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Bon.nu ボニュ 住所:東京都渋谷区代々木4-22-17 クイーンズ代々木1F
「美食の王様」として著名な来栖けいさんのフレンチレストラン&パティスリー「Bon.nu(ボニュ)」が、2015年8月5日にグランドオープンします。(左/オーナー来栖けいさん 右/パティシエ 内山裕介さん)
住所は新宿区代々木。最寄りの初台駅から徒歩5分ほどの閑静な住宅街にあります。
以前の来栖さんの自店「エキュレ」では、全国の和洋菓子店から来栖さんが厳選お取り寄せして提供されていました。今回は初のパティスリーとして来栖さんが「100%おいしい」と思うスイーツの数々を内山さんが作られます。基本はテイクアウト専用ですが、フルコース後のデセールとして頂ける他、お食事のお客様が居ない場合は店内でも頂けます。
クラシックモダンな雰囲気の店内。全て来栖さんがデザインされたそう。
来栖さんが考える「おいしいスイーツ」とは、ズバリ「シンプル」。とはいえ単に素材を活かすだけではない、来栖さんならではの哲学を感じる品が揃います。具現化するパティシエの内山さんはエコール辻東京製菓専門学校を卒業後、「Toshi Yoroizuka」、フランスの「Le Sergent Recruteur」、和菓子の名店「一幸庵」で腕を磨かれたお方。そんなお2人のコラボスイーツとは……生菓子と焼き菓子それぞれ3種をご紹介しますね。
高知・四万十町で放し飼いされたオーガニック卵「神果卵」を使ったプリン。「1つの卵の、卵白と卵黄の黄金比率を大事にしたい」と、来栖さん。なのでプリンの色良さやコクを出す為によく使う手法「卵黄のみ追加」はしない、生クリームは絶対使わない。「全卵」にこだわり、木次牛乳、グラニュー糖のみで作られています。
卵白のコシが活きた滑らかさ。スーッと溶けるような喉越し。そしてシンプルさが極めた雑味の無い甘さがとてもおいしい。
レストランのデセールでは、プリンは来栖さんデザインのお皿で出されます。「これ、卵の殻をイメージしたお皿です。プリンの為のデザイン。だからプリンにしか使いません。お皿の使い回しは基本的にしないです、表現が変わってしまうから。」……とことん、こだわりを感じます。
ミルキーでシンプルなシュー・ア・ラ・クレームです。バニラビーンズを加えることなく、「神果卵」の全卵、「木次牛乳」、グラニュー糖、少量の小麦粉のみで作られます。こちらも「1つの卵の白身と黄身の黄金比」を意識し全卵を使用。軽い塩味がクリームの味を引き立てています。
もっちり……とろける〜」つい、口に出た一言。クリームを詰めてから時間をおくことで、クリームと一体化したシュー生地。もっちりした食感が幸せ感を引き上げます
濃厚さと口溶けの良さに驚きます。ガナッシュはドモーリのチョコレート(カカオ72%)を特別に調合し、生クリームやバターは使わず、水のみで仕上げてあるそう。
贅沢にもそんなガナッシュと、ガナッシュベースの生地が何層にも重なっています。ガナッシュがスーッと鼻孔をくすぐる時、カカオの華やかで酸味がかった薫りがします。お酒も香料も加えていないそうですが、この薫りが上品さを演出していました。チョコの単体を超えた、まさにショコラ以上のおいしさを感じたガトーショコラです。
通常のマカロンより甘さがやさしく、レモンのフレッシュさをダイレクトに感じます。生地はスペイン産マルコナ種アーモンドプードル、中には国産レモンをマリネ状にし、刻んだものが入っています。「まずレモンの皮、白い部分、実と分けて調理します。そうしないと個性が活きない。」と内山さん。お互いの素材を活かした、アーモンドとレモンのマリアージュが絶妙なマカロンです。
しっとり、濃密な印象を与える生地。来栖さんが信頼する岩手県の藤原養蜂場さんの、ユリの花の一番蜜が使われています。後味がふんわりお花のようでおいしい
ザクザクの食感とキリッと香る白胡椒、フルールドセルの塩味が印象的です。でも、辛いわけではない。むしろフランス産全粒粉の味に、深い甘さをいっそう感じさせます。パムプリーAOC発酵バターの薫りも良い焼き菓子です
今回は自分の実食だけなので通常の箱で買いましたが、店内にはこんな素敵な箱も用意されています。来栖さんの奥様、松見早枝子さんがデザインされました。ギフトにピッタリですね。
「Bon.nu ボニュ」とは、フランス語でBon(良い)nu(裸)の意味。直訳は「いい意味での裸」です。アート的な「ヌード」ではなく、あくまでも「裸」。
飾らないありのままの姿(素材の本質)を活かすという意味。 そして人間の味覚の原点でもある「母乳」からもインスピレーション。ロゴマークにも母乳のイメージと母子を抱きかかえている姿〜奥様とお子様をイメージされたとか。
「例えば90%しかおいしいと思えないものを「おいしい」とは言えなくなった。だから自分で作る事に専念し、テレビのコメンテーターや執筆業も辞めたんです。」と、来栖さん。
料理、スイーツともに素材の本質が活かされていました。スイーツは単に甘さを控えるのではない。素材の意味を考えた上で、おいしいと思うラインまで甘さを加えて完成させる。だからこそ、素材を超えたおいしさに到達しているのかもしれません。3年弱振りに頂ける、来栖さんワールドの味。ぜひ召し上がってみてくださいね。
Bon.nu ボニュ 住所:東京都渋谷区代々木4-22-17 クイーンズ代々木1F
※掲載情報は 2015/07/24 時点のものとなります。
フードジャーナリスト
里井真由美
2012年食専門家として独立。グルメ誌で連載開始、世界15カ国以上のレストランに着物で伺うスタイルが話題に。テレビ番組はコメンテーターやグルメレポート等2年間で70以上に出演。現在「jcom街声!グルメランキング」レギュラー出演中。
最近では講演、大学講座、コンテスト審査員、日本の食文化を高めるべく海外のクールジャパンセレモニー出席や、お米の世界大会審査員等国際的に活躍の場を広げ、2015年ミラノ万博日本館のオフィシャルサポーターにも任命される。
<兼任>
◎(社)日本ソイフードマイスター協会顧問
◎ 日本の食の親善大使「食のなでしこ」
◎ 米食味鑑定士、唎酒師、オリーブオイルソムリエ
◎ ASEAN食のコンシェルジュ
◎ 「たべあるキング」和食・フレンチ・アジアン担当
【テレビ出演】
■NHK「美の壷」■テレビ朝日「関ジャニの仕分け」■日本テレビ「メレンゲの気持ち」■フジテレビ「笑っていいとも」■TBS「花まるマーケット」他