若手生産者が生み出す至福の「とちおとめ」

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糖酸のバランスが抜群!谷中農園のとちおとめ

若手生産者が生み出す至福の「とちおとめ」

クリスマスももうすぐ。真っ白な生クリームでデコレーションされたショートケーキに欠かせないのが、いちごです。

 

いちごに限らず、スーパーマーケットの店頭に並ぶフルーツ類は、糖度の高さを競う傾向がありますが、大切なのは糖(甘さ)と酸(すっぱさ)のバランスと、うまみ。特にスイーツに使う場合、適度な酸味は砂糖などの甘味料の甘さやクリームの油分をさっぱりとさせてくれますし、また、料理に使う場合には、甘さは控え目で酸味とうまみがあるいちごが重宝されます。

 

人間は、寒い時は濃い味が恋しくなり、暖かくなると爽やかさが恋しくなるものですが、それに合わせるかのように、いちごの味も変化していきます。11月の収穫開始初期は、甘味と酸味が同じくらい。12月~2月の厳寒期にかけては、甘味が強くなり、その後は酸味が強くなっていきます。

 

昨年の2月末頃、いちご狩りに行かないかと誘われてお伺いした農園で食べた「とちおとめ」は、しっかりした甘味の中にもおいしい酸味とうまみが感じられ、そのまま食べてもさっぱりしていて食べやすいのはもちろん、持参した豆大福との相性も抜群。さらに、塩とオリーブオイルをかけてサラダ風にしても美味しく、自分でも驚くほどの量を食べてしまいました。

若手生産者のホープ

若手生産者が生み出す至福の「とちおとめ」

その「とちおとめ」を生み出す生産者の名前は、谷中正幸さん。

 

栃木県で半世紀も続く「谷中農園」の三代目として生まれ、気が付けば「継ぐのが当たり前」という状態だったとか。しかし成長するにつれて、ほかの職業への憧れが出てきたり、遊びに行きたくても現場を離れられない葛藤などが生まれてきたりしたそうです。そこで発揮されたのが谷中さんの発想力と実行力の高さ。「外に遊びに行けないのなら、みんなに来てもらっていちごハウスでBBQをやったりすればいいんだ!」と考え、普段はいちご狩りは実施していないハウスなのですが、前述の「いちご狩り」を実現させました。谷中さんの強みはこの前向きでパワフルな考え方にあり、「海外旅行も行けないけれど、いちご農家として海外進出すれば年に1回は行けるよね。祭りもなかなか行けないけれど、いちご農家として祭りをやっちゃえばいいんだ。写真もアートも好きだけどなかなか行く時間がないから自分でやっちゃおう」と、どんどん自分のやりたいことを実現していきます。

 

自身のことを「遊び感覚で楽しみながら、本気で取り組むからこそ、気持ちも身体も高いパフォーマンスが出来るタイプの人間なので」と語る谷中さん。菓子職人や料理人をはじめとして、さまざまな職種の人とも積極的に交流を持ち、それがいちごづくりにも如何なく発揮されています。

温故知新のこだわりの農法

若手生産者が生み出す至福の「とちおとめ」

谷中さんの1日は、朝陽が昇る頃から始まります。

 

朝一にハウスに出向き、株の状態をチェック。収穫時期にもなれば、午前中に収穫して、午後に選別、選別後には取引先への配送も行うため、日を跨ぐこともしばしばだとか。とてもハードなスケジュールです。

 

ハウス栽培といえど、自然の影響を大きく受けることには変わりないので、いちごの最適環境と樹姿をイメージしながら状態を見極め、今までと、現在と、未来の天候を考慮しながら、温度・湿度・肥料などを調整していきます。日進月歩で進化する技術の勉強も欠かさず、しかしながらあくまでも「理想とする樹姿にするためにはどうするべきか」と考え、従来の技術と最新の技術を適宜取り入れながら、臨機応変に栽培を行っています。

若手生産者が生み出す至福の「とちおとめ」

たとえば、ハウスを照らす緑色の蛍光灯。生育に適した波長の光を当てることで、適度な生育を保ちながらも、いちごの体内に病原菌への抵抗性たんぱく質を生成させ、病気の発生を抑制。さらに、メーカーや公的機関と共同研究を重ねて、苗作りの段階から天敵資材を有効に活用することで、農薬の使用を最小限に抑える工夫も行っています。

 

このような取り組みによって、大粒から小粒の「とちおとめ」や、栃木県の新品種「スカイベリー」が生み出されています。

苺の持つ可能性を引きだしたい

谷中さんは、「ベストの品質のいちごを生産するのはもちろんのこと、苺の持つ可能性は全て引き出していきたい」と言います。

 

いちごの持つ可愛らしさや華やかさ、育つ環境の美しさをアートとして昇華させるべく写真家とコラボレーションを図り、新たな取り組みを続けています。

 

「定番である洋菓子、和菓子以外にも、香りを楽しむ化粧品や香水などなど、数え切れないほどありますが、今までにないコラボによりイノベーションを起こしていきたいです」、忙しいスケジュールの合間を縫って、さまざまな職種の人と交流を持つのも、すべてはいちごの可能性をすべて引きだすため。私の専門である塩といちごのコラボレーションも計画中です。

 

今後は海外進出も視野にいれているという谷中農園のいちご。まずは、今年のクリスマスに、その美味しさを堪能してみませんか?

 

栃木のいちご農家 谷中農園
住所:栃木県栃木市惣社町

※掲載情報は 2016/12/22 時点のものとなります。

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キュレーター情報

青山志穂

ソルトコーディネーター

青山志穂

東京都出身、沖縄県在住。
大手食品メーカー勤務から一転、塩に魅せられて塩の道へ。塩の専門店で社内資格制度の立ち上げなどを行ったのち、2012年に(社)日本ソルトコーディネーター協会を立ち上げて独立。現在は、塩のプロフェッショナルであるソルトコーディネーターの育成のほか、全国を飛び回りながら、塩の基礎知識や使い方などに関する講座や講演、テレビやラジオ、雑誌などへの出演、塩売場のコーディネートなどを行いながら、塩の啓蒙活動に努めている。有名シェフとの塩をテーマにしたコラボレーションイベントや食品メーカーの商品企画も手掛ける。著書に「塩図鑑」(東京書籍)「琉球塩手帖」(ボーダーインク)「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)など。

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