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3月2日(月)に、ハンガリー大使館でハンガリーワインの試飲するセミナーが開催されました。今回は、2015年にハンガリー外務貿易省が公式に採用しているワインの中から最高のランク「Grand Superior」の7銘柄をご紹介いたします。
当日は、ワイン関係の小売関係者、飲食店関係者、メディアの方々をお呼びいたしました。また、ippinのキュレーターとしてもご活躍されている4名にも、ハンガリーワインに触れていただきました。
【写真左】日本文化の伝道師として、日本文化・食・アートの魅力を発信するイベントなども推進している神森真理子さん。
http://r.gnavi.co.jp/ippin/curator/kamimorimariko/
【写真中央】カレー好きであれば1度は聞いたことがある銘店です。メディアでも引っ張りだこのナイルレストラン3代目のナイル善己さん
http://r.gnavi.co.jp/ippin/curator/nairyoshimi/
【写真右】MC/ライター/コンサルタントなど様々な視点・役割から、ワイン、シャンパーニュ、ハードリカーなどの魅力を伝え、広げる「ワインナビゲーター」の岩瀬大二さん。
http://r.gnavi.co.jp/ippin/curator/iwasedaiji
ケーキデザイナーとしてワールドワイドに活躍をされている鈴木ありささん。
http://r.gnavi.co.jp/ippin/curator/suzukiarisa
ハンガリー外務省専属ソムリエールのガール・ヘルガさんが各種ワインを紹介し、日本ソムリエ協会理事でもいらっしゃる佐藤陽一さんが、テイスティングを行う手法で進みました。
最初に、ハンガリー大使館コーシャ バーリン・レイ一等書記官から、参加者へのお礼の挨拶と、ハンガリーに関しての説明を致しました。ハンガリーは、ヨーロッパの中央に位置しており、緯度でいうとヨーロッパで上質なワインが作られるワインベルトといわれるところに含まれています。人口は1,000万人程度で、国土面積は日本の四国と北海道を足したくらいの面積で日本の大体4分の1程度です。人口1,000万というのは、ヨーロッパの各国で言うと、ギリシャ、オランダ、チェコ、オーストリアあたりが、同程度の国となります。
ハンガリーのワインの生産量の推移で行くと、減少傾向にありますが、89年から品質の向上を重視するようになり良質なワインが数多く生まれるようになっております。
1:Kleinbacher, Prestige-Brut, Nagy-Somló スパークリング
まず1銘柄目は、ショムロー地方産のスパークリングワインです。ここの地域は元々火山だったショムロー山があり、土壌的に見ても非常にミネラルが豊富で、様々なミネラルを感じられる味に仕上がっています。
佐藤陽一氏コメント
「最初の印象は、柔らかく黄色のニュアンスがあり、透明感もあり成長度合いも良好。泡も細かく規則正しく続きます。香りはそこまで甘い香りではなく、りんご木や酸を思わせる香りと、落ち着いた印象を受けます。フルミントのスパークリングにしては控えめな香りの印象。口に含むと、黄色い果実味を伴いながら、細かい酸味というか特にアシリティが舌の両サイドにきっちりと残るので、意外に余韻が長い。香りが控えめで飲んだときのアタックも強すぎないのにも関わらず、わりと長く余韻は続くのかなという印象を受けました。
これから暖かくなってくると、酸を伴う飲み物は食事のスタートに合わせる飲み物としては大変良いので、食前でも合うでしょうし、少し温度が上がると、キトン質といわれる蟹や海老等を焼いたものに合わせても面白いかなと思いました。」
2:Figula, Öreghegyi Olaszrizling 2013, Balatonfüred-Csopak 白軽め
2銘柄目は、チョパク村で創られる2013年の軽めの白ワイン。フィグラワイナリーという、家族経営のワイナリーで創られています。
佐藤陽一氏コメント
「フォラズリースリングということで、色は若干濃くでていますが、透明感もありキラキラとした色合いがあります。粘性も十分に感じられて、飲む前から滑らかな印象を受けます。香りはすこし滑らかな黄色い果実の香りで、太陽を充分に浴びた黄色い花のようなまろやかな香りも感じます。少し無塩バターのような、そして樽の要素はそこまで感じませんが、少し木質のニュアンスも感じます。柔らかく、滑らかで、まろやかな香りです。アタックは滑らか、柔らかい甘みがくるのかなと思っていたのですが、すーっとボリューム感が下がっていって、細かいミネラルと酸が残ります。ちょっと人見知りな印象があるので、丸みのブルゴーニュタイプのやや小ぶりのグラスで回しながら飲んでいただくと、香りや味わいが出ると思います。」
3:Szent Tamás, Percze Furmint 2012 白フルボディ
3銘柄目は、トカイ地方の白ワインで、葡萄の品種としてはフルミントを使用した2012年もの。ワイン通では知られている、トカイのセプシーワイナリーの息子が仲間たちと一緒に作った新しいワイナリーの作品。
佐藤陽一氏コメント
「熟す前のメロンの緑色の皮の香りを感じ、非常に滑らかでエレガントな出来栄え。白身魚のテリーヌや、白子のてんぷらが合うと思います。非常にワイン自体が上品で後味に残る味わいが印象的。あまりやったことがある人はいないと思いますが、軽石を舐めたり、砥石を舐めたりすると、舌に残る感覚をウェットストーンミネラルティと呼びますが、その感覚が非常に印象的に残ります。」
4:Karner Gábor, Boróka-Vitézföld kékfrankos 2009
4銘柄目は、カルネルワイナリーの2009年の作品です。ここはハンガリー北部の山岳地帯の家族経営のワイナリーです。3ヘクタールの敷地があり、そこで完全に手作りで生産されています。
佐藤陽一氏コメント
「色素量が豊富で、グラスを回すと紫色の色素が多く残ります。とてもワイン好きの方が丁寧に作っている印象を受け、非常に染み込んで、穏やかな落ち着きのある赤。普段飲むのには本当においしいワイン。キャレというか角があるような、バランスの取れたグラスを使って回しながら飲むと、色から受けた印象で果実の香りがあって、口に入れたときの甘い味わいの甘みと、乾き具合、これは苦いというタンニンではなく、非常に細かいが舌に残って幸せな時間がすごせると思います。」
5:Gere Attila, Kopár 2011 赤フルボディ
5銘柄目は、97年にコパール山というエリアをブランド化するという初めての試みを展開しました。当時はワインのみに注力したブランド化では、ありませんでしたが、今では赤ワインといえばコパール山の産地といわれるほど有名になってきています。その意味でもブランドとしても非常に成功を収めていしています。
佐藤陽一氏コメント
「非常に力強いボリューム感のあるバランスの取れたクオリティ。一番良い斜面を使っているということと、16~18ヶ月樽に入れているということで、現時点では後味の細かい渋みが非常に洗練されていて、角がとれて丸いんだけれども数の多いタンニンを感じます。1日くらいデキャンタージュしておくとか、抜栓して1日置くと香りが育って渋みが落ちるかもしれないのでトライしてみたい。この渋みのコントロールが大事なので、香りを落とさず、後味の渋みを少し落とすと日本人好みにさらになるのではないかと思います。また、料理に関して言うと、パプリカがこの渋みと非常に相性が良いかと思います。」
6:Bott, Bott-rytis 2013 白甘口
6銘柄目はボットワイナリーのもので、非常に若々しくこれから人気が出そうな作品です。ワインの名前はちょっと言葉遊びが入っていて、ワイナリーの「ボット」と貴腐ワインに必要な菌でもある「ボトリティス」を掛け合わせたものになっています。ベースの白ワインの葡萄はフルミントタイプを使っています。こちらは濃厚なフォアグラにも合うと思います。
佐藤陽一氏コメント
「舌の上にずっと、とどまっている時間が非常に長いということと、普通人間の舌の両サイドで酸味をじわじわ感じるのですが、舌の真ん中にトカイの貴腐が残って、本当に熟した皮ごと噛んだような甘みを感じます。非常にとろみがある性か、ボリューム感を感じるのですが、アルコール度数でいくと11.5度しかないので、食中に飲んでも重くなることはないんですよね。新しい解釈でワインを創っている印象も受けました。」
7:Árpád-hegy, Aszú 6 puttonyos 1999 貴腐ワイン
最後の7銘柄目は、トカイの貴腐ワインです。トカイのエリアでは比較的小規模なワイナリーで、アルフォード山の近郊にある、アルフォードヘイジワイナリーの作品です。特に今回の1999年は非常に当たり年だった時のものになります。トカイの気候は独特で、谷にあるボルロフという川があり、そこから上がってくる湿度の高い空気がこのトカイの貴腐ワインを作る大きな要素となります。川から上がってくるこの霧が、葡萄の実に大切な水分を運びボトリティス菌の活動を促進するのです。
すべての葡萄が貴腐化するわけではなく、もちろん腐ってしまうものも出てきます。綺麗に貴腐化した葡萄を手作業で摘む行為があるため、貴腐ワインは非常に手間がかかります。トカイの貴腐葡萄を収穫する人は、ほぼ女性です。女性の指の細いではないと粒ごとで収穫ができないので、男性ではなく、女性が担う仕事になっています。トカイの貴腐ワインの特徴は酸度の高さです。実際に手積みするとわかるのですが、酸で指先が変形していくほど強い度数があります。世界中には甘いワインはたくさんありますが、これだけ酸度が高く、そして甘みも高い、バランスの取れているのは、トカイの貴腐ワインの大きな特徴といえます。
佐藤陽一氏コメント
「酸味と甘みの高次元のバランスです。一口目は酸味が残り、慣れてくると余韻が恐るべき長さが付随してきますので、余韻が長いフォアグラ等と合わせると非常に楽しいと思います。アルコールは9度しかなく、飲んでいても思っているより体も楽ですし、寒い朝などに、一口含むと元気の源にもなる印象も受けます。フォアグラとの相性も言われますが、これを単体で飲むのも良いと思います。チーズなどは逆に無い方が楽しめる印象があります。小ぶりのグラスで低めの温度がよく、温度を上げると逆に酸が目立って、甘みの盛り上がりというか、口の中にマルメロを入れられたような、黄色い桃の果実感が下がっていく印象がありますが、バランスが優れているので、クレープや甘みのデザートと合わせても楽しめると思います。」
今回は、7銘柄のハンガリーワインを楽しんでもらいましたが、もちろんハンガリーはそれ以外にも優秀なワインは多いですし、畜産品も高いクオリティを誇ります。3月3日~6日まで、FOODEXも開催されハンガリーブースではワインや、畜産物も体験できる場を提供しますので、多くの方にハンガリーの食べ物、飲み物の魅力に少しでも触れていただければと思います。
※掲載情報は 2015/03/05 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ハンガリー大使館
中欧に位置するハンガリーは、アジアに起源をもつ騎馬民族であったマジャル人が良質な牧草地を求め現在の地へ何百年もかけて移動し、定住したユーラシア大陸のもっとも西に住むアジアの民の暮らす国で、もっとも東に住む日本人を尊敬する親日的な人々が多く暮らす国でもあります。首都ブダペストは、ドナウの真珠とたたえられている美しい街で、日本人旅行者から「この街を歩いているだけでいつの間にか微笑がでる」との感想も寄せられました。日本の1/4の国土に9つの世界遺産を始め見所やグルメ、ワイン、温泉、音楽などが凝縮されており、訪れる旅人の五感を満たします。食という多様な切り口で皆様にハンガリーの魅力を存分に知っていただけるよう情報を発信していきます。