群馬県民のソウルフード!?野菜ときのこたっぷりの上州ほうとう「おきりこみ」

群馬県民のソウルフード!?野菜ときのこたっぷりの上州ほうとう「おきりこみ」

記事詳細


新田氏ゆかりの群馬県人のソウルフード

関東ローム層の肥沃な土壌や、利根川水系の豊かな水流、そして「赤城おろし」や「からっ風」とも揶揄される冬の乾燥した気候条件などにより、昔から良質な小麦が生産され、埼玉県とともに粉食文化が浸透していた群馬県。

 

特に秋からは、上州ほうとう、煮ぼうとうとも呼ばれる、野菜やきのこがたっぷり入った郷土料理「おきりこみ(おっきりこみ)」がおいしい季節です。ほうとうといえば山梨県が有名で、両者ともよく似た幅広麺の煮込み料理なのですが、山梨のほうとうが味噌仕立てなのに対して、群馬のおきりこみはしょうゆベースで食べることが多いという大きな違いがあります。

 

おもしろいのが、どちらの料理も郷土の英雄とともに語られていること。山梨のほうとうは、武田信玄の陣中食だったといういい伝えがありますが、群馬のおきりこみの方は、鎌倉幕府を滅亡させたことで有名な新田義貞の祖で、上州(上野国)の開拓者である新田義重が、中国伝来のこの麺料理を都の宮中から伝えたともいわれています。いかに地元の人々に愛されてきた食べ物であったのか想像できますね。

 

さて、そんな義重の時代から800年以上もの歴史を誇る群馬県人の“ソウルフード”おきりこみを、太田市にある、新田氏由来の寺尾城趾に造られたという「新田乃庄」さんに食べに行ってきました。野菜の滋味たっぷりなしょうゆベースの汁と、モチモチ、ツルツルの吟味された麺のおいしさもさることながら、当時の館を再現したという建物が雰囲気満点で、味わいもひとしおです。

 

また、他にも郷土料理のもっそ飯や、ギンヒカリという他所ではほとんど流通していない群馬特産のニジマスをメニューに加えるなど、郷土愛をひしひしと感じるお店でもありました。

 

新田乃庄さんのおきりこみは通販で購入することも可能。しょうゆのたれも付いてきます。中にはカレー味や、般若心経を全面印字したという変わりだね麺もありますので、話のタネに召し上がってみてはいかがでしょうか。

群馬県民のソウルフード!?野菜ときのこたっぷりの上州ほうとう「おきりこみ」

※掲載情報は 2015/09/13 時点のものとなります。

  • 2
ブックマーク
-
ブックマーク
-
この記事が気に入ったらチェック!
群馬県民のソウルフード!?野菜ときのこたっぷりの上州ほうとう「おきりこみ」
ippin情報をお届けします!
Twitterをフォローする
Instagramをフォローする
Instagram
Instagram

キュレーター情報

青木ゆり子

各国・郷土料理研究家

青木ゆり子

雑誌「ぴあ」等の記者を経て料理に目覚め、2000年に「世界の料理 総合情報サイト e-food.jp 」を創設。以後、各国の「郷土料理」をテーマに、サイト運営、執筆、レシピ研究および開発、在日大使館・大使公館での料理人、料理講師等などに携わる。

地方色あふれる国内外の郷土料理の魅力を広く伝えるとともに、文化理解と、伝統を守り未来につなげる地域活性化をふまえて活動を行っている。

「世界の料理レシピ・ミュージアム」館長。著書「しらべよう!世界の料理 全7巻」(ポプラ社)、
「日本の洋食~洋食から紐解く日本の歴史と文化」(ミネルヴァ書房)。

次へ

前へ