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究極の幻!幻の米 亀の尾で作られた京丹後の幻のお酒、亀の尾蔵舞の斗瓶取り酒
慌しい日常を送っている私も、さすがに三が日は心安らかに新春を祝います。意外に古風な我が家はまずは御屠蘇で一献してクラシックなお節とお酒を頂きます。ここで頂くお酒は新春を祝うにふさわしい、清らかな逸品を。それは京丹後の小さな酒蔵さんが造っておられる壮大な世界観の1本、亀の尾蔵舞、さらにその中でも超希少な斗瓶取りがお祝いのお席に華を添えてくれます。亀の尾蔵舞は京丹後の竹野酒造さんが平成12年に幻の米といわれている亀の尾米を復活させようと試みたことからはじまります。試行錯誤を繰り返し、平成14年から本格販売ができるようになったそうですが、それでも限られた販売数であったそうです。
それが平成22年全国酒類コンクール純米部門に応募したところいきなり第1位を受賞、続いて2012年ワイングラスでおいしい日本酒アワード2012年にて金賞を受賞されたことにより、ますます手に入りにくい幻のお酒になってしまったそうです。私が亀の尾蔵舞に出会ったのは3年前、京都の星付き和食店のご亭主の方々がお気に入りということで、頂いたことが最初でした。実は私はそれまであまり日本酒が得意ではなかったのです。それが亀の尾蔵舞を頂いてみるとびっくり!すっきりしているのに華やかな吟醸香となめらかな飲口、そしてキレの良い甘さが口腔に広がるのですが、一瞬でサラッと消えて後口が爽やかなのです。今まで味わったことのない美味しさで日本酒の先入観がガラリと変わってしまいました。
そこから私の日本酒人生がはじまったのですが、更にびっくりおどろきな1本があったのです。それが斗瓶取り!斗瓶取りは雫酒ともいわれますが、通常の日本酒は発酵させた米であるもろみを絞り機で圧力をかけて絞るのですが斗瓶取りは違うのです。もろみを布の袋に入れて吊るし、重力で自然に垂れてきた雫を斗瓶に集めたものなのだそうです。1滴1滴ポタポタと落ちる雫を集めるなんて!21世紀にそんなとても気の長い作業があるなんて、どこかロマンティックではないですか?当然、作られる量も通常の製法にくらべてごくわずかしかできないそうで大変希少になってしまうそうです。
究極の幻の亀の尾蔵舞の斗瓶取り。そのお味はいつも頂く亀の尾蔵舞の美味しさはそのままに、さらに澄み切ったような、華やかながらどこか儚げな、魂が洗われるような気がしてしまうのです。それは味わった美味しさに加えて、雫を集めたというロマンティックなエピソードが相まって、そのように思ってしまうのかもしれません。キラキラと1滴ずつ落ちる雫に思いを馳せながら、心を新たに新年を迎えたいと思うのでした。
※斗瓶取りは時期数量限定販売なので、電話かメールで問合せが必要です!
竹野酒造有限会社
〒627-0111 京都府京丹後市弥栄町溝谷3622-1
TEL:0772-65-2021
FAX:0772-65-2871
※掲載情報は 2015/12/24 時点のものとなります。
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キュレーター情報
田中伶子クッキングスクール校長
中村奈津子
日本女子大学食物学科卒業後、全日本司厨士協会に就職。ニューヨークのニュースクール、フィレンツェのラ・フォールアカデミー、香港鴻星料理学院で学ぶ。2006年ニューヨーク駐在時より料理教室「LOVELY TABLE NEW YORK」を主宰。2009年帰国後、実家田中伶子クッキングスクールに勤務。2012年「LOVELY TABLE GINZA」開校。現在もニューヨークを行き来する活動をしている。
PHP研究所発行月刊誌「JAPAN CLOSE-UP」に料理記事連載。光文社「VERY」「女性自身」などに寄稿。BSフジ阿川佐和子氏の「阿川ごはん」レギュラー出演。日本テレビ「ZIP!」定期出演中。
主婦と生活社発行「一生作り続けたいおかず~50年の名門料理教室のベストレシピ150」が2014年本屋レシピ本大賞4位入賞。2014年9月講談社発行「本当に作りたい料理、ぜんぶ。」好評発売中。