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「白い停泊地」という名の美しくて明るいワイン
Heavenとhaven。「天国」と少しスペルが変わると「停泊地」であり「聖域」。錨をモチーフにしたロゴもかわいらしい、ニュージーランドはマルボロのワイナリー「ホワイトヘイヴン」。生み出されるワインは、havenの意味そのままに、日常の忙しさから「避難できる場所」であり、いつか戻って来られる停泊地。
グレッグさんとスーさんがこのワイナリーをマルボロで開いたのは1994年。以来、清らかで美しいけれど、どこか優しげで明るい微笑みを感じる、心の底からリラックスして、そしていつのまにかリフレッシュできる、そんなワインを送り出してくれています。ニュージーランドのソーヴィニヨン・ブランらしい、クリーンでグリーン。草原の爽やかな余韻と飲み口ながらキラキラとしたトロピカルフルーツをかみ締めたような飲み心地に、青と白の柑橘の酸味。リラックスとリフレッシュは、そんな持ち味から生まれるけれど、その上でワインメイカーの笑顔と愛情もその大きなファクター。来日されたスーさんとは何度かお話ししたけれど、その人柄にいつも心温かくなり、元気をもらえるのです。他のラインアップも、それぞれの葡萄の個性はあるけれど同じ世界観。ヒドゥンバレル・ピノ・ノワールは高貴というよりも秘密のサンクチュアリ、白い朝もやの中からふわっと登場したような優しさとピュアな酸が、体とココロを疲れさせないまま体に入っていってくれる感覚。
と、このような味と世界観がわかっているワインを、自分のダイアリー、歳時記に組みこむのも楽しいもの。僕がホワイトヘイヴンを必ず飲む時期は6月（もちろん好きなワインなので、ことあるごとに飲んでいるのだけれど（笑））。じめじめとした梅雨空。でも雨の日は忙しい日常から自分を切り離してくれて、内面に向かうのにはとてもポジティブな季節。そこで、毎年この白い停泊地、白い聖域、白い避難所に向かう。雨音を聞きながらの午後にソーヴィニヨン・ブランを飲み、夕暮れにピノ・ノワールをあける。翌日はリースリング、梅雨の合間の少し蒸し暑い日にはピノ・グリ。いずれにしてもホワイトヘイヴンは変わらず、微笑み、癒してくれる。毎年同じ時期に飲むと、ヴィンテージ、つまり毎年の変化もわかりやすい。最初に出会った年の次の年、軽い違和感。少し肉付きがよく、グラマラスな印象を受けた。その翌年、再び繊細な世界に戻った。スーさんにお会いしたときに「スタイルが変わったんですか？」と聞くと、「いいえ。スタイルは変えていないの。でも気候の関係で昨年のものは印象が変わってしまったの。でもまた今年は戻ったでしょう？」。それでもそれは出来不出来ではなく、その年のワインを飲む楽しさであり、そのワインで幸せになった人もいる。そう、誰かにとってのネガティブは誰かにとってのポジティブだったり、考え方ひとつでそれはハッピーに変わる。雨の日が幸せな日になるように。あなたにとって、この時期に必ず飲むワイン、それを見つけるのもきっとワインを楽しむものとなるでしょう。
※掲載情報は 2016/06/09 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ワインナビゲーター
岩瀬大二
MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
（https://magazine.vinetree.jp/）ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde（ヴェルデ）』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。
