琵琶湖畔、清らかな湧き水の里の純米酒 川島酒造の「高島」

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風が心地よく感じられる季節を迎え、琵琶湖西岸の湖を臨む針江、新旭町を訪れました。

 

針江では清らかで豊かな湧き水を大切に、川端(かばた)の暮らしをしています。

琵琶湖畔、清らかな湧き水の里の純米酒 川島酒造の「高島」

屋外の川端 井戸廻りには野生のクレソンが繁茂している
家屋内の川端 鯉を飼って水を浄化して川に流す

 

魚、貝と水草、藻が水を浄化してくれる力を利用して、今も変わらず自然に沿って、生きものと共存しながら水を循環させています。湧き水は生水(しょうず)と呼ばれ、厳しい水質検査にも合格し、飲料にも調理にも使う毎日なのです。先人たちがやってきたように、当たり前の暮らしをしている針江。一度訪れてみてください。

 

絶えず清らかな水が溢れ出ています。水温は年中12~3度、夏は冷たく、冬は温かい。鯉たちは生活のゴミや野菜くずを食べ、水は浄化されて再び川に戻ります。

琵琶湖畔、清らかな湧き水の里の純米酒 川島酒造の「高島」

畑で収穫した茄子を冷やして……、

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梅花藻の白い花が咲いていました。

 

水美しく豊かなこの地域には地酒の蔵も点在していますが、酒造りの時期ではない今、酒蔵を見せて下さったのは、新旭町の川島酒造さんでした。
1865年創業、現在六代目の社長である川島達郎氏は、初対面の一旅人の私を気持ちよく迎えて下さり、熱く酒造りを語り始めました。

琵琶湖畔、清らかな湧き水の里の純米酒 川島酒造の「高島」

川島酒造の店 軒に下がった酒林が目印です

 

高島は古代から酒造りと深い関係がある場所であり、瑞穂の国日本の米と豊かな水で醸す酒造りに携わる使命感に似た思いをそのお話から感じました。

 

酒は生きもの。子供を育てるのと同じように愛情をかけ、健康にも良い酒を造り続けていくこと、酒を造る側も、味わう側も五感すべてを使って“酒をきく”のだということ等々、社長のお話は尽きず、時間を忘れるものでした。

琵琶湖畔、清らかな湧き水の里の純米酒 川島酒造の「高島」

整然と並ぶ醸造タンク

琵琶湖畔、清らかな湧き水の里の純米酒 川島酒造の「高島」

麹室

 

その後、奥様が丁寧に蔵をご案内下さり、麹室まで見ることができました。蔵には大きな緑色のタンクが整然と並びます。一見機械的な印象ですが、実は一つ一つ個性があり、同じように原料を入れてもそれぞれ彩り違う味わいの酒を醸すというのです。タンクによって得意な醸造があるそうです。

 

例えば、日が良く当たる、風が良く通るなど、わずかな場所の違いによってなのか、あるいはタンクごとの僅かな誤差が理由かもしれません。

 

奥さんはタンクを触りながら「この子は……」とお話されるのです。酒造りへの愛情を感じる言葉でした。

 

もちろん、最終的には均一の味になるようにブレンドしてから瓶詰めします。秋深まるころ、蔵は徹底的に磨き上げられ酒造りの時を迎えるのです。

 

先代五代目は現在の社長のお母様で、女性社長として真摯に商いに取り組まれた後、七十歳を過ぎてから油絵を描かれていたそうです。風景画、静物画、自画像、それらの作品は蔵のそこここに飾ってありました。杜氏、蔵人をはじめとするすべての従業員と、酒にも先代の見守りの愛とエネルギーを常に与えているようでした。酒にも人にも喜びを運ぶ蔵だと思いました。

琵琶湖畔、清らかな湧き水の里の純米酒 川島酒造の「高島」

琵琶湖ニゴロブナの鮒ずしと川エビと大豆の佃煮を酒の肴に……、
錫紙の皿とガラス小鉢に盛り付けて、月見と月光を連想させるコーディネートを楽しむ。

 

川島酒造社長の情熱に連烈に印象付けられ、今回はこの蔵のたくさんの銘柄の中から、純米酒「高島」をご紹介します。

 

酒米は地元近江産の玉栄100%、精米歩合は60%。水はもちろん地元の豊かな湧水、比良山系安曇川伏流水です。蔵にはその湧水が絶え間なく湧き上がっています。酒度+5、酸度1,3の純米酒です。

琵琶湖畔、清らかな湧き水の里の純米酒 川島酒造の「高島」

蔵にある酒造り用の湧き水。カエルの親子の置物が可愛い

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店頭に並ぶ川島酒造の数々の銘柄のお酒たち

 

人間の暮らしも、酒造りも生命の循環に沿い、あるがままであれば自ら然る(おのずからなる)のだな、と実感した小旅行でした。

 

近江の豊かな湧き水を使い、地元の酒米を醸した川島酒造の日本酒を是非味わってみて下さい。近江牛や鮒寿司とのハーモニーも絶妙です。

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川島酒造株式会社

※掲載情報は 2016/09/28 時点のものとなります。

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キュレーター情報

長尾典子

ライフスタイルデザイナー

長尾典子

日本伝統の知恵と美を取り入れた現代の食と暮らし方”Nippon Stylish Life”を提唱。

西宮市内のサロンと各地で、テーブルコーディネート・料理・英語・食文化をテーマに幅広く活動中。

季節開催「Japan Cool Seminar in Tokyo」では伝統美味食をテーマに、レストラン・料亭を会場に、その日だけのオリジナル料理を味わい学ぶ講座。

旅館・ホテルの食空間提案、英語による和食文化、テーブルコーディネートセミナー、オリジナル食器デザイン販売も手掛ける。

著書『12か月のLifestyle Book 食卓からしあわせは始まる』エピック
  『和食の力に魅せられて 伝統美味食の世界』エピック

食卓文化研究家、食空間コーディネート資格認定講師、卓育インストラクター、カラーコーディネーター、英語講師。

食空間コーディネート協会理事 
京都文教短期大学、大阪夕陽丘短期大学非常勤講師。
奈良女子大大学院生活環境修士。現在、現在、龍谷大学博士後期課程。
mail:nagao@a-de-v.com

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