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長い伝統と歴史があるからこそぶれない味
北海道旅行にでかけると、みなさんもふと目につくお土産があると思います。見たことありませんか?このお菓子。中身は何が入っているのかな?と手にとったことはありませんか?赤い筒に入ったこちらの商品。ちょっと花火にも見える……さてなんでしょうか?
実は羊かんなんです。こちらの逸品、五勝手屋本舗(ごかってやほんぽ)の「丸缶羊かん」。創業は1870(明治3)年。和菓子の老舗として1世紀以上にわたり育まれ、親しまれてきた「五勝手屋本舗」は、北海道の玄関口・函館から車で2時間ほどの場所にある江差町で誕生しました。
文献等では創業を明治3年となっており、口伝によるとその歴史はさらに古く、先祖がアイヌ語でホカイテ(波の打ち寄せる浜)という江差の浜に渡ってきたのが慶長年間(1596〜1615年)。当時ここで豆を栽培したところ、蝦夷地(北海道)で初めて実らせることができたので、この豆を利用して紋菓を作り松前藩主に献上したのが和菓子作りの始まりといわれています。すごい歴史です。
五勝手屋本舗の羊かんは、流し羊かんと丸缶羊かんの2種類。中でもオリジナルの丸缶羊かんは、1939〜1940(昭和14〜15)年頃、手を汚さない工夫として誕生。レトロな赤い円筒形のパッケージが特徴的です。食べ方も独特で、ようかんを必要な分だけした底から押し出し、容器の筒についている専用の糸で自分の好みの大きさに切って食べることができます。当時は糸ではなく竹べらで切っていました。戦争中は製造を休止し、戦後間もなく再開現在のカタチが生まれました。
五勝手屋羊かんの人気のヒミツは、コクがありながらさっぱりとしたその味わい。通常、羊かんようは小豆を使用しますが、五勝手屋羊かんは、金時豆を使用しているのが特徴。飽きのこない独特の風味が、長年愛される所以です。製法は寒天を煮溶かし、丁寧にアクをとりながら砂糖を加えて練り上げ、仕上がる直前に水飴を加え混ぜ合わせます。衛生面、安全面を万全とする為に機械化はされていますが基本的な製造方法は変わらないそうです。
ふと中村勘三郎さんの言葉を思い出しました。「形を持つ人が形を破るのが型破り。形がないのに破れば形無し」どんな形でも基本がしっかりしていれば新しいことをしてもぶれない。この味にもその形があるからこそ今なお続いている伝統の味なんですね。
※掲載情報は 2015/07/29 時点のものとなります。
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キュレーター情報
株式会社オフィス内田 代表取締役会長
内田勝規
1957年東京生まれ 中央大学卒業東武百貨店に入社。CI委員会事務局や増床プロジェクト担当等を経て物産を担当。2001年秋、東武百貨店「北海道物産展」では約4億円を売り上げ(前年比1億5千万円)さらに2004年には年間売り上げで日本一(約13億円)を達成する。「北海道物産展といえば東武」といわれるまでに育て上げ、カリスマバイヤーと呼ばれる。2009年エグゼクティブバイヤーに就任。2010年東武百貨店を退社。地域のために共に考え、地域を元気にすることを趣旨として(株)オフィス内田を設立。現在は日本全国、海外での物産展、企画、商品等のプロデュースを手掛けている。