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よくある質問:「で、どれ飲めばいいの?」
「クラフトビールの美味しさはよくわかった。飲んでみたいな。で、どれを買えばいいの?」
クラフトビールの素晴らしさを説いている人なら、この手の質問をよく浴びせられてきたでしょう。ご多分に漏れず、私もです。
その度に「どんな味が好きなのか」「苦い/甘いのは平気か」など逆に質問攻めにしてしまっていたのですが、あまりスマートでない。ここはずばり、「問答無用でコレを飲め!」な銘柄(ブランド)を挙げます。
「ブリュードッグ パンクIPA」(写真 左から2番目)です。
グラスに注ぐと、きめ細やかな泡立ちとともに現れる透明な黄金色の液体。既にその時点からグレープフルーツを思わせるホップの香りが漂ってきます。グラスに注がれたパンクIPAからは、芳醇な柑橘系の香りの中にトロピカルフルーツや大麦の甘い香り。口に含めば、それらの香りとともにホップの苦味を携えた液体が流れ込み、飲んだ後もビターなグレープフルーツの余韻で楽しませてくれます。爽やかさのあるコクと甘味、苦味のバランスが極めて優れているビールです。
採算度外視で造られた、極上のIPA
ブリュードッグは2007年4月、スコットランド北西部に設立された小規模なビール醸造所。ジェームズ・ワット氏とマーティン・ディッキー氏という24歳の若者たちが、1匹の犬とともに創業しました。ワット氏の座右の銘は「LOVE HOPS, LIVE THE DREAM」。フラッグシップである「パンクIPA」は、通常のラガービールに比べて40倍のホップ、2.5倍の麦芽、8倍以上の熟成期間を経て造った「採算度外視」の型破りな商品です。
このビールの味は世界中のビアファンに愛され、2014年には年間約31億円、生産量約60%を世界32カ国へ輸出するまでに成長しました。
これが、美味しくないわけがありません。また、このビールを私が「クラフトビールを知る一杯」とした理由は「比較的手に入りやすい」から。酒販店はもとより、百貨店、スーパー、コンビニなどでもよく見かけます。
実際飲んでもらった時の反応で一番多いのが「この香り、すごいね!」。それで「クラフトビールって、これまで飲んできたビールと全然違うんだ」と思ってくださるようです。華やかな香りの割にはお料理にも合わせやすく、前回ご紹介した「新しょうがと新ごぼうのきんぴら風豚肉巻き照り」との相性も抜群。ぜひお試しください。
■ブリュードッグ パンクIPA
アルコール度数 5.5%
(BrewDog Brewery/輸入:ウィスク・イー)
*「IPA」とは「インディア ペール エール」の略称で、18世紀に英国で生まれたビアスタイル。当時の植民地、インドへ船で運ぶ際にビールの劣化を防ぐため、殺菌効果のあるホップを大量に使ったことから苦味が強いビールができ、これが人気を博した。IPAは、クラフトビールの中でも人気のあるビアスタイルのひとつ。IPAを飲んでクラフトビールファンになる人も少なくない
※掲載情報は 2015/07/08 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ビアジャーナリスト
野田幾子
ビアジャーナリスト/ビアアンバサダー
ビアコーディネーター
日本ビアジャーナリスト協会副会長
1994年にベルギービール、1996年に国産地ビールの美味しさに目ざめ、周りにクラフトビールの普及活動を開始。2007年にビアバー・ビアパブムック『極上のビールを飲もう!』(エンターブレイン刊)の全体構成、執筆、編集を担う。その後ほぼ毎年シリーズを刊行、2014年4月、6冊目「ビールのある日常をより楽しく」を提案するムック『ビアびより』(KADOKAWA・エンターブレイン刊)刊行、編集長。現在、ビール専門誌『ビール王国』に寄稿、編集担当。
クラフトビール入門者向けの講座を開催。
ビールと料理の組み合わせのスペシャリストであるビアコーディネーター(クラフトビアアソシエーション認定)。
2000年よりライター/エディターとして独立。株式会社コラボトリエ代表。
2010年、日本ビアジャーナリスト協会(JBJA)設立。同副会長。