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お家のおやつ「森のラスク」
なかなかの森 喫茶室は、大阪府枚方市の王仁公園にある「なかなかの森」にある小さなギャラリーカフェです。なかなかの森では、馬が草を食み、子供たちが駆け回り、障害のある人が花を育てカフェで働き、近畿だけでなく北海道から沖縄在住のアーティーストが作品を展示し活動する場です。
なかなかの森にある美味しいお昼ごはんやスィーツがいただける喫茶室の片隅で、いつもさりげなく籐の籠に並んでいるのが「森のラスク」です。種類はふたつ、スティックタイプのアーモンドラスクとだいたい2cm角の一口サイズがかわいいシュガーラスクです。
私にとって、ラスクは子供のころから親しんだ“お家のおやつ”の代名詞。サクサクとした口触りと、ほんのり甘いお砂糖が子供心にちょっとうれしいおやつでした。パン本来の風味が生きていて、シュガーバターの染み込み具合が少々まばらだったりして、それもまた味の変化があってよかったものです。最近残念なのが、油で揚げたのではないかと思うほど油っぽいものがベーカリーでラスクとして売られていたり、1枚ずつラッピングして箱に仰々しく入っているラスクが驚くほどの甘さだったりすることです。
ラスクはお家の残ったパンで作ったものが一番おいしい!これが私の持論です。ちょっと硬くなったバケットが、お母さんの素敵な魔法でこんなにおいしいお菓子に大変身!そんな小っちゃなワクワクを思い出させてくれるのが「森のラスク」の美味しさなのです。もちろん残り物のパンではないでしょうが、甘すぎることなく、ちゃんとパンの味がする軽い風味のラスクです。それは小さなお子さんがおやつに食べても安心な甘さ。
なかなかの森では、恒例のバザールがあります。私も毎回必ず出店させていただき、ハーブティーやスコーンを販売しています。なかなかの森は先にも記した通り何らかの障害を持つ人が働く場でもあります。驚くことに、なかなかの森には隔離された空気はなく、カフェで繊細な動作で香り豊かなコーヒーを立てたり、バザールのテントを張ったり、出展者からの集金作業などに当たっているのも彼らです。バザールには、周辺の住民はもとより枚方市やそのほかの地域からもたくさんの人が訪れる、とても賑わいのあるバザールです。「身障者の人のためのバザール」という気負いは、働く側にも訪れて利用する側からもほとんど感じることがありません。それくらい地域社会に受け入れられ当たり前のように機能している、お馬さんのいる居心地のよいギャラリーカフェであり、気持ちの良い花生産農場なのです。
先日、なかなかの森で月に1度の日曜ハーブレッスンを開催したときに、籐の籠からこのラスクをひと袋ずつ買わせていただきました。帰りに運転しながら、ちょっとお行儀が悪いのですが、スティックタイプのアーモンドのほうを手にもってカリッとかじると、丁寧にローストしたアーモンドの香りがふわっとお口の中で広がりました。うれしい美味しさにひとり車中で笑顔がこぼれてしまいました。シンプルなシュガーラスクのほうは、ミルクティーのお供にこの上ない相性です。どちらも、サラダやジャガイモのポタージュに浮かべても合うような素朴さがおすすめです。 お店の中でも隅っこにある本当に目立たない「森のラスク」ですが、そこにはいつも変わらぬ“お家のおやつ”の美味しさがあります。ぜひ手に取ってみてください。
※掲載情報は 2015/09/09 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ハーバリリスト / ハーブ料理研究家
若林葉子
全国でセミナーや講演会講師として、ハーブを広く普及させるための活動を行う傍ら、各地のハーブガーデンのプロデュースや商品開発、NHK、宝島社をはじめとするメディア出演、ハーブ専門誌でのコラム執筆などを手がける。また、100種余のハーブが育つ自宅ガーデンは、NGSジャパン「庭園福祉活動の庭」に認定され、毎年5月にチャリティー・オープン・ガーデンを開催。ガーデンホスピタリティーとしてのチャリティー活動の普及にも努めている
■日本園芸協会
ハーブコーディネイター H15年度 最優秀成績賞受賞