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オーストリアのクラフトビール、いよいよ本格参戦!
前回のジャケ買いシリーズは、「オーストリア」の「謎の紳士」のワイン。今回は、このシリーズ初のビールのご紹介。
オーストリアはワインの名生産地でもあるけれど、ビールにとっても名醸造地。日本ではどうも知名度は低く、欧州といえばドイツ、ベルギー、英国&アイルランドあたりの名前があがるけれど、実は、さる調査によると一人当たりのビール消費量では世界2位なんだそう(1位はチェコで3位はドイツ)。それだけビール好きの国民がいるということは、造り手のレベルも高いということ。地域ごとにさまざまなビールが造られているということなのだが、ここはジャケ買いシリーズ。とりあえずは難しいことはなしに、気分がよく、楽しく、アーティスティックでもあるラベルを取り揃えている、グスヴェルク醸造所に注目だ。グスヴェルク醸造所は日本でも知られるザルツブルグが本拠地。醸造責任者でもあるラインホルト・バルタさんが2006年にオーガニック専門のクラフトビールメイカーとして立ち上げた。ちなみに、グスヴェルクとはドイツ語で鋳造所という意味だそうで、創業の地が元鋳造所だったからというネーミング。「鋳造所醸造所」と、このあたりからセンスもなんとなくうかがえるだろうか。
さて、まずはこちら「ブラックシープ」。怒ってるの?悩んでるの?それともなにか感じ入ってるの?という黒羊君のポップなイラストがかわいいスタウトビール。ポップなジャケからは想像できない、きれいな泡と、どしっとくる飲みごたえ。でも後味はなんとも爽やか。古代大麦を使用。醸造長がアイルランドで習得した製法で作られた、オーストリアン・アイリッシュスタウトとのことで、伝統とポップな考え方のクロスオーバーでわくわくさせる1本。
そしてだまされちゃいけないのが、「シュヴァルツ・クー」。こちらはドイツ語で黒い牛。ジャンルはインペリアル・スタウトというもので、もともとはロシアの女帝・エカテリーナに謙譲するために作られたものだそう。その伝統を引き継ぐわりには、王宮とは無縁そうな放牧された牛のジャケット。さらにアルコール度数は9.2%。エカテリーナ、どんなにワイルドだったんだよ!とつい飲んで、口をぬぐいながら叫んでしまった衝撃(笑)。酵母無濾過がまた濃厚で芳醇な旨さを演出。強い!という衝撃とともに、牛のジャケットからは想像できないエレガントさも。あ、なるほど牛乳的なコクと広がり感ってのもあるのかも。
そのほかにも、英国産エール酵母と米国産オーガニックホップを使用したアンバーエールや、ニガヨモギを配合した薬酒テイストのダークラガー「ブラックベティー」、真っ赤に熱した石を釜の中に入れて高温にするという中世の醸造所を蘇らせた「シュタインビア」、月に1度、満月の日限定で醸造されるという「ジェイコブズゴールド」など、これもまた伝統とポップ&パンクなチャレンジが融合した痛快なラインナップ揃い。勝手に大人しいと思っていたオーストリアだけれど、ワインもビールも、素敵なやらかし感あり。注目してみたい。
※掲載情報は 2015/12/05 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ワインナビゲーター
岩瀬大二
MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」。ワインに限らず、日本酒、焼酎、ビールなども含めた「お酒をめぐるストーリーづくり」「お酒を楽しむ場づくり」が得意分野。
フランス・シャンパーニュ騎士団 オフィシエ。
シャンパーニュ専門WEBマガジン『シュワリスタ・ラウンジ』編集長。
日本ワイン専門WEBマガジン「vinetree MAGAZINE」企画・執筆
(https://magazine.vinetree.jp/)ワイン専門誌「WINE WHAT!?」特集企画・ワインセレクト・執筆。
飲食店向けワインセレクト、コンサルティング、個人向けワイン・セレクトサービス。
ワイン学校『アカデミー・デュ・ヴァン』講師。
プライベートサロン『Verde(ヴェルデ)』でのユニークなワイン会運営。
anan×本格焼酎・泡盛NIGHT/シュワリスタ・ラウンジ読者交流パーティなど各種ワインイベント/ /豊洲パエリア/フィエスタ・デ・エスパーニャなどお酒と笑顔をつなげるイベントの企画・MC実績多数。