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パプリカ大国ハンガリー
今回はハンガリーのパプリカをご紹介したいと思います。まず皆さんは世界にパプリカの種類がどれくらいあるかご存知でしょうか。通説によると、200種類以上のパプリカがこの世界に存在しているといわれています。ハンガリーではそのうちの実に120種類程度のパプリカが生産されています。世界的に見てもこれほど多い品種のパプリカを生産している国は珍しく、「パプリカ大国」と言われることも良くあります。
日本でいう「パプリカ」は色の付いたピーマンを想像する方が多いと思いますが、ハンガリーで言うパプリカは、ご覧のとおり様々な形があります。そして実はパプリカはナス科のトウガラシ属に分類されます。なのでハンガリーでは唐辛子に近い、スパイスとしてのパプリカというものが存在します。日本の唐辛子のような辛味はそこまで強くないのが特徴ですが、この分類が示すとおり元々パプリカは辛味のあるもののみでした。
そもそも、パプリカがハンガリー地域にもたらされたのは、コロンブスがアメリカ大陸を発見した時代、16世紀の大航海時代です。南米から持ち込まれ、南米と気候が似た、降水量が少なく、日照時間が長いハンガリー大平原で盛んに生産がされるようになりました。その後、ある農家がたまたま辛味の無い種を見つけて、そこから様々な品種のパプリカが生産されるようになりました。
料理としてのパプリカの存在
このように、パプリカは長い間ハンガリー地域で非常に生活に密着していた野菜といえます。それを証明するように、パプリカが欠かせない料理はハンガリーでは非常に多く存在します。例えば、グヤーシュやパプリカチキン、プルクルト等は香辛料として使われる粉パプリカを数種類使用します。。また、サンドイウィッチやサラダに入れて生で食べる事も一般的ですが、夏場はレチョーという生パプリカのトマト煮込みやパプリカの肉詰めが最高に美味しいですし、冬は風邪予防のビタミン補給源であるパプリカの漬物が欠かせません。
ノーベル賞にも関わったパプリカ
パプリカには様々な栄養素がありますが、特に多いのがビタミンCです。1937年に、パプリカからビタミンCを抽出するのに成功した、セントジョルジ・アルベルトはその功績を讃えられ、ノーベル化学賞を受賞しました。その後、このビタミンCは錠剤にもなり、世界中に輸出されて、今では大きな産業として育っています。
いまでは、ハウス栽培もあり一年中目にすることができますが、旬な時期は春から夏。是非機会があれば、ハンガリーのパプリカに触れていただければと思います。
※掲載情報は 2015/11/12 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ハンガリー大使館
中欧に位置するハンガリーは、アジアに起源をもつ騎馬民族であったマジャル人が良質な牧草地を求め現在の地へ何百年もかけて移動し、定住したユーラシア大陸のもっとも西に住むアジアの民の暮らす国で、もっとも東に住む日本人を尊敬する親日的な人々が多く暮らす国でもあります。首都ブダペストは、ドナウの真珠とたたえられている美しい街で、日本人旅行者から「この街を歩いているだけでいつの間にか微笑がでる」との感想も寄せられました。日本の1/4の国土に9つの世界遺産を始め見所やグルメ、ワイン、温泉、音楽などが凝縮されており、訪れる旅人の五感を満たします。食という多様な切り口で皆様にハンガリーの魅力を存分に知っていただけるよう情報を発信していきます。