パエリア用のバレンシア米「アロス・ボンバ」

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スープの吸収力が抜群のスペインの最高級米

この5月、スペインへ料理取材に行ってきました。旅のメインイベントは、バレンシアで本場のパエリャ・バレンシアーナの作り方を習うこと。地元のパエリャ・マスターのもとで、中央市場での買い出しから、パエリャについてのレクチャー、厨房でのレッスン、そして試食まで、大変ためになるひとときでした。

 

「日本では、シーフード・パエリャに鶏肉を入れたりするけれど、バレンシアでは肉は肉、シーフードはシーフードで、両方が一緒に入ったパエリャはあり得ない」。そんな薀蓄(うんちく)も初めて知りました。他にもバレンシアには本場のこだわりで、パエリャ作りのさまざまな流儀があります。

 

中でも興味深かったのが、「バレンシア人はこの米でないとパエリャを作らない」とまでマスターに断言された、“アロス・ボンバ”というお米の存在。このお米はスープの吸収力が抜群で、一般的なバレンシア米の約3倍もする高値にもかかわらず、地元のシェフは他の米を使うなど考えられないといいます。確かにアロス・ボンバを使ったパエリャは、お米にスープがたっぷりしみこんでとてもおいしく、バレンシアの人々の気持ちがわかる気がしました。

 

ちなみに、こんな感じでバレンシアの人々は日本人と同様にお米への関心が高く、市場のお米専門店には日本産のお米も売っていました。お店の人に話を聞いたら、「これはスシ用の米」として売られているそうで、ちょっとびっくり。アロス・ボンバはパエリャにするとおいしいけれど、日本流の炊き方をすると、おいしくは食べられないようです。

パエリア用のバレンシア米「アロス・ボンバ」

さて、アロス・ボンバは日本では単独ではなかなか販売されていないようですが、具とアロス・ボンバがセットになった、スペイン産ケリーダ・カルメンの「イカのパエリャ」がオンラインショップで購入可能です。まずは初心者でも失敗しにくいセットで、本場スペインの味をお試しになってはいかがでしょうか。

※掲載情報は 2016/07/24 時点のものとなります。

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キュレーター情報

青木ゆり子

各国・郷土料理研究家

青木ゆり子

雑誌「ぴあ」等の記者を経て料理に目覚め、2000年に「世界の料理 総合情報サイト e-food.jp 」を創設。以後、各国の「郷土料理」をテーマに、サイト運営、執筆、レシピ研究および開発、在日大使館・大使公館での料理人、料理講師等などに携わる。

地方色あふれる国内外の郷土料理の魅力を広く伝えるとともに、文化理解と、伝統を守り未来につなげる地域活性化をふまえて活動を行っている。

「世界の料理レシピ・ミュージアム」館長。著書「しらべよう!世界の料理 全7巻」(ポプラ社)、
「日本の洋食~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房)。

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