私の原点、愛情が詰まった自由学園のクッキーは最上のお味

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愛する人のために心を込めて丁寧に作る。誠実がつまった自由学園のクッキー

みなさんの原点になる食べ物は何ですか?

 

私がよく生徒さんたちに伺う質問です。ご回答はほんとうに様々で、みなさんの色々な思い出を伺って楽しいひとときです。私の原点の味は、というといろいろ思い当たる物があるのですが、その中でも時々思い出して胸が熱くなるものが“自由学園のクッキー”です。

私の原点、愛情が詰まった自由学園のクッキーは最上のお味

私の祖母が自由学園の卒業生で母が友の会に入っており、私たち姉妹の幼児教育も自由学園式でした。自由学園の理念のひとつは学業を学ぶとともに24時間の生活自体が勉強であるということで、丁寧に愛情を持って暮らすということを実践していました。

 

子供のころ我が家では、原則としてご近所の駄菓子屋さんやスーパーマーケットで売っているお菓子は食べさせてもらえませんでした。特別な時のケーキや外食の時以外、我が家のおやつは基本的には母の手作りか自由学園のお菓子のみでした。幼児の時の私には、それらはとても地味な見た目でおいしさは感じていましたが、あまり心が弾む物ではなかったように覚えています。CMで流れている楽しそうで美味しそうなカラフルなお菓子が、とても食べたかったことを思い出します。小学校にあがり、塾に通ったりするようになり、少しずつ普通に売っているお菓子を食べる機会が増えてきました。最初のうちはカラフルな箱に入った、いいにおいのするカラフルなお菓子を食べられることが嬉しくてウキウキしたものですが、意外にすぐに飽きてしまうことに気がつきました。美味しいんだけどもういいかな……みたいな不思議な感覚でした。

 

そしてあるとき、いつものように家にあった自由学園のクッキーを囓ったところ、その深い味に気がついて衝撃を受けたのです。一見地味な飾り気のないクッキー は、バターや粉の風味が活きていて、サクサクしながらも適度にしっとりしていて、いくら食べても飽きないでずっと食べ続けていたいような美味しさだったのです。それまであまり注目したこともなかった自由学園のおやつはどれも質素堅実な姿でしたが、そのお味は無限大の美味しさが詰っていたのです。

 

そういえば!と思い出したのが、幼児のころに母たちが毎日せっせと子供たちにクッキーやおやつをこしらえていた姿です。

私の原点、愛情が詰まった自由学園のクッキーは最上のお味

元々自由学園のクッキーやお菓子たちは、卒業生や父兄たちが愛する人たちのために心を込めて丁寧に作った物だったのです。営利目的でなく自分の家族や愛する人たちのために作ったものは、美味しいにきまっています。材料を厳選して余分なものは入れずに、もちろん飾る必要はありません。安全に誰もが美味しく食べられるように考え抜かれ、丁寧に誠実に作られた食べ物は究極に美味しかったのです。大人になった今では、他にも大好きな美味しいお菓子はいっぱいあるので自由学園のクッキーを忘れてしまうときもあります。でも時々自分の料理教師の仕事で悩んだときや行き詰まった時にはこのクッキーを頂くのです。そうすると自分の原点を思い出し、地味でもいいから丁寧に誠実に、愛情のある料理を作り続けて、教えていこう、と省みることができるのです。自由学園のクッキーはお取り寄せもできます。

私の原点、愛情が詰まった自由学園のクッキーは最上のお味

飾り気はないけれど、清潔な楚々としたラッピングを開けると、これまた潔くシンプルな真っ白の缶が現れます。弾む心で缶のふたを開けると、一見地味だけれどバリエーションに富んだ、かわいいクッキーたちがギューギューとお行儀良く詰っています。どれを食べようかな~、と迷いながら手を伸ばすも、やはり手が止まらなくなって一回り全部頂いてしまうのが常です。どれもこれもそれぞれが違うお味と食感でほんとうに美味しい!いつも変わらず上質なバターの風味がふわ~んと漂って、サクサクさくさく……心から幸せな気持ちになれます。

 

きっと一生食べ続けたいお味とはこういうものなのかな~と、最近漠然と思います。クッキーの缶を開けると薄紙の上にカードが入っています。そこには「自由学園卒業生による手づくりのお菓子をおわけしております。」とあります。誠実な心に沁みる美味しさを味わえる逸品です。

 

自由学園食事研究グループ   
〒203-0021 東京都東久留米市学園町1-8-33   
Tel:042-422-3336 
Fax:042-424-6222

※掲載情報は 2016/05/25 時点のものとなります。

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キュレーター情報

中村奈津子

田中伶子クッキングスクール校長

中村奈津子

日本女子大学食物学科卒業後、全日本司厨士協会に就職。ニューヨークのニュースクール、フィレンツェのラ・フォールアカデミー、香港鴻星料理学院で学ぶ。2006年ニューヨーク駐在時より料理教室「LOVELY TABLE NEW YORK」を主宰。2009年帰国後、実家田中伶子クッキングスクールに勤務。2012年「LOVELY TABLE GINZA」開校。現在もニューヨークを行き来する活動をしている。
PHP研究所発行月刊誌「JAPAN CLOSE-UP」に料理記事連載。光文社「VERY」「女性自身」などに寄稿。BSフジ阿川佐和子氏の「阿川ごはん」レギュラー出演。日本テレビ「ZIP!」定期出演中。
主婦と生活社発行「一生作り続けたいおかず~50年の名門料理教室のベストレシピ150」が2014年本屋レシピ本大賞4位入賞。2014年9月講談社発行「本当に作りたい料理、ぜんぶ。」好評発売中。

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