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全国の酒が並ぶ行きつけの酒屋さんで、ある酒瓶に目が留まった。
荷札をラベルにしたその酒の名は荷札酒。荷札は子どもの頃によく目にした限りで久しくお目にかかっていない。何だか懐かしい荷札がラベルのお酒なんて逆に新しい。
このラベルには、酒米、精米歩合はもちろん、醸したタンク番号まで記載され、赤文字で印刷されたVer.と数字は、醸造の度にその酒がどのくらい進化してきたかを示しているというから面白い。
多種の荷札酒があるので、飲み比べてみるのも楽しそうだ。
まず私が選んだのは、荷札酒・月白。山田錦100%・精米歩合40%の無濾過の仲汲み・純米大吟醸。こちらはVer.5とのこと。
杯に注いだ酒は、ほんのかすかに琥珀色の澄んだ液体。口を付けると無濾過からイメージされるワイルドな荒々しさはない。サラッと軽やかな口当たりの中に深い旨味が広がる。どことなく新鮮は味わい!ラベル通りに懐かしいけど新しい、とてもおいしい酒!
続いて、生詰原酒 純米大吟醸。Ver8.4 山田錦43% 五百万石57%・精米歩合50%の無濾過・仲汲みを購入。
こちらもいい!しかし月白とは味わいが違い、比べるとこちらの方が伝統的な日本酒のイメージに近い印象を持った。一日目、二日目…と味わいの表情が変化していくのも楽しい。
荷札酒は酒どころ新潟にある加茂錦酒造の酒。その蔵元の田中悠一さんは、なんとまだ20代であるというから驚きだ。
なるほど、懐かしくて新しく、深くて軽やかな酒づくりは、若き蔵元のしなやかな感性の賜物なのかもしれない。
私はまず和食と合わせて味わい、次に中華、イタリアン、お惣菜とも合わせてみた。
どんな料理にも寄り添いながら、個性を光らせる魅力的な酒、それが荷札酒。
まずは鯛の刺身と豆腐の海藻のせと、味わいます。日本酒には王道の組み合わせで一杯
イタリアンの旬の秋刀魚をロールしたソテーと!
中華の牛肉の豆鼓炒めとも!
ポークソテーとも合います!
若き蔵元による荷札酒はこれからもどのように進化していくかも楽しみにしたい。
進化の度合いはラベルにある赤文字Ver.を目安にできそうだ。
百聞は一見に如かず。まず今夜は一献。
数々の荷札酒の中で好みの一本を見つけてみるのはいかが。
※掲載情報は 2019/10/30 時点のものとなります。
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キュレーター情報
ライフスタイルデザイナー
長尾典子
日本伝統の知恵と美を取り入れた現代の食と暮らし方”Nippon Stylish Life”を提唱。
西宮市内のサロンと各地で、テーブルコーディネート・料理・英語・食文化をテーマに幅広く活動中。
季節開催「Japan Cool Seminar in Tokyo」では伝統美味食をテーマに、レストラン・料亭を会場に、その日だけのオリジナル料理を味わい学ぶ講座。
旅館・ホテルの食空間提案、英語による和食文化、テーブルコーディネートセミナー、オリジナル食器デザイン販売も手掛ける。
著書『12か月のLifestyle Book 食卓からしあわせは始まる』エピック
『和食の力に魅せられて 伝統美味食の世界』エピック
食卓文化研究家、食空間コーディネート資格認定講師、卓育インストラクター、カラーコーディネーター、英語講師。
食空間コーディネート協会理事
京都文教短期大学、大阪夕陽丘短期大学非常勤講師。
奈良女子大大学院生活環境修士。現在、現在、龍谷大学博士後期課程。
mail:nagao@a-de-v.com