記事詳細
紹介している商品
私は塩の専門家なので、塩については人一倍のこだわりがあり、食材や調理法によって使用する塩を変えたりしています。シンプルな料理になればなるほど、ほんの少量使うだけなのに、驚くほど料理のできあがりの味が変わるからです。そんな経験から、「塩以外の基礎調味料も品質の良いものを使ったほうが、最終的にコストパフォーマンスがよく、おいしいお料理ができる」と考えています。みなさんに今日ご紹介したいのは、さしすせその「さ」、砂糖です。
ほかとは一線を画す極上のきび砂糖の秘密
私が住んでいる沖縄県では、毎年一回「離島フェア」というイベントが開催されます。このイベントでは、宮古島や石垣島などの沖縄本島以外の離島で製造業を営む生産者さんたちが自慢の一品を持って集まるので、普段なかなか出会うことがない隠れた名産品に出会うことができます。毎年、そんなに買うつもりがなかったはずなのに、気づけば両手いっぱいに荷物を抱えているという、食いしん坊の人は物欲を刺激されまくってしまうこと間違いなしの楽しいお祭りなのです。(2015年度のイベントは昨年11月に終了しています)
そこで偶然出会ったのが、今回ご紹介するお砂糖「Salara」です。
ご存知の方も多いと思いますが、沖縄県はさとうきびの生産が盛んで、加工されて「黒糖」となってお土産品などで販売されています。黒糖はほかの砂糖類に比べてミネラルを豊富に含み、独特の風味で人気がありますが、いざ無農薬栽培のものを探そうとすると、意外とないのです。黒糖の生産量は年間70,000tほど。さとうきびの量にして約55,000tです。これほどの多くの量を効率的に生産するためには、どうしても農薬や肥料などの手を借りることになります。
そんな中、数は少ないですが、無農薬・化学肥料不使用でさとうきびの生産に取り組んでいるのが、宮古島にある農業生産法人株式会社 秀明ナチュラルファーム沖縄。自家農園内または宮古島島内で循環可能な農法をめざし、無農薬・無化学肥料にこだわった栽培を行っている会社です。
また、砂糖には複数種類ありますが、「Salara」はきび砂糖に分類されます。上白糖は完全に精製された砂糖液を煮詰めて作りますが、きび砂糖はミネラルやカルシウムが残った状態の糖液を煮詰めて作られるため、さとうきびの風味や栄養価が残ったまま仕上がります。しかし、このバランスが非常に難しく、残し過ぎてもえぐみがでたりしつこすぎたりするそうです。そのためか、生産者も多くはありません。
Salaraの製造工程には特になにか特別な技法が採用されているわけではなく、ただ、丁寧に、昔ながらの作り方でこのバランスを見極めながら煮詰めて仕上げられています。栽培から製造まで一貫して「さとうきび本来のおいしさに従う」という徹底的なこだわりが、この極上の味わいの秘密なのかもしれません。
口の中を清流が流れるような口どけ
「Salara」の甘さは、とても柔らかで繊細です。どんな砂糖もそれだけをずっと食べ続けることは厳しいですが、このお砂糖ならずっと舐めていられると思うほど、上品ではかないのです。口の中に入れると、唾液にするりとほどけて、ほのかな甘さを感じ、そしてすーっとあとをひかずにきれいに消えていきます。
また、きび砂糖なのに癖がないので、用途の幅の広さも魅力的です。
お料理にほんの少しのコクがほしい時。私は、ほんのひとつまみ加えて、味に深みを出すのに活用しています。これを精製糖でやってしまうと、砂糖の甘みが強すぎて、全体が台無しになってしまうのですが、このお砂糖なら大丈夫です。
もしくは、身体に負担はかけたくないけれども、疲れているのか身体が甘さを欲している時。そんな時には、そのままペロリと舐めています。するっと身体に入っていくので、身体の負担になっている感じがまったくしません。今もこの原稿を書きながら、パソコンの横においてペロリと舐めています。
国産のオーガニックシュガーをお探しの方、ぜひ一度、お試しになってみてください。
沖縄県の島の豊かさを実感してもらえると思います。
製造者:農業生産法人株式会社 秀明ナチュラルファーム沖縄
販売者:農業生産法人(株)オルタナティブファーム宮古
※掲載情報は 2016/01/31 時点のものとなります。
- 7
キュレーター情報
ソルトコーディネーター
青山志穂
東京都出身、沖縄県在住。
大手食品メーカー勤務から一転、塩に魅せられて塩の道へ。塩の専門店で社内資格制度の立ち上げなどを行ったのち、2012年に(社)日本ソルトコーディネーター協会を立ち上げて独立。現在は、塩のプロフェッショナルであるソルトコーディネーターの育成のほか、全国を飛び回りながら、塩の基礎知識や使い方などに関する講座や講演、テレビやラジオ、雑誌などへの出演、塩売場のコーディネートなどを行いながら、塩の啓蒙活動に努めている。有名シェフとの塩をテーマにしたコラボレーションイベントや食品メーカーの商品企画も手掛ける。著書に「塩図鑑」(東京書籍)「琉球塩手帖」(ボーダーインク)「日本と世界の塩の図鑑」(あさ出版)など。