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夏の終わりを告げる大事な食材
11月になると、一気にクリスマスムードになってくるのは日本もスウェーデンも一緒です。今回皆さんにご紹介するのは「ザリガニ」に関するお話。実はスウェーデンではザリガニは「夏の終わり」を告げる食材として広く知られています。
ザリガニはスウェーデンの湖や水路で昔数多く生息していました。珍味としての評判が高く、大量に獲れたということもあり、ロンドンや、パリをはじめとしたヨーロッパ各国へ輸出されるようになりました。その頃は1年を通じて一定量のザリガニが獲れましたが、19世紀末頃に長年の漁獲が要因で、絶滅の危機に瀕します。それを期に、スウェーデン政府は8月から2ヶ月間のみザリガニ漁を解禁とし、それ以外の期間は漁獲禁止をする法令を出しました。その頃から8月の解禁に合わせて、「ザリガニパーティー」を行うようになりました。その後、ザリガニパーティーは残って、夏の風物詩、夏の終わりを告げる位置づけで、スウェーデンの食卓を賑やかにしています。
ザリガニパーティーの定番
ザリガニパーティーは各家庭で行われることが多いので、もちろんそれぞれ違う部分はありますが、定番といわれるものがあります。
・開催する場所
時期としては8月~9月という時期に一番ザリガニパーティーが催されます。スウェーデンではこの短い夏を謳歌するための一つとして親しまれてもいますので、多くの家庭では屋外でパーティーを行います。
・飾りつけと帽子
このコミカルな飾りつけも定番です。これは月の男(スウェーデン語:Gubben i manen)がモチーフとなっている飾り。日本の皆さんは「月にはウサギが住んでいる」という話をどなたも聞いたことがあると思いますが、スウェーデンでは「月には男が住んでいる」と言われています。なんでもザリガニ漁は月明かりの下で行われるので、この飾りが使われるようになったのだとか。
そして、ザリガニがデザインされたガーランドを垂らし、頭の上にはそれぞれ三角帽をかぶります。
・歌
スウェーデンでは友人が集まったりする楽しい食事の際には、様々な乾杯の歌を歌います。それを全員で歌ってパーティーが始まります。
ザリガニの味は……
オーソドックスな料理方法は、ハーブのディルを入れて塩茹でする方法。ザリガニそのものはエビやシャコに近い食感です。エビが好きな方も多い日本の皆様もきっと気に入る味わいだと思います。
もちろん、この調理法以外でも様々な料理にザリガニは使われ、味を楽しみます。日本でもスウェーデン産のザリガニは多くはないですが、入手はできますので、ご友人と一緒にザリガニパーティーをしてみてはいかがですか?
※掲載情報は 2015/11/02 時点のものとなります。
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キュレーター情報
スウェーデン大使館
福祉の先進国スウェーデン。男女平等の国スウェーデン。それだけではなく観光としても有名です。スウェーデン北部に広がる大自然、世界一美しい首都ストックホルム、有名なガラスの王国など、スウェーデンには見所がいっぱいあります。食文化も非常に豊かで、洗練された乳製品はもちろん、牛肉、豚肉、魚介類の消費も多く、ジャガイモが付け合わせとして茹でて供されることが多いです。また、スウェーデン料理には膨大な種類のパンがあります。形や大きさ、ライムギ、エンバク、オオムギ、白パン生地、黒パン生地、サワードウ、全粒粉といった材料で非常に多くのパンが愛されています。多くの肉料理、特にミートボールが、リンゴンベリー・ジャムを添えて食べられており、代表的な伝統料理となっております。スウェーデン料理の菓子は、伝統的に酵母ロールパン、クッキー、ビスケット、ケーキの様々な種類があります。フィーカ(Fika、お茶の習慣)もスウェーデンで欠かせない食文化です。食文化という側面で、皆様にスウェーデンの魅力を感じ取っていただければ何よりも幸せです。