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北欧流のもてなし方
今回は、「DUKA 北欧流シンプルな食卓 北欧デザイナーによる「一汁一菜の器展」(3月11日(水)-3月24日(火) 於:スウェーデン大使館ベルイマン展示ホール)出品食器から北欧デザイン食器を通じて、北欧流のもてなし方についてご紹介いたします。
「北欧デザイン」というものは、「可愛いもの」だったり、「特別なもの」というイメージが日本に広まっている印象を受けますが、現地では北欧デザインは公共交通機関等にも使われているように、身の回りに溢れています。日本ではレストランや、ホテルなどのいわゆる非日常性の空間では素晴らしいデザインが数多くありますが、日常にデザインが入り込んでいるとはまだ言えない状況ではないでしょうか。
それでは、北欧流とはどういうことでしょうか?
例えばスウェーデンでは人を招くとき、非常にシンプルなもてなしをします。コーヒーと板チョコを割ったものを綺麗なボウルに盛るだけですが、それでいてテーブルコーディネートがしっかりされて、おもてなしが成立してしまうのが北欧です。日本では人を招いておもてなしをする事になった場合、まず自ら何かの料理を作っておもてなしをするかという考えに捉われがちですが、もっと気軽におもてなしをする形、これがスウェーデン流ひいては、北欧流なのです。
DUKA 北欧流 シンプルな食卓
この催しは、北欧26人のアーティストが長崎県の波佐見焼のコラボレーションです。波佐見焼は、長崎県波佐見町で焼かれる磁器のことで、近隣の有田焼や伊万里焼は非常に限られた高級なものに対して、波佐見焼きは大衆のために大量生産されたものがスタートしています。つまり、波佐見焼と北欧食器は「身近」というキーワードで同類と考えられ、特別なことは無く日常に多くある物を、ちょっとしたアイディアで印象的に変化させることができるという良いお手本になるのではないでしょうか。
「DUKA/デューカ」とはスウェーデン語で「テーブルセッティングをする」という意味です。紹介する器は全て購入できるものなので、この機会にDUKAを通じて北欧流を身近に取り入れて、シンプルなおもてなしをしてみてはいかがですか?
今回は、墨色のみを使った波佐見焼のモノトーンシリーズ「Svart och Vitt(スヴァット&ヴィット)」の茶碗・豆皿・箸置きを使用したコーディネートを紹介いたします。
Elina Rebers(エリーナ・レベシュ):森に茂る白樺
テキストスタイルデザイナーで、タイムレスでミニマリズムなデザインを手がけ、天候など自然現象をモチーフにした想像を掻き立てるパターンが得意な彼女が考えたテーマは、「森に茂る白樺」。食器には白樺の葉をイメージさせるモチーフがあしらわれており、森の恵みでもある果実や、枝にとまる鳥がコーディネートのアクセントとして効いています。
Johanna Hogvag(ヨハンナ・ヘグヴェグ):マイヤ
イラストレーター及びグラフィックデザイナーで、あまり真剣に考えずに人生を精一杯楽しむことがモットーで、北欧の暮らしを切り取った遊び心のあるカラフルで幾何学的なパターンが人気な彼女のテーマは、「シニッカ」。北欧で有名な愛と自由のために尽くした女性の名前で、モノトーンの波佐見焼きに、愛に溢れ、優雅、そして情熱的だった姿をモチーフにした暖色のカラーをアクセントにしたコーディネートで、温かみを持たせています。
Amanda Matilda(アマンダ・マティルダ):スウェーデンの牧草地
テキスタイルデザイナーのデュオ。手描きならではの、アート感覚のテキストスタイルデザインを得意とし、点や線を絶妙に組み合わせたり、絵の具が作り出す予期せぬ形をベースに、繊細かつ大胆なパターンが人気を博しているこの2人が上げたテーマは、「スウェーデンの牧草地」。自然が豊富なスウェーデンの牧草地の草をイメージしたデザインの食器に、緑と白のよろけ縞模様の手ぬぐいがさわやかな印象をもたらすコーディネートになっています。
Ann Charlotte Ridderstolpe(アン・シャロッテ・リッデルストルペ):ワイルドベリー
スタイリスト及びグラフィックデザイナー。ELLE等のインテリア誌やカタログ撮影、展示会でのスタイリングも担当し、明るいパステル調の色使いが人気を集める彼女がテーマにしたのは「ワイルドベリー」。
北欧の森に豊富に自生するベリーは、生活にとても密接です。ベリーをそのまま食べることも多い北欧らしく、食器そのものにベリーをデザイン。ベリー摘みにいく楽しい雰囲気が伝わってくるコーディネートです。
Amsell Berlin(アムセル・ベルリン):森に差し込む太陽
プロダクト及びグラフィックデザイナーで、IKEAのプロダクトやテキスタイルデザインを数多く手がけ、数々の北欧企業をクライアントに持ち、パターンデザインからカトラリーまで、活用の範囲が広い彼らがあげたテーマは「森に差し込む太陽」。北欧の人々にとって無くてはならない存在の太陽。太陽の光をモチーフにした放射状デザインの食器に、柔らかい春から夏にかけての太陽をイメージするようなオレンジと白のよろけ縞が印象を残すコーディネートです。
Inga Karlsson(インガ・カールソン):クルビッツ
グラフィックデザイナー、ダイナミックで独特な色使いが特徴。詩を書くのが得意で、作品にエティックなストーリー性をもたらしている。音楽を奏でているような、リズムを持ったパターンが多くの人を魅了する彼女が上げたテーマは「クルビッツ」。クルビッツとは、スウェーデンの伝統的な花柄を指し、アンティーク家具や古時計等にもよくデザインされています。丸い食器にモノトーンで描く彼女の婉曲のクルビッツは不思議な感覚をもたらします。モノトーンの配色を存分に活かしたコーディネートです。
Marie Louise Hallgren(マリールイス・ヘルグレン):湖のしずく
プロダクトデザイナーで、持続可能なデザインに強い関心を持っており、エネルギーを感じるパターンを作り出し、デザインを通して心のエクササイズである「マインドフルネス」を伝えることを目指している彼女が掲げたテーマは「湖のしずく」。
湖も北欧にとっては身近な存在で、短い夏は泳ぎを楽しみ、冬は凍った湖の上でスケートを楽しみます。水滴のイメージをお茶碗に、波紋のイメージを豆皿にあしらい、済んだ気持ちにさせるコーディネートです。
Cecillie O(セシリー・O):バルト海
日本在住のデザイナー兼イラストレーター。繊細で上品な花、そしてユーモアにあふれた可愛いキャラクターたちが登場するのが特徴で多くのファンを持つ彼女が考えたテーマは「バルト海」。バルト海には北欧を象徴するサーモンやニシンが多く生息しています。モノトーンの世界に躍動感あふれる魚をデザインし、敷いたマットは青と白のよろけ縞が海をイメージして鮮明な印象を残すコーディネートです。
次回は、カラフルな色彩の波佐見焼を使ったコーディネートを紹介します。
DUKA 北欧流シンプルな食卓 北欧デザイナーによる「一汁一菜の器」展
■会場:スウェーデン大使館ベルイマン展示ホール 住所:〒106-0032 東京都港区六本木1丁目10−3
■会期:3月11日(水)-3月24日(火)10:00-17:30
※12:30~13:30は昼休みのため入場できませんのでご注意ください
※入場無料
※掲載情報は 2015/03/19 時点のものとなります。
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キュレーター情報
スウェーデン大使館
福祉の先進国スウェーデン。男女平等の国スウェーデン。それだけではなく観光としても有名です。スウェーデン北部に広がる大自然、世界一美しい首都ストックホルム、有名なガラスの王国など、スウェーデンには見所がいっぱいあります。食文化も非常に豊かで、洗練された乳製品はもちろん、牛肉、豚肉、魚介類の消費も多く、ジャガイモが付け合わせとして茹でて供されることが多いです。また、スウェーデン料理には膨大な種類のパンがあります。形や大きさ、ライムギ、エンバク、オオムギ、白パン生地、黒パン生地、サワードウ、全粒粉といった材料で非常に多くのパンが愛されています。多くの肉料理、特にミートボールが、リンゴンベリー・ジャムを添えて食べられており、代表的な伝統料理となっております。スウェーデン料理の菓子は、伝統的に酵母ロールパン、クッキー、ビスケット、ケーキの様々な種類があります。フィーカ(Fika、お茶の習慣)もスウェーデンで欠かせない食文化です。食文化という側面で、皆様にスウェーデンの魅力を感じ取っていただければ何よりも幸せです。