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一口で何層もの味わいを愉しめる贅沢なスイーツ
待ちに待ったパティスリーが先日用賀にオープンしました。その名は、「Patisserie Ryoura」。店名の由来をシェフに訪ねると、自分の名前の一部を活用したのだとか。
フランス語の三人称単数の未来形の語尾を、菅又亮輔という名前の一部、亮(Ryou)につけて、常に未来を見つめるパティスリーという意味が込められているそう。しかし、お菓子作りには、やはり守るべき伝統があります。
今回お勧めする菅又シェフのお菓子は、「コロンビエ・フリュイ・ルージュ」。これは、シェフがパリの「ラ・ヴィエイユ・フランス」というお店で作っていたものを再度アレンジしたと言います。
コロンビエは、復活祭から数えて第7日曜日のパントコート(聖霊降臨祭)にいただくお菓子です。本来は楕円の形をしており、コロンビエ(平和の鳩)のフェーブをかざりアーモンド風味のお菓子。菅又シェフのコロンビエは、赤い実のフルーツのピュレを生地と、生地の間にはさんである薄いバタークリームに加え、華やかな風味がアーモンド生地のしっとりした食感に加わって、なんとも贅沢な味に仕上がっています。
伝統を大切にしながらも、自分なりの未来のお菓子を創りあげていく、そうした姿勢が、このお菓子から垣間見ることができます。その他のお菓子も菅又シェフならではの骨太の味わい。あの味が戻ってきたと喜んでいるのは、私だけではないはずです。
住所:東京都世田谷区用賀4-29-5
※掲載情報は 2015/11/01 時点のものとなります。
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キュレーター情報
フランス菓子・料理研究家
大森由紀子
学習院大学文学部仏文科卒。パリ国立銀行東京支店勤務後、パリのル・コルドン・ブルーで、料理とお菓子を学ぶ。パリ滞在中、ツール・ダルジャン、アンブロワジー、アルページ、フォション、ホテル・ニッコーなどで修業し、ピエール・エルメやジャン・ポール・エヴァンとともに仕事をする。フランスの伝統菓子、地方菓子など、ストーリーのあるお菓子やフランス人が日常で楽しむお惣菜を、メディアを通して紹介している。目黒区祐天寺にてフランス菓子と惣菜教室を主宰。フランスの伝統&地方菓子を伝える「クラブ・ドゥ・ラ・ガレット・デ・ロワ」の理事。「貝印スイーツ甲子園」のコーディネーター、「世界50ベストレストン」の審査員、ル・コルドン・ブルー卒業生代表を務める。毎年、フランスの地方の食を訪ねるツアー、サロン・ド・ショコラツアーを開催。主な著書:「フランス地方のおそうざい」「私のフランス地方菓子」「パリ・スイーツ」「フランス菓子図鑑」など30冊以上。