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美しき岩塩の世界
ピンク、ブルー、白、透明など……。
見惚れてしまうような彩りと美しさのある岩塩。1つは持っているという方も多いのではないでしょうか?
残念ながら日本では産出されないため、日本で塩といえばイコール海水塩とほぼ同義ですが、主に大陸の地下に大量に埋蔵されており、実はその生産量は、全世界で生産されている塩の約6割を占めており、「塩=岩塩」という地域も数多くあります。
数百万年前から数億万年前にかけて、地殻変動などによって大地に囲まれた海が長い年月を経て地中で結晶化した岩塩は、その土壌の特徴を結晶の中に取り込むため、産地の環境の影響を色濃く受けます。ワインでいうところの「テロワール」を味わうことができるのも、岩塩の楽しみの一つ。今回は、多彩な岩塩の世界をご紹介していきます。
岩塩の色にはワケがある
岩塩を楽しむ時のポイントが、色。
本来は無色透明の塩ですが、岩塩の色はその結晶の中に含まれる成分によって変化し、それが味にも影響を及ぼします。
塩の専売制度が解禁になったあと、最初に輸入された岩塩がピンク色のものだったためか、日本ではいまだにピンク色の岩塩が人気。ピンク色の岩塩は各地で産出されていますが、日本に輸入されるものでは、パキスタンやボリビア、ポーランドなどがメジャーです。
このピンク色は、結晶の中に入り込んだ鉄分によるもので、薄いピンク色から、濃いものではほとんど黒に近いようなものまで産出されています。鉄由来の酸味があり、牛肉やマグロなどの赤身の肉や魚との相性が良いのが特徴です。
また、最近ではブルーの岩塩も見かけるようになりました。こちらは、主にイラン産で、生産量は非常に少なく、希少です。美しいブルーを醸し出す要因となるのは、多量に含まれたカリウム。また、銅の混入によってもブルーに色づくことがありますが、銅の場合は人体に悪影響を及ぼしかねないため、食用には適しません。
ナトリウム構成比が低いのでしょっぱさはほとんど感じず、その代わりに、冷たい石を口に入れた時のような「ひやっ」とする冷たさと、はっきりとした酸味を感じ取ることができます。揚げ物や、カリウムを多く含むフルーツと合わせるのがおすすめです。
濃い紫から黒い岩塩もあり、こちらは「ブラックソルト」などの名称で販売されています。数多くある岩塩の中でも非常に特徴的な味わいで、口に入れると「温泉たまご」の味がします。原因は、結晶内に含まれる硫黄の成分。地中で結晶化したのち、マグマの高温で焼かれることで、成分が変化を起こし、硫黄を非常に多く含むようになります。
こちらもブルーの岩塩同様、ナトリウムの構成比が低いため、しょっぱさはほとんど感じず、硫黄の甘い香りと味わいを楽しむことができます。ゆでたまごにつけて温泉卵風味にするのも良し、カニやエビなど甲殻類の甘さとも相性抜群です。ただし、過剰症があるため、食べ過ぎには注意が必要です。
なお、ブロック状の岩塩は、金属製のおろし金で簡単に削ることができますし、とんかちで適当な大きさに砕いて、ミルに入れて使うのもおすすめです。今回ご紹介した以外にも、岩塩にはたくさんの種類があります。ぜひ、色々食べ比べてみて、お気に入りの一品を見つけてくださいね。
販売元:おちあいどっとこむ
住所:静岡県富士市横割6-1-12
TEL:0545-30-8835
※掲載情報は 2016/11/19 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ソルトコーディネーター
青山志穂
東京都出身、沖縄県在住。
大手食品メーカー勤務から一転、塩に魅せられて塩の道へ。塩の専門店で社内資格制度の立ち上げなどを行ったのち、2012年に(社)日本ソルトコーディネーター協会を立ち上げて独立。現在は、塩のプロフェッショナルであるソルトコーディネーターの育成のほか、全国を飛び回りながら、塩の基礎知識や使い方などに関する講座や講演、テレビやラジオ、雑誌などへの出演、塩売場のコーディネートなどを行いながら、塩の啓蒙活動に努めている。有名シェフとの塩をテーマにしたコラボレーションイベントや食品メーカーの商品企画も手掛ける。著書に「塩図鑑」(東京書籍)「琉球塩手帖」(ボーダーインク)「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)など。