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きっかけはアメリカ・ポートランドでの体験
北海道の東、帯広駅から徒歩3分のところにある「HOTEL NUPKA(ホテル ヌプカ)」。ヌプカとは、アイヌ語で「原野」の意味。自然の魅力溢れる十勝平野を訪れる旅人たちに、安らぎを提供しています。
このホテルの開業は、創業者の1人、帯広出身で普段は東京で活動する柏尾哲也さんが、アメリカ・ポートランドを訪れたことからはじまります。そこは全米でも有数のクラフトビール醸造所のメッカであり、“ 全米で一番住みたい街 ”と言われる場所。そこではオレゴン州の豊かな大地から生まれた食の恵みをローカルファーストで楽しみ、その精神を体現するホテル「Ace Hotel Portland」があります。柏尾さんは、このポートランドと帯広市にどこか相似形を感じました。そして、故郷である帯広に、“旅人と地元の人が集い、その廻りに最高に楽しくて美味しいポートランドのような街を作りたい”と熱い想いに突き動かされます。帰国後、その想いを、もう1人の創業者で現在ホテルの支配人を務める坂口琴美さんと何度も語り合い、さまざまな苦労を経て、2016年3月、とうとうホテルをオープンさせました。もちろん、そこに欠かせないビールも一緒に。それが、この『旅のはじまりのビール』です。
十勝産大麦100%使用したピルスナー
二人にはビール造りの経験もなく、ビール醸造所を作る資金も場所もありませんでした。でも、なんとかして造りたい。その想いが、さまざまな出会いを引き寄せ、協力を得ることとなりました。レシピ監修は、キリンビール在職中にミュンヘン工科大学で醸造学を学び、その後アウグスビールの醸造責任者として活躍する本庄啓介氏、実際の醸造を担当した小樽ビールのヨハネス・ブラウン氏、原料の大麦を育てる士幌町岡田農場の岡田智明氏、地元でクラフトビールを醸造する帯広ビールの十河文英氏など、たくさんの力に支えられて、このビールは生まれました。
グラスに注ぐと、ヘッドには日高山脈の頂に積もる雪のような真っ白で細かな泡がふわり。その味わいは、ひとことで言えば、まさに“麦のめぐみ”。ふくよかな麦の香りとコクが口の中にいっぱいに広がります。ゴクリと飲み干すと、その麦の液体はやわらかく体にとけて、やさしい麦の甘味だけが喉の奥にほんのりと残ります。体に染み込む心地よい味わいは、何杯でも飲みたくなるおいしさ!初めてこのビールが誕生したときに、柏尾さんはあまりのおいしさに、6杯おかわりをしたそうです。
ビール片手に旅をはじめよう
旅の醍醐味は準備から。ラベルには、地元で活躍するイラストレーターのチームヤムヤムによる十勝平野の地図が描かれています。HOTEL NUPKAの1Fにあるカフェでは、ラベルとお揃いのイラストマップのコースターでビールが提供されるので、そのイラストを眺めながら、これから訪れる場所についていろいろスタッフに教えてもらうのもよいかもしれません。また、ホテルでは、アメリカなどで人気のグラウラーというアルミボトルも用意しています。樽生ビールを量り売りで詰めてくれるので、このビールをお気に入りの場所に持っていき、豊かな自然を眺めながら、大地の恵みに乾杯するのもおすすめです。
愛称は「旅ビール」。ひと口飲めば、もっと新しい旅のページをめくりたくなるこのビール。ぜひ、十勝の大地で味わってみてください。
※掲載情報は 2016/08/14 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ビアジャーナリスト/パンコーディネーター
宮原佐研子
日本パンコーディネーター協会認定パンコーディネーター、日本ビアジャーナリスト協会所属ビアジャーナリストとして日本ビアジャーナリスト協会HP、雑誌『ビール王国』(ワイン王国)、世界22カ国158本のビールを紹介するe-MOOK『ビールがわかる本』(宝島社)、ビアエンタテインメントムック誌『ビアびより』(KADOKAWA)他執筆。『ビール王国』では、「コンビニ限定うんまいビア ペア」で、コンビニエンスストアで買えるビールとパンのペアリングを連載。日本パンコーディネーター協会主催の講座「ワインよりおすすめ?パンとビールのおいしい関係」でパンとビールのペアリング体験講座も実施。