ラマダン明けにやってくるモロッコ最大のイベント「羊祭り」

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イード(祭)に見られるイスラム文化

今回はモロッコ王国大使館全権公使夫人のモナ・ウアヒッドさんにモロッコ食文化についてお伺いしました。 モロッコには「イード」と呼ばれる祭が2種類あります。ひとつは「イード・アル・アドハー」と呼ばれるもので、イスラム暦の12月10日から5日間続くものです。息子を神への生贄として捧げようとしたアブラハムの行いを記念したお祭りで、子羊を屠殺してその肉を食べることから、日本では「羊祭り」「犠牲祭」とも訳されています。イスラム教の国々では1年で最も重要な祝日とされていて、各地から家族が里帰りして集まります。もうひとつは、「イード・アル・フィトル」と呼ばれるもので、1カ月続いたラマダン(断食)明けに行われるものです。こちらは小さいイードとも呼ばれ、月の満ち欠けによって実施時期が決まるラマダンと同様に、毎年日付が異なります。いずれにしても、イードでは普段と少し違った食事をいただきます。約1カ月に渡るラマダン期間を例に、ご紹介しましょう。

胃に優しくて特別なメニューをいただくラマダン

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日没まで一切の食べ物を断つラマダン期間中は、日没と同時にみんなで食事を始めます。「イフタール」「フトール」と言われる断食中の最初の食事は、日中に食べられなかったタンパク質などの栄養素を体内に摂り入れる目的で、牛乳、ゆで卵、デーツなどを用意し、また胃に優しい『ハリラ』という名前のスープを食べます。これはハーブや香辛料、しょうが、ひよこ豆、野菜、肉などをよく煮込んだ塩味のスープで、これに『シュバキア』と呼ばれる甘いお菓子を合わせていただきます。どれも胃に優しい食事と言えます。また、『セッロ』という甘い食べ物をお茶と一緒に味わいます。これは、ハチミツに細かく砕いたナッツ、擦りつぶした花の種などをまぜたもので、エネルギーを補給し疲労回復を早めるのに役立ちます。イフタールの後には夕食が続き、タジンをみんなで囲みます。イスラム教ではアルコールが原則禁止されているため、モロッコの人はお茶を大変よく飲みます。

その数100種類以上の伝統料理「タジン」

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そして 1カ月のラマダンが明けると、通常の食事に戻ります。朝食には緑茶、モロッコパンを中心とした軽い食事をとります。そして10時頃にお茶を飲み、季節のフルーツを一緒に食べます。そして13時頃に1日のメインの食事をいただきます。主にタジン鍋を使った料理です。モロッコではタジン鍋を使って作られる料理そのものも『タジン』と呼びます。その種類は100種類以上。1週間毎日タジンを食べても、レシピが重なることはありません。例えば月曜日にはイワシとレンズ豆のトマトソース煮、火曜日は鶏肉とじゃがいもにオリーブやガーリックなどを加えたもの…という具合です。金曜日はイスラム教の安息日にあたる日なので、祈りの時間も含めて昼休みは少し長めです。家族や親族が集まり大人数での食事になるため、金曜日は『クスクス』を食べる習慣があります。クスクスとは粒状のパスタの一種で「クスクスィエール」と呼ばれる二段重ねの巨大な専用鍋の上段を使って蒸し、下段でソースを調理するため、大人数での食事にもってこいのお料理なのです。土日は外出する家族も多く、サラダに白身魚のフライやフリッツ(フレンチフライ)など現代的なメニューを食べることもあります。モロッコには長い海岸線があるので、海に行く家族も多いですね。土曜日に海の近くで新鮮な魚を仕入れたら、日曜日は魚のタジンを食べるのです。

モロッコの食文化には欠かせないミントティーポット

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今回ご紹介するのは、モロッコの食文化には欠かせないミントティーポット。 モロッコでは一般家庭からホテル、レストランに至るまでどこでもミントティーでおもてなしをしてくれます。ミントティーポットでいつもと違うティータイムを楽しんでみてはいかがですか。

※掲載情報は 2014/11/04 時点のものとなります。

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モロッコ王国大使館

モロッコ王国大使館

モロッコはアフリカ大陸北西部に位置し、紀元前から欧州・アフリカ各地との交流が盛んな国です。地中海と大西洋に面した長い海岸線、平野・山岳地帯・砂漠という多様な地形と気候に恵まれ、歴史と共に食文化が育まれてきました。日本でも人気のあるタジン(=鍋)はモロッコ発祥。国内で産出される豊富な食材を様々な組み合わせで調理します。また、オリーブオイルをふんだんに使ったモロッコ料理はユネスコの世界文化遺産に登録されています。日常的にお茶を飲むという習慣も日本とよく似ていて、日本人には親しみやすいモロッコの食文化。実際にモロッコを訪れて味わっていただきたいと願っています。

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