をはさんだ最中は多いが、うら田さんの「桜花」は最中の皮に桜葉の香りをつけているのが、ちょっと珍しい。「桜花」を口に入れるだけで、ふんわりと桜葉の香りが広がる。もっちりとした求肥と、こし餡だけでも美味しいのだが、そこに桜葉が爽やかなアクセントとなっている。すっきりと最後まで楽しめる最中だ。
試しに、桜葉を味わおうと皮だけを食べてみようとした。しかし、あまりにも餡がたっぷりと入っているため、皮だけを取ることができなかった。上の写真をみてもらうと分かる通り、桃色の皮に、北海道産大豆を使ったこし餡と求肥がぎっしりと隙間なくつまっている。
「起上もなか」と「桜花」両方をセットにした詰め合わせもあり、女の子の出産祝い、桜の季節の手土産におすすめだ。こちらも春期限定セット。
ここだけの内緒の情報だが、金沢駅で「桜花」は1個から購入が可能なので、兼六園の桜を眺めながら桜の季節を満喫できる。もし、起き上がり人形を作ってみたいと思った方は、石川県観光物産館(http://kanazawa-kankou.jp/)に行くと、実際に人形への絵付け体験ができ、うら田さんの商品も購入できる。ただ、「桜葉」や「起上もなか」が一個から購入できるかどうかは、季節限定の商品でもあるため、事前に確認してから行くことをおすすめする。
そろそろ梅が開花する季節でもあるが、今年の桜をどこに見に行くか、計画を立てる頃でもある。そのままでも桜は十分に美しい。そこにちょっとした寄り道をしてみるだけで、桜はさらに幸せを呼び込む楽しみ方にもなるのだ。
※掲載情報は 2017/03/01 時点のものとなります。
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キュレーター情報
発酵料理研究家/観光連盟アドバイザー
高橋香葉
「日本人の体を健康できれいにするには、日本伝統文化の発酵食が一番良い」として発酵料理の研究に取り組む。テレビ、雑誌、書籍などを通じて、発酵食品の良さを伝える普及活動を行っている。
日本で初めて、米麹と醤油をあわせた新調味料「しょうゆ麹(醤油麹)」の作り方とレシピを公開し、発酵業界に新しい風を入れた。その活動は、フードアクションニッポンアワード販促部門を受賞。その後、読売新聞にて「オンリーワン」として掲載された。
現在は、日本全国を回り、全国の発酵食品だけでなく温泉巡りをし、日本の伝統文化を勉強している。
自治体の観光連盟アドバイザー、特産品開発審査委員などを歴任。市場調査から、販売戦略、プロモーションなどのマーケティング講師も行っている。フードアナリスト協会「食のなでしこ2016」。
主要著書:
◎「しょうゆ麹と塩麹で作る毎日の食卓」(宝島社)
◎リンネル特別編集「しょうゆ麹で作る毎日のごちそう」(宝島社)
◎「知識ゼロからの塩麹・しょうゆ麹入門」(幻冬舎)
◎おとなのねこまんま555(アース・スターブックス)等