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昭和的なパッケージの「銀座」の文字に、心、踊る
銀座の小学校に通っていた僕にとって、銀座は特に思い入れのある地です。でも、それは高級ブランド品のショップが軒を連ねる今みたいな煌びやかな印象じゃなくて、昭和な感じ。いや、当時だって、そもそも大正時代から「銀ぶら」という言葉が存在していたほどお洒落な街なんでしょうけれど、そもそも小学生なので素朴な店舗しか目に入らなかったというのが実際のところなのでしょうが。でも確実に言えるのは、当時から残っている店舗はすっごく少ないということ。そんな中、昭和21年に創業し、以来、70年を誇る和菓子やさん「銀座鹿乃子」が5丁目にあって、もうそこだけずっと変わらぬ雰囲気を醸し出しています。有名な商品は、栗・小倉・しぼり・うぐいす・京・うずらの種類がある「かのこ」。その他、あんみつや栗蒸しようかんなども評判です。
しっとりとした生地と優しい甘さのこしあんが、絶妙
でも今回ご紹介するのはそれらではなく、新作の「ふわっと焼まん」。これは創業70周年を記念して作られた新商品で、説明では「焼きまんじゅう」というのですが、それより簡単にいえば「どら焼き」の進化形のようなタイプ。外側の生地だけでも、しっとりとした食感、そしてふわりと漂う卵の風味があり、旨いです。その中には、滑らかな口当たりと洗練された甘さの広がるこしあんが入っています。もし本店に行かれたなら、2階の甘味処で、和光や三越のある交差点を眺めながらゆっくりとした時を過ごし、帰りにお土産で「ふわっと焼まん」を購入するのが僕的に超おすすめ。昭和な雰囲気と現代の両方を感じることができます。
※掲載情報は 2016/09/27 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フードジャーナリスト
はんつ遠藤
東京在住。早稲田大学教育学部卒業。海外旅行雑誌のライターを経て、テレビや雑誌、書籍などでの飲食店紹介や、飲食店プロデュースなどを行うフードジャーナリストに。ライターとして執筆、カメラマンとして撮影の両方をひとりでこなし、取材軒数は8000軒を超える。全国のご当地グルメの知識と経験を活かし、ナムコのフードテーマパーク事業にも協力し、現在、東京・大手町のご当地やきとりテイスティングパーク「全や連総本店 東京」の名誉館長も務める。『日経トレンディ』にてトレンドリーダーにも選出。「週刊大衆」「JAL(Web)」などに連載中。また近年は料理研究家としてTVラジオ雑誌などで創作レシピを紹介している。著書は『はんつ遠藤のうどんマップ東京・神奈川・埼玉・千葉』(幹書房)、『おうちラーメンかんたんレシピ30』『おうち丼ぶりかんたんレシピ30』『全国ご当地やきとり紀行』など25冊。