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アフリカ最大の自然を有する国
アフリカ大陸最南端に位置する共和制国家「南アフリカ共和国」。日本の約3倍以上の自然豊かな国土は、多種多様な動植物の宝庫でもあります。
特にアフリカ最大級の動物保護区である「クルーガー国立公園」では、ビッグファイブと呼ばれる、ゾウ、ライオン、チーター、サイ、バッファローをはじめ、さまざまな動物や植物などが生息し、南アフリカの自然の縮図を楽しむ事ができます。
観光地として人気が高いケープタウンでは、海岸線に美しいヨーロッパの街並みがならびます。ケープ半島にある「喜望峰」は、大西洋とインド洋が出会う最もドラマティックな岬として知られています。沖合でイルカが戯れる様子や、ボルダーズビーチではケープペンギンを見ることができます。
また、この地域にしか生息していない9,600種類もの固有種の植物も見物です。2004年にユネスコの世界自然遺産に指定され、ケープ植物区保護地域として登録されています。
南アフリカの内陸部ハウテン州に位置する行政首都「ツワネ」は、南アフリカの政治的、経済的な中心都市です。こちらには歴史的な建造物、記念碑や博物館が数多く残り、南アフリカの歴史を知る上で、是非訪れてもらいたい場所でもあります。
多種多様な人種が作り出す文化
南アフリカは、桁外れに多様な人種、民族、文化、言語や自然で形成される事から、「レインボーネーション」と呼ばれています。現在、南アフリカでは11言語が公用語として指定されている事からも、その多様性が伺えると思います。元々、さまざまな土着民族が住んでいたこの国では、1488年ポルトガル人が喜望峰を発見し、1652年にオランダ「東インド会社」の寄港地としてケープタウンを創り、のちにフランスからの移民らによってワイン造りが始まりました。現在、オランダ、イギリス、フランス、イタリア等を祖とするヨーロッパ系と、インドやマレーシアをルーツとするアジア系、白人と非白人の血をひくカラード、さらに、土着のズールー族にサン族、コーザ族、ソト族、ツワナ族等など、多くの民族が存在し、人種と文化の多様性が独特の文化を生み出しています。
南アフリカ料理に欠かせない東南アジアの食文化
アフリカ料理といってもさまざまで、国によっても色々な料理があります。特に、アフリカの中でもさまざまなルーツを持つ人たちが暮らす南アフリカでは、南アフリカ料理といえばこの料理とは一概には言えません。その中でも、意外に思われるかもしれませんが、南アフリカでは東南アジア料理は欠かす事ができない料理のひとつです。
なぜ、何千キロも離れた東南アジア料理が南アフリカ料理に影響を与えたかは、その歴史を辿る必要があります。15世紀から16世紀にかけて、オランダが南アフリカを植民地化し、その際にマレーシアやインドネシアから多くの人たちが奴隷として連れてこられました。彼らは、主人の食事では使わない肉の部位を使い、故郷の味を南アフリカの食材で再現しました。アフリカの食材、そして東南アジアの食文化が合わさって「ケープ・マレー料理」という、南アフリカを代表する料理として親しまれる料理となりました。
「ケープ・マレー」ってどんな料理
元々、南アフリカに移り住んだマレー人たちは、魚を獲って生活をしていた事から、ケープ・マレー料理には魚が多く使われます。加えて、シナモン、タマリンド、サフランやフルーツなど香辛料も多く使われます。そして何よりも、辛いのが特徴です。
東南アジアとヨーロッパ料理の融合として、顕著なのが「ボボティー」と言われるパイです。イギリスやスコットランドで食べられているひき肉のパイ「シェパード・パイ」をマレー人が作ったところ、東南アジアで使われるクミン、コリアンダー、アーモンドやガーリックなどを多用し、スパイシーな味に仕上がりました。このパイを南アフリカでは「ボボティー」と呼びます。
その他にも、魚介と肉をたっぷり入れたスパイシーな「ケープ・マレーカレー」も、南アフリカでは欠かせない食べ物のひとつです。現在でも、「マレーメラングセレモニー」という習慣が残っており、その時には当時、奴隷だったマレー人が食べていた主人の食材として使われない羊の足や舌、頭を使った料理を食べる習慣が人種に関係なくあります。そのセレモニーとレシピには甘さと辛さの記憶も刻まれています。
本場の「ケープ・マレー料理」はここで学べる
今でも、多くのマレーシア、インドネシアをルーツとする人が多く住む、「マレークオーター」という場所があります。ケープタウンにあるカラフルな美しい家が立ち並ぶマレー人居住区です。モスクをはじめ古い建造物が多く残り、重要文化財として保護されています。この場所では、ケープ・マレーの料理教室も多く開かれていますので、本格的なマレー料理を学ぶ事ができます。レストランで「ケープ・マレー料理」に感動した人は、是非、本場の味の作り方を学んでみてはいかがでしょうか。
今回は、経済部代表 参事官(経済)マンリー バーナードさんにお話をお伺いしました。
※掲載情報は 2016/11/30 時点のものとなります。
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キュレーター情報
南アフリカ共和国大使館
日本の3倍の国土に5400万人、20以上の民族が暮らすレインボーネーション‐南アフリカ共和国。17世紀東インド会社がアジア航路の寄港地、飲食料の補給地として開拓したケープタウン。200万haの自然保護区に、500種以上の鳥類、260種以上の動物、336種類の樹木が生息するクルーガー・ナショナル・パーク。19世紀ダイヤモンド採掘の際人力で掘った地球上最大の穴(鉱山跡)、キンバリー・ビッグ・ホール。豊かな大地で育まれた野菜・果物は、デザート、サラダや加工食品として重要な栄養源です。大西洋とインド洋に面し、魚介類が豊富で、鶏肉・牛肉が好まれ、バーベキュー(Braai)は生活の一部です。ルイボス茶は、本国以外では生育しないユニークな植物。抗酸化作用がありノンカフェインで子供や妊婦・女性に愛飲されています。ワイン造りは、東インド会社の初代総督がぶどうの木を植え、フランスからの移民らによって醸造が始まり350年以上の歴史を誇ります。ビールは世界12位の消費量です。様々な民族特有の食文化が融合した南アフリカ料理は、ワインやビール、フルーツジュースと共に饗されます。南アフリカの逸品をご紹介します。