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アノ手コノ手で「伊勢志摩サミット」を応援!
私は、美味しいクラフトビールが大好きです。もっともっと好きなのは「遊び心があふれている」もの。銘柄の名前の付け方で遊び心を表すこともあれば、原材料である酵母、麦芽、ホップ、水、ハーブや果物などの副原料の選び方、つまりビールの「レシピ」に“意図”という“隠し味”を効かせることも。何かにちなんだりダジャレだったりすることもありますが、造り手の意図が読み解けると思わずにやけてしまいます。
さて、先日三重県志摩市賢島で開催された「G7 伊勢志摩サミット」、各国首脳の様子をニュースでご覧になっていた方も多かったのではないでしょうか。サミット後は賢島への観光客が激増したそうで、海外配信されたニュースを観た外国人たちが伊勢志摩の「おもてなし」や「海女さん」に感激、といった報道もありました。
そんな中、私が密かに感激していたのは「サミットビール2016」です!! 伊勢志摩唯一のクラフトビール醸造所、伊勢角屋麦酒が地元でのサミット開催を盛り上げるために限定醸造しました。これがまた伊勢志摩サミットに掛けた、造り手の遊び心が楽しいビールレシピなのでした。
まず、「サミット」に掛け、ホップは「SUMMIT」を使用(あるんですね、こういう名前のホップが)。米国産で主に苦味付けのために使われるようですが、シトラスやペッパーのようなスパイシーさ、ハーブのような香りを持つようです。SUMMITの他に6種類、つまり全7種類のホップを使っています。
しかし、ちなんでいるのはホップだけではない!「2Row」、「RAHA Pilsner」、「C-40」、「ビエナ」、「クリスタル」、「カラピルス」、「ミューニック」──これらはすべてモルト(大麦麦芽)の種類。ええ、ちゃんとG“7”の7種類使われています。ちなみに通常使われるモルトの数は(ビールに種類によりますが)3、4種類程度。ホップもモルトも、使う種類が増えるほど調達も造るのも手間がかかるはずです。それでもあえて7種類ずつを用意した伊勢角屋麦酒のサミット歓待な気持ちに、心から拍手を送りたい!
「これは紹介せねば」。使命感にかられる程の旨さ
さて、気になるお味ですが……。これがまた、とても素敵でした〜。グラスに注いだサミットビールに顔を近づけると、ホップ由来の柑橘系とモルト由来のカラメルのような香りが漂います。口に含むと、意外にしっかりした苦味を感じる。アルコール度数は4%と低めなのもあって、甘味がべたつきません。のど越し重視というよりは、香りをゆっくり楽しみながら快い苦味と甘味のバランス、そして余韻に浸りたいビールです。
醸造元の伊勢角屋麦酒は、2000年代前半から現在に至るまで、国内外のビール品評会で数多くの賞を受賞し続けている実力派。サミットビールはこの醸造所の定番である「ペールエール」をベースにしているため、そのクオリティの高さと美味しさは折り紙付きであるわけです。私の手元には「伊勢志摩のお土産」としてやってきたサミットビールですが、あまりに美味しくて「これはippinで紹介せねば!」と強い使命感にかられました。
「サミット限定ビールならもう売ってないんじゃない?」とご心配の方、どうぞご安心ください。伊勢角屋麦酒によれば「在庫状況をみながら、6月下旬頃までに数回仕込みを行っております」とのこと。コンセプトを鑑みると定番には成り得えないのが残念ですが、少なくとも暑さが盛り上がる7月までは十分に楽しめそうです。枝豆のガーリック炒めのような、塩気のあるおつまみとの相性がいいですよ。G7の面々に思いを馳せながら(笑)、晴れた日の屋外でぜひ!
「SUMMIT BEER 2016(サミットビール2016)」
■原材料:麦芽、ホップ
■アルコール度数:4%
■内容量:330ml/価格:1本 ¥550 (税抜)
※掲載情報は 2016/06/09 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ビアジャーナリスト
野田幾子
ビアジャーナリスト/ビアアンバサダー
ビアコーディネーター
日本ビアジャーナリスト協会副会長
1994年にベルギービール、1996年に国産地ビールの美味しさに目ざめ、周りにクラフトビールの普及活動を開始。2007年にビアバー・ビアパブムック『極上のビールを飲もう!』(エンターブレイン刊)の全体構成、執筆、編集を担う。その後ほぼ毎年シリーズを刊行、2014年4月、6冊目「ビールのある日常をより楽しく」を提案するムック『ビアびより』(KADOKAWA・エンターブレイン刊)刊行、編集長。現在、ビール専門誌『ビール王国』に寄稿、編集担当。
クラフトビール入門者向けの講座を開催。
ビールと料理の組み合わせのスペシャリストであるビアコーディネーター(クラフトビアアソシエーション認定)。
2000年よりライター/エディターとして独立。株式会社コラボトリエ代表。
2010年、日本ビアジャーナリスト協会(JBJA)設立。同副会長。