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キューっと喉をくすぐる酸味の「黒いざくろ」
あれは、幼稚園の頃だったでしょうか。近所の家の庭にざくろの木がありました。友人と一緒に実を採った記憶があり、実を割った瞬間に現れる小さな粒がルビー色に輝いて、きれいだったことを今でも覚えています。
幼い頃の思い出とは裏腹に、日常的にざくろをみることはほとんどなく、口にすることもほとんどありませんでしたが、「おいしいものにこだわりたい」をテーマに日本全国、世界各国より旬の素材を揃え、ジャムや飲料の製造・販売をするセゾンファクトリーに伺った時にざくろジュースを発見し、思わず手に取ってしまいました。
濃縮還元された「黒いざくろ」は、ざくろの実のみを絞って作られたジュースです。深みあるその色合いは、うっすら赤紫色をおびて、グラスに注ぐとまた美しさが際立ちます。この類のジュースには、レモン果汁などの酸味が加えられていることもありますが、このジュースはざくろの酸味そのままを感じることができ、キューっと酸っぱい感覚がたまりません。朝の目覚めの一杯としても、すっきり爽快な気分になれます。
「黒いざくろ」に使用されているざくろは西アジア・イラン産です。原産地でもあり、山脈の名から由来したといわれています。高原地帯で育成され、熟すことで表皮が黒くなってくるそうです。この種のざくろは収穫量が少なく貴重なもの。イランならではの特産物だそうです。
ざくろの果肉は大きく「黒」と「赤」2種にわかれます。私は残念ながら黒ざくろを実際に目にしたことはないのですが、ざくろジュースを飲むきっかけとなったのが、タイ・バンコクで出会った赤ざくろでした(写真:バンコクの屋台で売られている光景)。日本で知っていたざくろよりも大きく、鮮やかな発色にビックリしました。
幼い頃からの記憶とアジアの記憶、それぞれが交差しながら今もざくろジュースは我が家でしっかり活躍してくれています。
※掲載情報は 2016/09/27 時点のものとなります。
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キュレーター情報
アジアンフードディレクター
伊能すみ子
アジアンフードディレクター/1級フードアナリスト 舞台制作や民放気象番組ディレクターを経て、食の世界へ。調理師専門学校で調理、食文化を学びながら、食の専門家であるフードアナリストとして活動を開始。メディアを中心に飲食情報の提案やアジア各国料理の執筆、講演、講師、レシピ制作などを行う。
「ASEAN食のコンシェルジュ」、「タイフードコンシェルジュ」、「カンボジア旅のリポーター」などの肩書を持ち、食と旅の提案も手がける。年に数回、アジア諸国を巡り、屋台料理から最新トレンドまで、現地体験を専門webサイトにて多数掲載。書籍『専門店が教える スパイスの基本』(PHP研究所)では、レシピを担当。日本にいながらも他のアジア諸国のおいしい料理を楽しめるような、環境作りを目指す。