仙台のインドカレーのおもしろさ。

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都市部と郊外のエキゾ料理体験を平等にするインドカレー

仙台のインドカレーのおもしろさ。

わたしは自分を外食主義者だと思っている。 例えば外国料理なら、コックやホール担当にどこの地方の料理なのかを聞いたりその土地のことを教えてもらったりしてコミュニケーションを取り、ただ食事をするだけではない豊かな時間を持つのが価値ではないか、と考えている。 インド料理の世界、日本ではまだまだ誰でもが知っている、というものではないだろう。それはつまり北インドの宮廷スタイルのリッチな料理がインド料理代表と思われていてナンが当たり前、タンドリーチキンが当たり前、など、そういう感じなのではないだろうか。実はもっとおもしろい料理も文化もあり幅も奥行きもまだまだあることを知ってほしい思うのだ。ただ、それは簡単ではないし、食事一食にそこまでの想いはない、という人を否定などする気はさらさらない。 そこでハードルを落としてくれる、レトルトカレーと いうものが出てくる。しかし、ただのカレーライスのためのレトルトカレーではない。本物かくや、という勢いと情熱を詰め込んで作られたアジアエスニック系のこういうものは、すごいものがあるのだ。わたしがレトルトカレーを 好きな理由は「平等である」ということ。 素晴らしいインド料理店がたとえ近所になかったとしても食べたいという気持ちがあれば誰もが、例えば通販などでも買える。どの人の食卓にも用意できる、という平等がある。東京を初めとする都市部と地方とでは外食の立ち位置が違う。外食の需要も違えば店舗数やジャンル数も大きくかけ離れている はずだ。都市部では需要の多さと多様性の中から面白いジャンル、隙間ともいっていい狭いジャンルが生まれる可能性がある。いろいろな細分化されたものが生き残れる。いい悪ではまったくなく、地方には物理的にマスとしてそのポテンシャルの幅が大きくない。そういうものを抜きに、地方の人も都会の人も平等に興味ある味を知ることが出来るレトルトカレーというものは面白いものだ。

 

都会の人は「あ、このあいだ食べたあのインドレストランの味に似てる」と思うかもしれない。地方の人は「これは初めて食べたなあ、こういうの、なんだろう?」と思うかもしれない。でも 、共通するのは同じ味を知ったということとパッケージの裏を見てインドのどんな料理なのかを知ること。それによってインドのとある地域の料理に興味を持つきっかけをもらったこと。この体験は、共通だ。これは大事なことだ。なにもかもスタートは興味を持つことから。その入り口になり得るポテンシャルを持っているのがレトルトカレーの、とんがったものなのではないかな、と考えている。高級スーパーや輸入食料品店は昔から好きだった。ちょっとした興味をもってその世界に踏み込むというのは楽しいことで、そのきっかけをくれる輸入品の缶詰やこういうこだわりあるレトルト食品なんていうのは、いいものだ。仙台にある(株)にしき食品の「にしきや」ブランドのレトルトカレーが、すごい。インドの各地方のカレーや料理をレトルトにした「バルディエボジャンシリーズ」の勢いが止まらずで、面白くて仕方がない。 インドの地域ごとの特徴あるカレーを最終的には30種出して完結させると聞いた。 現在までで既に18種が製品化されている。このシリーズ、インド各地の郷土料理を製品化しているが、これを日本に当てはめてみたら47都道府県の郷土料理をすべてレトルトにする、しかも一社で。そんな取り組みだ。これはもう、ただごとではない。 この日食べようと選んだのは、「北インド パニールマッカニー」華やかで濃厚な味が第一印象。パニールはインドのカッテージチーズだ。味は淡白でさっぱりとしている。食感が楽しいのがいい。随分たくさん入っている。 グレイヴィー(カレーソース)の方はその塩気と酸味、クリームの香りから、ちょっとチーズを想像させるもので、ボリュームを感じる。粘度が高いのでパンにディップして食べるのが合いそうなインドのカレー。いやうまい、うまい。こりゃあまいった。 濃厚で舌にグレイヴィーが絡まってくる楽しさ、幸せを堪能できる。自分の家の食卓でこういうものを食べて、何か感じたりおもしろいと思ったりする体験は、病みつきになる。

仙台のインドカレーのおもしろさ。

※掲載情報は 2014/10/30 時点のものとなります。

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飯塚敦

カレーライター・ビデオブロガー

飯塚敦

食、カレー全般とアジア料理等の取材執筆、デジタルガジェットの取材執筆等を行う。カレーをテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」が10年目で総記事数約4000、実食カレー記事と実食動画を中心とした食と人にフォーカスする構成で読者の信頼を得る。インドの調理器具タンドールの取材で09年秋渡印。その折iPhone3GSを購入、インドにてビデオ撮影と編集に開眼、「iPhone x Movieスタイル」(技術評論社 11年1月刊)を著す。翌年、台湾翻訳版も刊行。「エキサイティングマックス!」(ぶんか社 月刊誌)にてカレー店探訪コラム「それでもカレーは食べ物である」連載中。14年9月末に連載30回を迎える。他「フィガロジャポン」「東京ウォーカー」「Hanako FOR MEN」やカレーのムック等で食、カレー関係記事の執筆。外食食べ歩きのプロフェッショナルチーム「たべあるキング」所属。「ツーリズムEXPOジャパン」にてインドカレー味グルメポップコーン監修。定期トークライブ「印度百景」(阿佐ヶ谷ロフトA)共同主催。スリランカコロンボでの和食レストラン事業部立ち上げの指導など多方面で活躍。

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