阿波晩茶
湯浅茶園
日本茶といえば不発酵茶の緑茶をまず思い浮かべますが、今回は、後発酵茶(こうはっこうちゃ)を紹介します。今では、愛媛、徳島、高知、富山の4箇所だけで作られている貴重なものです。
それは、徳島の乳酸菌醗酵茶の「阿波晩茶」です。その歴史は古く、弘法大師から伝えられたとも、平家の落人から伝えられたともいわれる伝統茶です。
県内でも自然豊かな中南部地域で生産されているこの茶のうち、那賀町の湯浅茶園のものを紹介します。この茶園の晩茶は、芳しい香りと味に加え、手作りのやさしさがじんわり伝わってきます。それもそのはず!伺えば、茶の木は無農薬、有機肥料のみで丁寧に育てているとのことです。
カフェイン、カテキンが少ないため、苦み渋みがなく、赤ちゃんでも飲めるといわれている阿波晩茶。ヘルシー飲料としても注目されています。
クセがなく飲みやすいので、どんなときにも、どんな料理やデザートにも寄り添います。
もう一つ嬉しいことは、一握りほどの茶葉に沸騰した湯を注ぐだけの難しい作法なしの簡単さで出来上がることです。
冷やしてもおいしいので、たっぷり作って冷蔵庫に入れておき、ごくごく飲むのもいいですね。
茶葉は、しっかり密封保管して早めに飲み切るのが美味しさのコツです。
残った茶葉は捨てるともったいないので、砕いてパウンドケーキの生地に入れて“ティーケーキ”を作ってみました。茶葉は優しい風味なので美味しいです!
茶を出した後の茶葉は無農薬だから安心。砕いてベイクドケーキやクッキー生地に入れます。
ケーキのお供には、もちろん阿波晩茶。冷やしてワイングラスに入れるとオシャレですよ。おもてなしの時には特別感が出るのでおすすめです。
茶葉入りパウンドケーキには好みのフルーツと 琥珀色の阿波晩茶グラスに注ぐととても美しい…
温かいお茶はデミタスカップに注いで、軽い昼食のパスタとともに。こちらも相性良いですよ。
クリームパスタにはさっぱりした味わいの阿波晩茶を合わせて…
阿波晩茶2:牛乳3の割合に、砂糖とゼラチンを加えてミルクゼリーを作ってみました。ホイップした生クリームを加えるとリッチな味わいになります。甘さはお好みで調節してくださいね。サッパリとした食後のデザートとして最適です。
フルーツと徳島名産スダチスライスを添えて…
阿波晩茶用の茶葉は、しっかり大きく育ったものを7月頃摘み取ります。柔らかい新芽は発酵時に溶けてしまうからだそうです。
製法は、茶葉を茹で、葉に傷をつけるために揉み、桶で漬け込みます。空気が入らないように密閉し重石をのせ茶の茹で汁を注ぎ、2~3週間ほど漬け込み発酵したら取り出し、天日乾燥すれば出来上がります。
昔から繰り返し作られ、地元の人々のくらしに溶け込んでいた素朴な郷土茶は、これからも受けつがれるべき価値あるモノです。そして、現代人の心と体も優しく包んでくれる強くやさしい力をもっているように思います。
湯浅茶園の阿波晩茶を是非一度味わってみて下さい。
販売は地元中心ですが、湯浅茶園にお問い合わせいただけます。
湯浅茶園
※掲載情報は 2021/02/26 時点のものとなります。
ライフスタイルデザイナー
長尾典子
日本伝統の知恵と美を取り入れた現代の食と暮らし方”Nippon Stylish Life”を提唱。
西宮市内のサロンと各地で、テーブルコーディネート・料理・英語・食文化をテーマに幅広く活動中。
季節開催「Japan Cool Seminar in Tokyo」では伝統美味食をテーマに、レストラン・料亭を会場に、その日だけのオリジナル料理を味わい学ぶ講座。
旅館・ホテルの食空間提案、英語による和食文化、テーブルコーディネートセミナー、オリジナル食器デザイン販売も手掛ける。
著書『12か月のLifestyle Book 食卓からしあわせは始まる』エピック
『和食の力に魅せられて 伝統美味食の世界』エピック
食卓文化研究家、食空間コーディネート資格認定講師、卓育インストラクター、カラーコーディネーター、英語講師。
食空間コーディネート協会理事
京都文教短期大学、大阪夕陽丘短期大学非常勤講師。
奈良女子大大学院生活環境修士。現在、現在、龍谷大学博士後期課程。
mail:nagao@a-de-v.com