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新御三家の一翼が自信を持って送り出す極上のスイーツ
外資系ホテルが出揃った感のある東京。デラックスホテルといえば、御三家に代表される日系ホテルがその地位を堅持していたが、90年代に入り疾風のごとくホテルの話題をさらったのが『新御三家』といわれる外資系デラックスホテルだ。そのひとつが『ウェスティンホテル東京』。当時、新たな恵比寿をイメージ付けた『恵比寿ガーデンプレイス』のラグジュアリー感は、このホテルの存在も大きいといえる。
新御三家の登場以後、現在に至るまで多くの外資系デラックスホテルが東京に進出した。様々なコンセプトを有する秀逸なホテルばかりだが、その多くにコンテンポラリーなイメージを抱くのは、最新型のビルの一部として入居するホテルが多いからだろうか。周囲のロケーションも味方にする独立系建物のホテルが持つ空気は特別だ。ウェスティンホテル東京のヨーロピアンクラシックに統一された特別感は、ラグジュアリーホテルの王道にすら感じる。
特別な場所に訪れたという華やかな気分が盛り上がる、格調高いロビーに入った左手にあるのが「ウェスティン デリ」だ。ホテルの顔であるロビーの格式に負けないスイーツが並ぶ。「ウェスティン デリ」で特別の人気を博するのが「シュークリーム」。シュークリームが大好きという、エグゼクティブペストリーシェフ鈴木一夫氏の手による逸品だ。テイクアウトスイーツの王道ともいえるが、自宅へはもちろん、手土産でも圧倒的な人気を誇る定番のスイーツ。
見た目のボリューム感は手にとって実感に変わる。ズッシリとした重量感があるのだ。もしや、とサクサクのシュー皮を割ってみると、クッキー生地をのせたシュー皮の中には、たっぷりと隙間なくクリームがつまっている。やっぱりという納得感と共に圧倒される。
ところが口に含むとその控えめな甘さもあいまって食感は軽い。口溶けも良い。高純度の純生クリームを最大限までホイップしてから空気を抜き、カスタードクリームとあわせているという。この視覚による「存在感」と味覚の「軽やかさ」。様々な事象に「意外性」の効果は大きいが、こと「食」になると意外性は「悦楽」に変わることを再認識する。
デラックスホテルの王道、ウェスティンホテル東京に、相応しい「スイーツの王道」があった。
※掲載情報は 2015/10/04 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ホテル評論家 旅行作家
瀧澤信秋
ホテル評論家、旅行作家。All About公式ホテルガイド。ホテル情報専門サイトHotelers編集長。日本旅行作家協会会員。日本を代表するホテル評論家として、利用者目線やコストパフォーマンスを重視する取材を徹底。その忌憚なきホテル評論には定評がある。フィールドは、ホテルステイからホテルグルメ、ホテルにまつわる社会問題までと幅広い。テレビやラジオ、雑誌などへの露出も数えきれず、業界専門誌への連載も手がけるなどメディアからの信頼も厚い。また、旅行作家としても旅のエッセイなど多数発表、ファンも多い。2014年は365日毎日異なるホテルへチェックインし続ける365日365ホテルを実践中。「365日365ホテル 上」(マガジンハウス)として上半期のホテル旅の記録をホテルガイドも兼ねて上梓した。著書に「ホテルに騙されるな!プロが教える絶対失敗しない選び方」(光文社新書)などがある。