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見目うるわしき缶詰
まずはこの写真をじっくりと眺めていただきたい。ツナが、まるで切り株のようにみっしりと詰められているのがお判りだろうか。これが由比缶詰所「ホワイトシップ」の「特撰まぐろオリーブ油漬ファンシー」であります。
静岡の由比にある同社は、大手メーカーなどの缶詰を受託製造しているほか、このホワイトシップというオリジナルブランドのツナ缶も作っている。原料は春から夏にかけて脂が乗ってくるビンナガマグロのみ。ビンナガは寿司のタネでも知られているが、ツナ缶原料としては最上級なのだ。
切り株のような詰め方はファンシータイプと呼ばれる。大きくさばいた身をそのまま筒切りで使うから、クラスとしては最高位に位置する。身を切り分けていくなかで、細かい肉片がたくさん出るが、それをまとめて使ったがフレークタイプというやつ。当然、ファンシーよりも価格は安い。ホワイトシップではファンシーとフレークの2種を揃えている。
ここでおもむろに台所に立ち、玉ねぎをきざみ始めるのだ。
ツナ缶といえばサラダが定番だが、今回はフランスでよく食べられている「ニース風サラダ」を作ってみよう。ニース風の定義は厳密ではないが、具にじゃがいも、ゆで玉子、アンチョビーあたりが入っていればまず、ニース風といえるのではないか。
ほかはありあわせの野菜でよい。
ツナは大きめにほぐすのがオススメ。せっかくのファンシータイプだから、ごろっとしたボリューム感と歯応えを味わいたい。野菜類と一緒に皿に盛りつけたら、上からエクストラバージン・オリーブオイルをたっぷりと掛け回す。黒コショウも振って味を引き締めておこう。
かくのごとし。
基本的には塩を使わず、ツナとアンチョビーなどの塩気で食べる。もちろん、物足りない場合は好みで塩を振ればいいと思う。
冷蔵庫に残っている野菜をどんどん使えるし、健康にもきっといいメニューであります。
由比缶詰所の彦坂勝之社長とぱちり。
うしろの暖簾は工場に隣接された直売所で、ここに地元の人たちが毎日、ツナ缶を買いに来る。
その数、ひと月にざっと1,000人以上。たまたま来ていた方に、ホワイトシップの缶詰はどこがいいのか訊いてみた。すると
「味わいが自然でおいしい」
とひとこと。また別の方は、スーパーで他社製品もよく買うらしいが、「由比さんのツナ缶があると、子供はそっちばっかり食べちゃうのよね」
とおっしゃっていた。地元民にいかに愛されているかが判るではないか。
ごちそうさま!
※掲載情報は 2016/03/14 時点のものとなります。
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キュレーター情報
缶詰博士
黒川勇人
昭和41年福島県生まれ。平成16年から世界の缶詰を紹介する『缶詰blog』を執筆。缶詰に精通していることから"缶詰博士"と呼ばれ、TVやラジオ、新聞など各種メディアで活躍中。国内外の缶詰メーカーを訪れ、開発に至る経緯や、製造に対する現場の“思い”まで取材するのが特徴。そのため独自の視点から缶詰の魅力を引き出し、紹介している。
著書は『おつまみ缶詰酒場』(アスキー新書)、『缶詰博士・黒川勇人の缶詰本』(タツミムック)、『缶づめ寿司』(ビーナイス)、『日本全国ローカル缶詰 驚きの逸品36』(講談社プラスアルファ新書)『缶詰博士が選ぶ!「レジェンド缶詰」究極の逸品36』(講談社プラスアルファ新書)、『安い!早い!だけどとてつもなく旨い! 缶たん料理100』(講談社)など。小曽根マネージメントプロ所属。
お問い合わせ Mail:k-k@kosone-mp.com